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2018-08-02

[]イノベーター 21:40 イノベーター - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - イノベーター - 西川純のメモ イノベーター - 西川純のメモ のブックマークコメント

 イノベーターの特徴は具体的事例によって納得するのではなく、理論によって納得するという特徴があります。

 『学び合い』を最初に支持するのはイノベーターです。だって、それを実践している人は世の中に殆どいませから。でも、20年以上『学び合い』とつきあって、イノベーターには2種類あることが分かります。

 授業方法の新鮮さと革新に引かれる人。

 一人も見捨てない、そこから導かれる今後の社会の新鮮さと革新に引かれる人。

 前者の人は『学び合い』に興味を持たなくなります。だって、『学び合い』は既に多くの人に知られ、実践されるようになりましたから。

 前者の人は、子どもがよく分かり、楽しんでいることを喜びます。

 後者の人も、それが感じます。ただ、子の子ども集団だったら20年、30年後どうなるかを妄想できます。

[]感動 21:21 感動 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 感動 - 西川純のメモ 感動 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私は自分には不可能なことを実現する人と繋がっていることを心より喜びます。その人と繋がっていることで、自分が高まるように感じるからです。

 ある人がいます。十年以上の『学び合い』の同志です。といっても、初めて合ったときの印象が強いので、年齢が進んでも私にとっては兄ちゃんです。私と同様に、自分の対価を正確に認識し、それを要求します。だから、誤解されがちです。最近は学んだので、その失敗が少なくなっています。これは私と同じです。

 その方は5月の健診で、自身が「がん」であることを知りました。もちろん、現在の「がん」は死病ではありません。ちゃんと対応すれば、大丈夫な病気です。が、私が30歳の時、急性アルコール性肝障害で1ヶ月入院したことを思い起こせば、たとえ死病でなくても、どれほどのことかと想像すると、想像できません。

 私は何を感激しているか。

 「がん」であることを知った後に、以下のことをしました。

1) Zoomを介しての、私の講演を設定した。

2) 『学び合い』を取り組みたい学校の先生方を上越に参観することを企画し、実行し、上越に来た。

3) 『学び合い』フォーラムの財政的基盤を成り立たせるために汗をかいた。それも、フォーラムの実行委員会の人に自分が大丈夫な人であることを紹介して欲しいと願ったのです。

 自分が「がん」である時、こんなことを出来ません。みなさん、出来ますか?私の到達できない領域の人であることを実感しました。その方と繋がり、その方から「先生」と呼ばれる光栄と、義務を思います。

[]少数派 18:08 少数派 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 少数派 - 西川純のメモ 少数派 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 ある人が、「『学び合い』がそんなにいいなら、『学び合い』の実践が広がっているじゃない。ところが、やっている人はいないじゃない」と『学び合い』実践者に言ったそうです。

 それを聞いて笑いました。

 そりゃそうです。

 日本中の小中高の先生は70万人です。『学び合い』を実践している人はどれほどでしょうか?私は1%ぐらいではないかと思っています。もしかしたら、それを超えているかもしれません。しかし、それにしても僅かです。

 が、考えて下さい。

 日本中の大きな本屋に行って下さい。その中で『学び合い』の本が必ずあり、それも数多くあります。何故、置いてあるかと言えば、買う人がいるのです。ということは、身銭を切って学ぼうとする人の中で『学び合い』実践者、シンパの人はかなりの割合であることを示すものです。

 それに、何かの学術データに基づく理論に基づき、それを実践している人の数で言えば、日本の教育の歴史の中で最大と言っていいと思います。

 今の一斉指導だって、何の理論もない。だから、「学力」、「興味関心」のような言葉すら、同じ学校の先生でバラバラです。

 地元の教科をリードする人達の集団を思い浮かべて下さい。おそらく、県庁所在地レベルであっても十数人の人達だと思います。その人達が定期的な研究会に参加し、県がブロック研究会を受けたとき授業者として発表すると思います。

 以上から考えて、我々は少数者でしょうか?

 私は少数者だと思いません。

 今度の土日に静岡で『学び合い』の全国大会が開かれます。楽しみです。

追伸 本日、早稲田大学の教職大学院と上越教育大学の教職大学院の交流会がありました。そこに座っていたら、横の席の人から声をかけられました。その人は『学び合い』の実践者なのです。学ぶ意欲のある人の中での割合は少なくないと思いました。

[]ブレインの方々へ 09:58 ブレインの方々へ - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ブレインの方々へ - 西川純のメモ ブレインの方々へ - 西川純のメモ のブックマークコメント

 『学び合い』研究のごく初期に参照した研究があります(野島 1992、後藤、野島 1993)。その研究には組織における知識の流れは、「ブレイン(brain)」、「ゲートキーパー(gatekeeper)」、「エンドユーザー(end user)」です。ブレインとは、ある分野に関する専門家で、エンドユーザーとは素人、ゲートキーパーはその中間に位置する半専門家です。

 その後の『学び合い』研究によって、この三階層は『学び合い』においては流動的であることが分かったので、現在は三階層モデルを採っていません。しかし、この三階層モデルの中で面白い現象があることが明らかになっています。

 エンドユーザーが何か分からないとき、特定のゲートキーパーに聞きます。また、ゲートキーパーが何か分からないとき、特定のブレインに聞きます。つまり、ブレイン-ゲートキーパー-エンドユーザーのラインがあるのです。これを職員室に置き換えれば分かりやすいと思います。新卒の先生が職員会議の中の話しで分からないことがあれば、聞きやすい先輩に聞くと思います。先輩が分からないことがあれば、聞きやすい教頭、教務主任、ベテランの先生に聞くと思います。ですよね。人の相性はありますから、聞きやすい、分かりやすい人はいます。

 三階層モデルによれば、ブレイン同士、ゲートキーパー同士の繋がりは相対的に弱いのです。『学び合い』の場合はそうではありませんが、それでも、相対的にはそういう現象がありますよね。一方、ブレイン同士は繋がって、相談し合っているのです。

 これが最も端的に表れているのは『学び合い』の会のように思うのです。『学び合い』の会に参加する人の中の多くは、特定の会には参加するが他の会には参加することが殆ど無い人がいます。一方、色々な会に参加し、他の会の主催者と繋がっている人がいます。しかし、その数は多くはありません。でも、少なくともいることがとても重要なのです。

 『学び合い』の実践者はインターネットを通じて繋がっています。しかし、インターネットのみの繋がりは不健全になります。直に合うことを併用することが大事です。Aという会の誰かと、Bという会の誰かとが繋がれば、AとBの会の全ての人が間接的に繋がることが出来ます。我々は全員が強くならなければなりません(http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20180801/1533120179)。是非、繋がってください。

 このことは何度か書いたことですが改めて書きます。何故なら、そうできる環境が整っているからです。最近では、毎週、『学び合い』の会が開かれています。例えば、私が把握しているだけで以下の通りです。

 7月15日 奈良の会、7月22日 川越の会、7月27日 新潟の会・東葛の会、7月28日 大阪の会・福岡の会、7月29日 東京城北の会、8月10日 神奈川の会、8月19日 大阪の会、8月28日 和歌山の会

 そして、8月4日、5日に全国大会が静岡で開かれています。互いの繋がりを強めてください。我々はそれが出来る強みがあります。