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2001-03-22

[]教育実習で役立ったもの 22:52 教育実習で役立ったもの - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 教育実習で役立ったもの - 西川純のメモ 教育実習で役立ったもの - 西川純のメモ のブックマークコメント

 以前、小学校での教育実習から戻った学生さんに、教育実習で知っていて(もしくは出来て)よかったことを自由記述で書かせたことがあります。私の当初の意図では、大学での、どんな講義・実習が役だったかを知ろうと思いました。ところが、「スマップメンバーの名前を全部知っていてよかった」、「バクテン(宙返り)が出来たために尊敬された」等の記述が最も多いものでした。それによって速やかにクラスにとけ込むことが出来たと書いてありました。

 教育実習の期間は4週間にすぎません。確かに、その程度の期間では、仲良くなれるかなれないか程度のことが重要になります。たしかに、仲良くなることも大事だと思います。教育実習の最終日に、「きっと先生になってください」という子ども子ども言葉で、涙をボロボロ流す学生さんは少なくありません。それによって、「絶対に教師になるぞ!教師は私の天職だ!」という確信を得ることは大事です。しかし、所詮、「お兄さん、お姉さん」のレベルにすぎません。その程度であるならば、何も授業をしなくても、教室にうろうろする程度でも実現することは出来ます。

 もし、教育実習がより長期になるならば、「お兄さん、お姉さん」ではなく、「先生」としての資質で子ども達は実習生を見ます。教科指導のみならず、日々の生活指導が重要になります。また、ただベタベタした関係ではなく、抑制の利いた児童との間合いが重要になります。残念ながら、現状の教育実習では、その段階まで行くことは困難です。そのため、「その段階まで進めば、この学生さんの良さが子どもたちにも分かるのに」と思う学生さんが、「私、教師に向いていないんです」とがっかりして大学に戻ることもあります。

 上越教育大学では学習臨床コースの学習過程分野という、新しいコース・分野を立ち上げました。そこでは比較的長期の教育実習を行います。しかし、ただ単に長くやるわけではありません。教育実習期間をいくつかに分割します。最初にクラスの様子、一人一人の子ども観察します。その観察結果を、大学に持ち帰り、授業案を計画します。その計画に基づき教育実習を行います。教育実習における一人一人の子どもクラスは、別の学生院生が記録します。その記録を大学に持ち帰り、教育実習を評価します。そして、数ヶ月後に再度、そのクラスを観察します。このような教育実習によって、新たな教員養成を目指そうと考えています。