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2011-10-09

[]良い先生 19:09 良い先生 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 良い先生 - 西川純のメモ 良い先生 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 もし、「良い先生に必要なものは何ですか?」と質問すれば、圧倒的大多数の人は「話が面白い・分かる授業が出来る」と答えるでしょう。細かいところでは「板書が綺麗・整理されている」等が出てくるでしょう。多くの教師の職能に関する研究は、このようなものに基づいて質問項目を構成しています。ですので、当然、「話が面白い・分かる授業が出来る」という設問に対して多くの人が○を選択します。

 では、みなさん、皆さん思い出して下さい。皆さんの教えてもらった先生の中で、一番、良い先生だな~っと思う先生を思い出して下さい。その先生は「話が面白かったでしょうか?」、「授業は分かりやすかったですか?」、「板書は綺麗・整理されていましたか?」。おそらくそうではないですね。

 今から十年以上前に、そのような調査をしました。その当時は、教師は面白くて分かりやすさが勝負だ、と思いこんでいた私にとっては驚愕の結果でした。しかし、同時に『学び合い』研究にシフトしつつある時期だったので、その結果を理解することも出来ました。考えてみれば当たり前です。

 我々は授業の仕方で教師を見ているのではありません。授業の仕方のみならず、ぼっとしているときの姿、とっさに出る一言、その他様々のその先生から出る情報を元にして、その先生を解釈します。その結果をメンバーで共有します。その結果、かなり正確に評価でいます。

 対教師だったらかなり過去であるため、忘れているかもしれませんし、不正確になっていると思います。では、校長に置き換えて下さい。良い校長とはどんな人ですか?という質問に応えて下さい。そして、過去に仕えた校長の中で良かった校長を思い出して下さい。それらは一致していません。

 良い先生という言葉と、実際の良い先生は別物です。しかし、残念ながら「良い先生」という言葉に基づいて教師の職能を想定し、それに邁進する教師がいます。子ども「たち」は、もっと深いところ、「人」を見ているのですが・・・・

[]中学校理科 08:58 中学校理科 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 中学校理科 - 西川純のメモ 中学校理科 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 千葉大学附属中学校で理科の『学び合い』の授業が公開されます。11月11日です。お誘いします。http://bit.ly/n5wevT

[]ショー 07:50 ショー - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ショー - 西川純のメモ ショー - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私が高校現場の教師だったときの話です。学生実験で2時間かけた炎色反応の実験を、期末試験のテスト問題に出しました。その実験は好評であったため、目論見としてはいい点数を取ってくれるのではと思っていました。しかし、結果は散々です。そこで、答え合わせの際、「これこれの実験をやったのに何故解けなかった?」と聞きました。ところが、クラスの大多数は「そんな実験やっていない」と確信を持って答えていました。いろいろ、その実験の説明をしたところ、最後に彼らが言った言葉は「あー、あの赤く光った実験!」でした。私は炎色反応の実験を見せたつもりだったが、生徒は「赤い光の実験」として見ていたのでした。

 昨日、テレビを見ていたら、サイエンスショーが放映された。それなりに楽しめます。サイエンスショーの後に、その実験が科学とどのように関わっているかを語ります。その人が全米で優秀教師に選ばれたことが紹介されます。視聴者、そして番組制作者も、そのような実験は理科教育の正しい姿のように印象づけられたのではないかな~っと思いました。

 ある教師の研修団体での授業コンテストを参観したときがあります。出演者は様々な趣向で授業を構成します。漫才のしゃべくりを駆使したり、教具を活用したり、はては侍の扮装をした人がいました。私は言葉のおもしろさを駆使しながらも、教材の本筋を捉えている方の授業が良いかな、と思ったのですが、侍の扮装の人が最優秀でした。もちろん、ショートしては素晴らしいことは私も同意です。子どものために努力されていることも分かります。が、ショー化すること重きを置きすぎ、大事なところを見失っているように感じるのです。

 ショーは一発勝負です。だから、話術も大事、演出も大事です。が、授業は違います。子どもは授業ではなく、教師「その人」で学習するか否かを決めます。その教師が、子どもたちをどういう存在だと思っているか、何のために自分は教師でいるのか、というスタンスが大事です。教師は芸人ではありません。もちろん芸人の能力が合った方が良い。でも、その能力を持つ人はごくわずかです。修行すれば達するのではなく、才能の問題です。これが分かっていないな~っと思うのです。