日本経済新聞「小学校から『AI学習』、情報教育を大幅拡充 次期学習指導要領案」(2026年7月、https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD2366J0T20C26A7000000/ )を読みました。
案の中身は、大きく三つです。
小学3年以上の「総合的な学習の時間」に「情報の領域」を新設し、生成AIの仕組み、ネットのリスク、プログラミングを学ぶ
中学は技術・家庭科を分け、新教科「情報・技術科」をつくる。情報の学習時間はいまの倍、最大で週2コマ程度
高校は「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」の中身を厚くする
(実施は小学校2030年度、中学校2031年度、高校2032年度から。情報分野は2028年度に先行)
私の感想は「やめてくれ」です。
市場占有者である文部科学省が、学校教育での生成AIを主導する。すると生成AIは、いまの学校の型に押し込められます。
まず、禁止事項と注意事項のリストが先に来る。次に、教員研修で「正しい使い方の型」が配られる。授業では「AIに聞く前に、まず自分で考えましょう」と指導される。子どもの活動は「AIを使った探究のワークシート」に整形され、ルーブリックで評価される。生成AIは、正解のある課題の答え合わせの道具になる。
正解のない問いを一緒に考える。自分の外の知に、いくらでも手を伸ばせる。生成AIのいちばんおもしろいところが、こうしてそぎ落とされます。市場占有者ほど、いまのやり方が正しいと本気で信じている。悪気なく、そうします。だから、ぐちゃぐちゃにされる。
ただし、記事の最後の一文に希望を持ちました。
「特異な才能をもち『ギフテッド』とも呼ばれる児童生徒についても、特例制度を設ける。才能を示す分野の通常授業の一部を免除し、大学で研究したり講義を受けたりできるようにする。」
この制度をまず使うのは、N高等学校のように、1条校でありながら通信制の特例で縛りを最小化している学校でしょう。制度の隙間を使うことに慣れているからです。
一方、公立学校は使わないですね。「通常授業の一部を免除する」という判断を、現場は引き受けにくい。横並びから外れる動きも起きにくい。
ただし、旧帝大系の大学が、この制度を使った生徒を入試で優遇し始めたら、話は変わります。超進学校は使うでしょう。進学実績という、はっきりした損得があるからです。新しいものを最初に採るのは、いつもこういう層です。
何が正解かは、私にもわかりません。誰にもわからない。わからないときは、一つに揃えるより、多様な試みをたくさん走らせたほうがいい。そのどれかが、正解に近いところに残ります。いまは、多様性を高めることが、正解に近づく道です。