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2010-12-22

[]崩れと立ち直り 07:04 崩れと立ち直り - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 崩れと立ち直り - 西川純のメモ 崩れと立ち直り - 西川純のメモ のブックマークコメント

 ある同志からの質問メールに応えようとしたのですが、同様な思いの方も少なくないと思い、ここにアップしました。

 質問の内容は、『学び合い』が崩れるのは直ぐだが、立ち直るには時間がかかるのではないか?という質問です。しかし、私の経験(西川ゼミや直接サポートしている学校)によれば、逆で、崩れるのは時間がかかるが、立ち直るのは直ぐという感覚です。

 見方が異なるのは、主に注目している対象が違うからです。質問者は、授業妨害し、反発するような子を注目し、私はクラスの健全なオピニオンリーダーになるような子を注目しています。以前、学級崩壊についてのメモにも書きましたが、クラスに問題が起こると問題を起こす子どもに目がいきます。これはしょうがない。私だって、最初はそこに目がいきます。しかし、そのような子は、健全だと思っている時も、不健全だと思っている時も、あまり変化ありません。問題の所在は、健全なオピニオンリーダーの言動です。つまり、不健全なときは、自分(自分の近くの人)がちゃんとやっているのだからそれでいいじゃん、その子たちは思っています。そして、健全なときは、その子たちが、クラス全体のことを気にかけ、声をかけます。これは、単なる思いつきで書いているのではなく、膨大なデータに基づいて書いているのです。

 さて、考えて下さい。そのような健全なオピニオンリーダーの子どもは、『学び合い』を崩そうと思うでしょうか?また、崩れた状態が自分に損であると気づかないでしょうか?両方とも否です。『学び合い』が崩れそうとしたら、その子なりに何とかしようとします。そして、立て直そうとします。では、それでは何故、崩れ、立て直れ無いのは何故でしょうか?誰が原因でしょうか?答えは教師です。

 最初に言いますが、以下で書くことは私も同じです。崩れるときは、集団の見取りが弱いのです。「うまくいっている」という安心感から手を抜くのです。見てないのですから、徐々に時間をかけて崩れているのを見逃します。その間、オピニオンリーダーたちは必死で立て直そうと努力しますが、教師の評価が弱いので、その動きは単独行動になってしまいます。そして、崩れがハッキリ見える事件があって教師は初めて気づくのです。そのため、急激に崩れるという印象を持ちます。

 では、立ち直りに時間がかかると思うのは何故でしょうか?それは原因は自分にあるのではなく、問題行動を起こす子どもにあるという思いをなかなか断ち切れないのです。そして、自分の心、そして、その現れである行動の修正に時間がかかるからです。ちゃんと謝り、仕切り直し、それに矛盾無い行動をすれば直ぐに変わります。特に、オピニオンリーダーの子どもたちは直ぐにです。パーフェクトになるのには時間がかかるし、そもそもパーフェクトの状態というのは人間の本性に反することをやっているのですから危ういものです。しかし、それに近い状態ならば、比較的短時間で実現できます。

 視点を問題の子ではなく、オピニオンリーダの子ども「たち」に移してください。原因を問題の子どもではなく、自分のゆるみに移してください。人は変えられませんが、自分の心は自分の決意一つで変えることが出来ます。

追伸 その渦中にいるときは、上記を受け入れがたいと思う気持ちは私も同じです。でも、そう考えても出口はありません。自己憐憫に陥ってしまう。だから、嫌われても、何度も書きます。乗り越えねば。