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2008-12-04

[]全体の前で発表する 09:33 全体の前で発表する - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 全体の前で発表する - 西川純のメモ 全体の前で発表する - 西川純のメモ のブックマークコメント

 『学び合い』の授業を見たあとに、全体に発表する力が伸びないのではないか、との意見を言われる方がいます。それに対する私の応えです。

 第一に、「全体に発表する力は大事ですか?」とその方に問いたい。考えてみてください、教師というのは大人数の前で話す職業です。では、教師は職員会議で手を挙げて発言するでしょうか?殆どの先生は、そんなことしません。そして、そうせざるを得ないときには、ものすごくドキドキしてしまいます。ましてや、一般社会で生活する大人の中で、数十人の他人の前で発表する機会というのは、一生涯に何度あるでしょうか?そして、そのためにどれだけの学校教育の時間を費やすべきなのでしょうか?

 第二に、もし、「それでも大事だ」とおっしゃる方に、「では、そのことをあなたは指導していますか?」と問いたい。大事であるとしたならば、指導していますよね?当たり前のことです。そして、大事な能力であるならば、クラス全員がその能力を獲得すべきですね。これまた当然です。では、計算してみましょう。一人の子どもが自分の意見を発表して、次の子どもが自分の意見を発表するまでの時間はどれだけかかるでしょうか?まあ、3分はかかりますね。それをクラスの人数分やるとしたら100分ぐらいはかかることになります。つまり、まるまる2校時かかるのです。さらに、みんなの前で発表する能力を獲得するには何回ぐらい経験すべきなのでしょうか?考えてください。我々教師は、2、3回、職員会議で発表する経験をすれば、もう大丈夫ですか?あはははは。さて、そのようなことを現実にやれるでしょうか?無理です。結局、クラスの中で2、3人あてて発表させているぐらいです。それで良しとしています。つまり、その程度の「大事」というのが本当のところなんです。

 つまり、私も、そして「大事」とおっしゃる方も、ともにそれほど大事だとは思っていないのです。私は「全体に発表する力」はそれほど大事だと思いません。もちろん、政治家になるのだったら必要かも知れませんが、だからといって国民がすべからく獲得すべき能力であるとは思いません。一方、「自分のクラスにおいてみんなの前で発表できない」ということは重大な問題です。つまり、一般の「全体に発表する力」とは、文脈依存性を無視した、どんな状況にも適用される能力を想定しています。しかし、私が重視しているのは、「自分のクラス」においてです。

 なぜ自分のクラスのみんなの前で発表できないのでしょうか?その応えは、自身を振り返ればいいと思います。何故、職員会議で手を挙げて発言することを控えるのでしょうか?理由は「そんなこと、自分に関係ない」、「今話していることが分からず、そして、それを聞けない」、「自分の意見が他の人に受け入れられないのではないか」等です。いずれも、その人の能力というより、その人とその集団との関係が影響しています。そして、それらは『学び合い』によって解決できると思います。

[]みんなを巻き込もう 09:33 みんなを巻き込もう - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - みんなを巻き込もう - 西川純のメモ みんなを巻き込もう - 西川純のメモ のブックマークコメント

 最近のメモに子どもや保護者を『学び合い』の会に誘おうという呼びかけをしました。これって実に大事です。

 我々は手の内を子どもにさらします。例えば、指導要領も教師用指導書も子どもに公開します。隠すべきものではなく、公開すべきなのは当然です。まあ、その情報を教師が占有することによって授業をリードしようとする姑息なことを考えれば別ですが、『学び合い』はそんなことは考えません。さらに言えば、ある同志は西川研究室の『学び合い』の本を教室に置いています。これって有効です。だって、教師が何で可視化しているのか、どんなクラスを求めているのか、そんなことするとどんなクラスになるのか、そんな情報は子どもが知った方が良いに決まっています。であれば、子どもも、保護者も『学び合い』の会に参加してもらった方が良いに決まっています。

 想像してください。『学び合い』を実践して、その変化を子どもが感じているとしたならば、担任(教科担任も)が「君らの凄さを全国の先生方に自慢してくる!」と教室で言ったら子どもはどんな反応をすると思います?遠方なら諦めるかも知れませんが、電車で1時間弱だったら行きたいと思うとは思いませんか?もちろん、見に来なさいと強いるべきではありません。でも、自分たちのことを紹介しているとなれば、みたいと思うに決まっています。これは保護者も同じです。私なんかは学校のプリントに印刷される写真の片隅に息子がちらりとでも写っていたら、即、ラミネート加工をして保存します。

 これって発表者の先生以外だって有効ですよ。もし、「『学び合い』をやっている他の学校の先生が発表するんだよ。凄いんだぜ」と子どもに言ったらどうでしょうか?そして、その案内を保護者に流したらどうでしょうか?行く人がいるかも知れませんよ。例えば、『学び合い』に対して「?」がいっぱいな保護者(特に、同業者の教師の保護者)だったら、行くと思いますよ。

 参加してくれる子どもや保護者がクラスに1、2人でもいたら、凄い影響力があるはずです。担任の先生が、いかに自分たちを愛していて、自慢に思っているかが分かります。また、他の先生方の発表を見ながら、自分の担任の先生に対する信頼をまします。

 もう一つ、マスコミに対して、適切に宣伝してください。駄目でもともと、で考えてください。いつか分かってくれる人がいます。我々はあらゆるチャンネルをオープンにすべきです。

 ね、ワクワクしませんか?