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2007-06-26

[]西川ゼミで学べること 22:18 西川ゼミで学べること - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 西川ゼミで学べること - 西川純のメモ 西川ゼミで学べること - 西川純のメモ のブックマークコメント

 本日西川ゼミ修士1年の現職院生さんとゼミをしました。今は、テーマを決める時期です。方向性が決まらず、不安一杯の時期です。そこで、以下のことを語りました。

 私は、皆さんが超一流の研究をなしえることに関して、爪のあかほども不安はありません。何故なら、超一流の研究をなしえる理由があるからです。もし、他の研究室でやっているような文献研究をやっていても、失礼ながら、あなた方は一流の研究は出来ません。何故なら、その種の研究の場合、ドイツ語が読める、フランス語が読めるということが決定的な条件になります。もっと言えば、十七世紀のドイツ語が読める、十八世紀のフランス語が読めるかが求められます。失礼ながら、十八の時から、そのトレーニングを積み上げている学者達と戦って勝てるわけありません。が、学者は「手の綺麗な」研究をしたがります。手間のかかる泥臭い研究はしません。我々は、そんな学者がやらないような研究をしています。それは、子ども達の会話を数十時間、数百時間聞くという、本当はすべきだと学者は知っているのに、学者は絶対にしない研究をします。更に言えば、実践者の感性を大事にする研究をしています。だから、学会においても超一流の研究が出来ます。

 が、皆さんが、どんな素晴らし研究をしても、現場に帰って5年も経てば、「思い出」になる可能性はあります。が、それでも、皆さんは得るものがあります。我々は「子どもは有能である」と本にも書きますし、色々なところにしゃべります。その言葉自体は、ごく普通言葉で否定する人はあまりいないのかもしれません。しかし、その言葉に対しての深み、自信の強さは我々は誰にも負けない自信があります。

 子ども達の会話や行動を徹底的に聞くと、子どもたちの「愚かさ」、「幼さ」を聞きます。が、その「愚かさ」、「幼さ」と思えたことが、実は本当の「有能」さの基本的構成物であることが分かります。子ども達の有能さとは、多くの教師の考えているような有能さではありません。多くの教師にとっては、「愚かさ」、「幼さ」としか思えないことなんです。しかし、それらが連綿と積み上げられたとき、実は「有能」さにつながることは、徹底的に聞いたものが確信できるものです。もちろん、我々のような数百時間ICレコーダーを聞き、耳が痛くなり、幻聴が聞こえる(と歴代OBが言っています)ほど聞かなくても、しっている先生はいます。が、それだけ聞けば、確実にそれを理解することが出来ます。

 もし目の前に暴走族子どもがいて、知的障害の子がいて、人間関係の結べない子がいて・・・、教師が無能と考える子どもがいたとします。多くの教師が、その子は「出来ない」と判断する理由は妥当な理由でしょう。しかし、それでも我々はその子は有能になり得ると思えます。何故なら、多くの教師が知っている、その子の「愚かさ」、「幼さ」が「有能」に繋がることを知っているからです。

 以上のように語りました。

 もし、運命の巡り合わせ、機会があったら、我々と一緒に「学術」研究をしましょう。「学術」は決して「実践」とは矛盾しません。「学術」が積み上げた方法論は、「実践」を高める有効な武器になります。お誘いします。

[]埼玉県を変えるべき同志へ 21:52 埼玉県を変えるべき同志へ - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 埼玉県を変えるべき同志へ - 西川純のメモ 埼玉県を変えるべき同志へ - 西川純のメモ のブックマークコメント

 同志からメールをいただきました。

 『お久しぶりにメールします。本庄西川の注:埼玉での会合)では久しぶりにお会いでき,またまた勇気を持ち帰りました。さて,いくつか近況報告です。

1)○年生の学び合い。このクラスには障害をもったBがいます。この子にどう関わるのかをずっと観てきました。幸い,一人の元気印のAが付きっきりで観てくれました。甘えていました。単元が変わって突然この子が「先生,聞いて」と泣いて訴えてきました。理由は,障害を持ったBに関わっているのにちっとも覚えてくれない。自分の学習が進まないということでした。私はものすごく反省しました。『学び合い』がどういうものかを知っているつもりでいたのに。ショックでした。Aを苦しめてしまったこと。次の日,この子を含めたクラス全員に語り,謝りました。仕切り直しでした。

