■ [大事なこと]大人のつきあい方
大学を修了し、高校教師として採用された後、愕然となったことがあります。それは、就職後に「友」は得られないということです。理由は就職後に付き合う人は「家庭」を持っているからです。その人は、家庭を優先します。従って学生時代のような、相手と自分とが最優先されるような友達関係は結べないのです。
25歳でこの事実を分かった時、とても寂しく感じましたし、相手を冷たく感じました。しかし、自らが家族を持つようになった時、このことは健全であることを感じます。家族を持ってから、私の結ぶ良好な関係は基本的に「同僚」です。私は私の家族を大事にしています。同時に、私の関係者に関して、その家族を大事することを守ろうとしています。だから、家族に無理するようなゼミの行事は「参加してはいけない」と命令します。家族では無くとも、彼氏・彼女との関係を優先することを認めています。
私とゼミ生との関係は、疑似親子関係は結ばないようにしています。あくまでも上司と部下の関係です。私は部下の家族を大事にすることを守ります。そして、ゼミ生には私の家族に迷惑をかけないことを求めます。このことを極めて大事だと思い、徹底します。
現職院生の多くは、家族を犠牲にすることを当然にされている学校現場でもまれた人です。でも、その人たちが管理職なった時、自らが周りから求められたことは間違いであることを理解して修了して欲しい。そして、学卒院生は現場において大人のつきあいが出来るようになって欲しい。そして、その寂しさを埋めるべき一生涯の関係を結んで欲しい。
そのために、時に冷たくなることが指導教員としての私の勤めであると確信しています。そして、私のありとあらゆる人間関係の基本的なルールとしています。私は家族を大事にしていますし、私は相手が家族を大事にすることを大事にしています。私を知る人だったら、このルールに関して私が徹底していることをご存じだと思います。
追伸 もちろんゼミ生が寄る辺ない状態になれば、疑似親子関係で守ります。しかし、それは私が支え合う集団をつくりきっていないためと理解し、出来るだけ早く疑似親子関係を解消するように努めます。
■ [嬉しい]7つのルール
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■ [大事なこと]現職院生と学卒院生
「上越教育大学の教職大学院の特徴は現職院生と学卒院生が協働する実習を行うこと」と書くと、「いや、ほかでもやっている」と言われそうですね。そこで補足です。
たしかに他大学の実習で現職院生と学卒院生が組になって実習するところもあります。しかし、その関係は「初任者指導教員と初任者」もしくは「指導教諭と学部教育実習生」との関係です。当然です。現状はそういう関係で教職の職能を高めようとしています。しかし、上越教育大学の教職大学院での関係では、「同じ職場の先輩と後輩」なのです。
現職院生が現場に戻れば、若手教員を指導し動かす立場になります。しかし、校長の立場で指導し動かすわけではありません。同じ教諭として若手を指導し動かします。また、若手教員が現場で生き残れるか否かを決めているのは、校長とどのようにつきあえるかではありません。先輩教員とどのようにつきあえるかです。だから「同じ職場の先輩と後輩」の関係になるようにしているのです。
では、どのようにしてそれを実現しているか。実習は3人から6人のチームになって入ります。現職院生と学卒院生が組になって実習に入れば、自然と上司と部下の関係になってしまいます。それを避けるためにチームになります。そして、チーム同士が関わります。これが上越教育大学の教職大学院で出来るのは、多くの教職大学院の定員が10人~20人なのに対して50人と大所帯なのです。そして、現職院生と学卒院生の人数がとも多いからです。
また、現職院生と学卒院生だけの関係になると上司と部下の関係になります。そうならないためには圧倒的な立場で指導教員が存在しなければなりません。指導教員から見て、現職院生も学卒院生も等しく学生である、という関係である時、現職院生と学卒院生の関係が上司と部下では無く、同じ職場の先輩後輩の関係にはなりません。
これは大学の講義やゼミならば、多くの大学でも実現可能でしょう。しかし、教育実習で実現できるのが上越教育大学教職大学院の特徴です。教育実習でも実現するには、教育実習校においても大学教員が存在感を示さなければならないのです。そのためには、頻繁に実習校に行き、研修に協力し、実習校の管理職・先生方と腹を割って話せる関係にならなければなりません。つまり、多くの大学における実習担当の先生の役割を果たさなければなりません。多くの大学において、それは現場経験の長い大学教員か、件との交流人事の教員が担当しています。しかし、現場経験だけならば校長と対等に渡り合えることは出来ません。学術での実績がある必要があります。相手の弱いところを補い合えるような関係があるとき、対等な関係が出来ます。
従って、上記を実現するには現場経験があり、それもかなりの実績を持ち(例えば書籍を何冊も出した、とか、他校・他地域の研修指導の経験がある)かつ、学術の業績(例えば学術論文や博士の学位)を持つ必要があります。いずれか一方だけの人ならば一杯います。しかし、両方を兼ね備えている大学教員は多くはありません。(しかたがありません、現状の大学は設置審の縛りがあり、そこには現場での実績は評価されませんから)。ところが上越教育大学の教職大学院は、上記のような数少ない教員でスタッフを固めています。
そして、ありがたいことに地元が全面的にバックアップしてくれています。おそらく学部の教育実習の過半数が地元の小中学校群で実施している大学は本学一つでは無いかと思います。本学が地元の学校の全面的な要望によって設立されたという特殊な事情があります。そして、新潟県が組織的・大量に現職者を大学院に派遣しているので、地元学校にも多くのOB・OGがいます。だから、とても理解があるのです。わたしも「おい」と呼べるゼミ生が地元にいます。そのため、定期的に大学院スタッフと大学教員が飲み会をやっているのです。
ということで、現職院生と学卒院生が先輩後輩の関係になれるのです。
ちなみに、私のゼミではさらに一つの仕組みが加わります。私のゼミには学部生が多く所属します。そして、ゼミはもちろん実習も協働でやります。つまり大学院生の実習に学部生の卒業研究を絡ませているのです。それによって、メンバーの多様性を保ち、単純な上司部下の関係を発生させないようにしています。しかし、このようなことが出来るためには、実習校が全面的に我がゼミを信頼していただけるからです。ありがたいことです。
■ [嬉しい]新幹線
来年3月14日に上越に開業します。人口の関係もありますので、特急型の新幹線はとまりません。近くのハブ駅で乗り換えて東京や大阪方面に行くことになります。でも、それでもとてもありがたい。
第一に、時間が短縮されます。しかし、それ以上にありがたいことがあります。それは雪が降ってもダイヤが安定しているということです。JRは新幹線のダイヤを守るためにありとあらゆることをしています。そして、夜遅くまで利用できることです。現状では東京を5時頃に出発しないと、上越には戻れません。というのは、新幹線の越後湯沢までは電車は行きますが、そこから金沢方面の電車が発車しないのです。理由は、その時間から越後湯沢を出発しても金沢にたどり着けないからです。ところが新幹線になれば金沢にたどり着ける時間が短くなる。ということは遅くまでも動かすということです。
出張の多い我が身にとってありがたいです。
追伸 上越教育大学は全国でも希な広域型の大学です。地元以外の出身者の占める割合が他の教員養成学部とは圧倒的に違います。新幹線の開業に伴って、その傾向はさらに顕著になると思います。