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学力向上

 昔の講演会では話したけど、最近話していない話題を連続でアップします。最初は、成績に関しての話題です。なお、このことに関してもっと知りたい方は、「何故、理科が難しいと言われるのか(https://amzn.to/4foYdSH )」、「「勉強しなさい!」を言わない授業(https://amzn.to/49PIUyy )」、「簡単で確実に伸びる学力向上テクニック入門(https://amzn.to/4fGLTgp )」の三冊をお読みください。

 『学び合い』を実践すれば、テストの成績は驚異的に上がります。逆に言えば、テストの成績が驚異的に上がらないならば、それはちゃんと『学び合い』を実践していないことを意味します。それぐらい、確実に成績は上がります。

 それが多くの教師は理解できません。理由は、板書も発問もせず、つまり教師が積極的に教えない『学び合い』で成績が上がるわけないと思うからです。まあ、常識的にはそう思う気持ちは分かります。だから、ネットでは「患者がいくら集まっても病気は治せない」という比喩で主張する方々がいました。

 その方々が間違っているのは、子どもたちが何に躓いているかを理解していないところに原因があります。子どもたち全員にICレコーダー(昔はミニテープレコーダー)を装着させて、『学び合い』における子どもたちの会話を数ヶ月にわたって記録しました。『学び合い』では分からないことを気軽に友達に聞きます。だから、何に躓いているかが明らかになるのです。ただし、この分析はものすごく手間がかかります。1校時の授業を記録し、それを単純に聞き直すだけで1校時かかります。さらに、それらを文字起こし、分類します。つまり、一人の1校時の分析をするのに3校時ぐらいかかるのです。それが30人分だとその30倍かかります。つまり、1校時の分析に約100校時かかるのです。それを3ヶ月間記録・分析します。週4時間の教科の場合、1ヶ月で16回の授業、3ヶ月で48回の授業です。つまり、5000校時かかります。まあ、早送り処理をしている部分もありますが、それを勘案しても数千校時かかるのです。これを西川研究室という人数の多い集団が分担し分析するのです。こんなことやる研究室は他にありません。だから、我々だけが子どもたちが本当に何に躓いているのかを知ることが出来たのです。別の言い方をすれば、明治以来の教育研究・実践では、子どもたちが何に躓いているかを知らずに、どのように教えるべきだと言っていたのですから、危ういのは当然です。

 その結果、分かったのは、子どもたちの疑問は教師にとっては普通の言葉と思われる言葉の意味が分からないのです。私が『学び合い』を参観しているとき、子どもたちが「国道って道のこと?」と聞いているのをしってビックリしました。でも、考えてみれば当たり前です。少なくとも自身で運転する前に「国道」という言葉を知らないのは当然です。子どもたちは「○○に行く道」、「○○の前の道」のような表現を使うでしょう。だから「国道」が分からないのは当然です。つまり、教科書に書かれている漢字、カタカナの大部分は多くの子どもが分からないのです。

 さて、以下は何を書かれているでしょうか?

 

○○は○○○と○○○の2つに分かれています。○○は、○○で○○されたとき○○します。同じことを○○で2度も○○○するのは、重要な○○の○○を○○○○○におこなうためで、このような○○○を○○○といいます。○○○○の全員で行う○○を○○○といいます。○○○の前には、○○○などを○○に調べる○○○が開かれます。

 

 分かりましたか?

 実は、これは平成3年度版の学校図書の教科書の以下の一節なのです。

 

国会は衆議院と参議院の2つに分かれています。法律は、両院で可決されたとき成立します。同じことを両院で2度もしんぎするのは、重要な政治の決定をしんちょうにおこなうためで、このようなしくみを二院制といいます。国会議員の全員で行う会議を本会議といいます。本会議の前には、法律案などを専門に調べる委員会が開かれます。

 

 小学校6年生の子どもが伏せ字の部分を知っていると思いますか?

 もしかしたら、そんなに全部分からないとは限らないという方もおられるでしょう。では、高校3年生の英文読解を思い出してください。1ページの大部分の単語が分かっていたとしても、キーとなる単語が2,3個分からないだけで、意味が読み取れない経験は誰しもあるでしょう。子どもたちはそれより重篤な状態で勉強しているのです。

 それだったら、言葉の意味を教師がしっかり教えればいいと思う人がいるかもしれません。しかし、それは無理です。我々は自分が分かりたいと思ったときに、情報を吸収するのです。みなさんも職員会議で係の人から説明を聞いているときは上の空で、実際に必要になったときに係の人に聞いたことあるでしょ。あれと同じです。一人の教師が30人の子どもの知りたい言葉を知りたいときに教えることは不可能なのです。

 ということで、『学び合い』が学力向上するのは当たり前であり、学力向上をしないならば『学び合い』をちゃんと実践できていないと私は断言するのは上記があるからです。実証的データに基づかない議論の愚かしさをご理解いただけたでしょうか?だから、文部科学省での議論に全く興味がないのです。言葉遊びです。