2)日授業を始めた途端,ある女の子がこんなことを言いました。「先生ってさあ,教えるのが仕事なんでしょ。じゃあ,どうして学び合いなんてするの?」と。想定内の発言に妙に嬉しくなりました。「学び合い」ってどうしてやるのかは授業を始めるときに話したよね。と言っている側から,1)のAがこんなことを言いました。「先生はねえ,僕たちに教えるんじゃなくてみんなを考えさせているんだよ」と。4月から2ヶ月で本物になった気がします。

3)今日,このクラステストでした。今まで結果が出ませんでした。今度結果が出ないときは一斉授業にすることをみんなで話し合いました。このときもAは「先生情報は一つじゃない。僕たちの持っている情報の方が多いんだよ。結果だそうよ」って。結果は,みんなで決めた平均にはいきませんでした。でも,前回よりも13,4点あがりました。学習カード感想にまたしてもAがこんなことを書いてきました。「僕はBちゃんと(障害を持った子)離れました。それで違うところにいきました。僕のグループは分かったと思いますが,Bちゃんが分かっているか心配です。だからまた,Bちゃんの所に戻ろうと思います。」と。

 なんて子どもって素晴らしいのでしょう。なんて有能なんでしょう。私たちが考えている以上に子どもはきちんと分かっています。こんな子に会えたこと,教師をやっていて良かったと思える時ではないでしょうか。K(西川注:私も知っている同志)と話しているとき涙が出てしまいました。是非,今度のこの子ども達を観てやってください。先生だって泣けますよ。私以上に。自慢話の報告ではありません。感動をくれた子どものことを伝えたくて。また,報告できるよう毎日を「楽しみます」

追伸 まだまだ学校は変わりません。焦ってもいません。でも,先日先生の所に連れて行った4年目の若き先生学び合いを少し入れた授業を始めているようです。』

 私の返信は以下の通りです。

 『十分、感激をいただきました。涙を拭きながら書いています。

が、○○先生は自分のクラスをどうのこうののレベルではないですよね。

昨日、本日、「呪文」というメモを書きました。

簡単な呪文です。

埼玉子ども達は待っていますよ。

ね。』

 ものすごく、期待しているんです

[]講演会 21:38 講演会 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 講演会 - 西川純のメモ 講演会 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 宮城県栗原市で以下の講演会をします。ご希望の方がいたら、私にメールしてください。

1 期 日  平成19年8月9日(木) 13:30~15:30

2 会 場  栗原市立鶯沢小学校 多目的ホール

3 内 容  演題「学力向上のための学び合いを生かした授業改善について」

4 講 師  上越教育大学 教授 西川 純 先生

[]呪文16:33 呪文2 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 呪文2 - 西川純のメモ 呪文2 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昨日のメモに書いたように、「学び合わない子が問題の原因ではありません。その子をほっておいて学び合っている子どもの方が問題です。その子たちが変わらないとクラスは変わりません。学校教育意味を熱く語ってください。そして、「クラス全員」ということを強く求めて下さい」という呪文を担任の先生に語りました。本日、その学校に行きました。

 見て、大笑いしました。昨日とは全く別クラスのようです。もちろん、全ての子どもの会話のレベルは最高レベルというわけではありません。しかし、全ての子どもが学び合っていました。『学び合い』の初期段階はクリアーです。

 私は、さらに、さらに担任の先生に、熱く、暑苦しく夢を語りました。担任の先生曰く、「西川先生に言われると、なんか出来そうな気がするから不思議」だそうです。

 我々の呪文は極めて単純です。「望んでいることを、望んでいる人に、はっきりと分かりやすく語る」のみです。私は担任の先生に語り、担任の先生子どもたちに語っただけです。でも、「望んでいることを、望んでいる人に、はっきりと分かりやすく語る」なんて、馬鹿馬鹿しいほど当たり前のことをしているだけのことです。逆に言えば、今までの教育では望んでいることを、望んでいる人にはっきりと分かりやすく語らなかったということの方が馬鹿馬鹿しいと思います。語る内容が、フェアーで、当人にとって納得できる内容であり、それが集団の課題であれば成立するのはごくごく当然のことです。

 と、分かっているのですが、激変の度合いに、呪文を唱えた私自身もビックリです。まるで本当の魔法使いになった気分です。