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2008-04-07

[]評価 22:48 評価 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 評価 - 西川純のメモ 評価 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 最近、ある先生とメールのやりとりをしました。可視化した方が良いと思いました。□が質問された先生で、■が私の返答です。

□先日からメールさせていただいている○○です。私が勤務する学校は研究指定校を受けて英語の研究に取り組んでいます。子ども達の力もつきそれなりに進んでいるのですが、先生が言ったことの繰り返し、ゲームやアクティビティ中心の活動から抜け出せていません。西川先生は英語での『学び合い』は可能だと思いますか?日本語を使えるからこその『学び合い』でしょうか?英語の授業では、ある程度日本語を使ってもいいよ、と言うと子ども達はなかなか英語を話さなくなります。子ども達がより多く英語を使いながら話していくために目標を「オールイングリッシュを目指そう」という風にして活動の中でわからない単語などは英語で先生や友達に質問する形もありかなと思っています。英語での『学び合い』を実践している学校はあるでしょうか?

■○○さんも、『学び合い』が分かったあとで、この質問をしたことを笑うでしょうね。あはははは。『学び合い』で英語したとするならば、「教科書54ページから62ページまでを全員で分かるように」と言うだけのことです。

□実は今教科書が無い状態で行っています。小学校段階では文字を導入していないのです。音声のみでのやりとりです。教科書が無いというのが問題になりますか?

■了解!では別な聞き方をします。どの時間でも結構です。その時間で達成すべきことを、具体的に書いて下さい。

□次の目標は天気予報をやろうという単元です。既習の表現を使いながら、ジェスチャーや道具などを使って、わかりやすくウェザーリポートをすることができる。国、寒暖、温度の単語を使って自分の好きな国について子どもが英語で短い天気予報を作ります。それが出来るようになるために前半部分では一斉授業やゲームで単語の練習をして(天気予報で使う文を使って)習得します。その後にそれを使って自分たちで考えるという流れです。その場合道具を使ってわかりやすく工夫することも求めています。この活動の時は6人クラスで2人グループで行いました。単語を書いたカードを使って練習をします。単語を忘れた時は子ども達同士での助け合いというのはあまり見られません。今思えばわかってそうな子達にもっと聞いていいよ、と子ども達に言えばよかったのかなと思います。

■では、その授業の目標を達成した子どもと、達成できない生徒の違いは、どこにありますか?具体的に書いて下さい。

□わかりやすく天気予報をやろうという意識はありながら単語を覚えられていなかった。最初の段階で単語が覚えられるほど練習が足りなかった。自信が無いので間違いを恐がってしまう。(他の教科でもそういう傾向がある子ですが。)といったところです。

■おそらく最後の質問です。達成できた子と達成できなかった子を判断する評価方法を「具体的」に教えて下さい。

□評価方法ですが、主に観察法で行っています。TTで行っているので二人の先生方の判断です。ただし、通知票や要録では記述のみの評価となっています。研究の中でこの評価方法が課題ともなっています。私の学校では一時間後との評価をパソコン共有フォルダに記述で残しています。

■あははははは。この回答が全てを語っています。失礼ながら、どのように評価するかを「考えていない」のです。つまり、どのような子どもに育てたいという願いが無いのです。違いますか?それじゃダメだ・・・。我々の『学び合い』では、何を達成すべきかを示すことが出来ます。なぜなら、本気で願っているのです。そして、それを達成せよと子どもに求めます。今までの教育は、何をするかは考えるのですが、何を達成すべきかはおざなりでした。しかし、『学び合い』では、何を達成すべきかを大事にします。どのように達成すべきかは、一人一人違うし、教師がどうのこうの言えるものではないと考えます。

□いえ。その通りだと思います。実は私は英語の授業の後、彼ら子ども達が話せるようになっているか疑問の時がよくあります。研究として英語の授業をやりどういう子に育てないのかというのは余り意識されていないのです。他の学校よりもちょっと多く英語の時間をやっているところに満足している状態です。もう少し評価について教えていただきたいのですが、どのような評価ならいいとお考えですか?

■評価で一番大事なのは、子どもが達成すべきことは何かがハッキリ分かることです。それが無ければ、一人一人の子どもが自分の頭で考えて、自分や周りの子どもが達成するにはどうしたらいいかを考えることが出来ません。我々の『学び合い』では、最初に達成すべきことを語ります。例えば、「教科書54ページから62ページまでを全員で分かるように」のようにです。さらに言えば、それが達成したかが分かるようなテストがどのようなものであるかが分かるようになっています。それさえ分からせれば、あとは「全員達成する」ことを求めれば、子どもたちは達成します。つまり、玄人をうならせる必要はないのです。子どもがハッキリわかる評価が大事なのです。○○さんの書いているもの読んで感じるのは、「どのような活動をして」ということは詳しいのですが、何を達成したいのかが見えにくいのです。そして、ゲーム性を高めるために、ちょいと本題から外れているように感じます。例えば、

1)国、寒暖、温度の単語を読み書きできる。(この単語群は教師が指定します)

2)1)の単語を使った文章を読み書きできる。(基本文型は教師が指定します)

以上のテストでクラス全員が80点以上取る。

例えば上記のことを求めるのです。シンプルでしょ?我々はごくごく当たり前のことをしているのです。達成すべきことがあり、そのために教育があるのです。やっている教育があり、それによって達成すべきものがあるのではないのです。

□ありがとうございます。まったく知らない私のようなものにこうやって丁寧なお返事。感動しています。ゲーム性を高めるために本題からずれているのは確かです。達成すべき目標、もう一度考えます。ありがとうございました。『学び合い』についてもう少し本を読みこみます。なんとなくわかってきているような気はしているのですが。「忙しい」を誰も言わない学校、購入しました!異学年について勉強します。また、メールさせてください。よろしくお願いします。

■よかった、よかった。『学び合い』は今までの教育の考え方とは革命的に違うので、しっくりするまで時間がかかるかも知れません。しかし、一度分かれば、馬鹿馬鹿しいほど当たり前のことを主張しているに過ぎないことが分かります。どんどんメール下さい。あと、「『学び合い』の手引き書」を再読されるといいと思います。このやりとりをしたあとで読み直すと新たな発見があると思いますよ。

[]宮城の会 06:28 宮城の会 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 宮城の会 - 西川純のメモ 宮城の会 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 『学び合い』の仙台の会の日取りが決まりました。11月29日です。場所は仙台です。ついに東北進出です!くわしくはisinomakiさんへ

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