■ [大事なこと]妄想
吉田さんが
「近い将来、『学び合い』が授業スタイルとして標準になった時、「一人も見捨てない」という願いを持たないままに『学び合い』っぽい授業スタイルを実施する先生が出てくるんじゃないかな、、、と。
そしたら、その時、『学び合い』はどうやって機能するんだろう?
いまは、標準じゃないから、『学び合い』を実践する先生は、皆、その願いを持った先生だとおもいます。
いらぬ心配かもしれませんが、ふと思って、考え込んじゃいました。このことを書いてある本もあるのでしょうか?」と問われました。
とても大事な質問なので、ここに書きます。
『学び合い』は多様性を前提としています。例えば子どもは多様です。だから、その全てにフィットする教材や指導法は無いと思います。だから、子どもが自由にそれを選択できる状態にすべきだと『学び合い』は考えています。
多様性を前提にしているのは子どもばかりではなく、教師に対してもです。
この手のことをゼミ生と話すとこんな例で話します。
私:日本は日本国憲法によって成り立っているよね?
ゼミ生:はい
私:日本国憲法は全何条か知っている?
ゼミ生:え?知りません。
私:第一条、第九条、第十一条ぐらいは知っているけど、他は知らないでしょ?
ゼミ生:はい
私:日本を成り立たせている日本国憲法をそれぐらいしか知らなくて良いの?
ゼミ生:・・・・・
私:それでいいんだよ。
日本人の全てが日本国憲法をそらんじているとしたら、日本が危機的な状態だと言うことだよ。日本国憲法を良く理解している人がいて、第一条、第九条の知らない人がいる。日本国憲法に強く賛成している人がいて、強く反対する人もいる。
しかし、いずれも少数派。
大部分の日本人は、そこそこ理解して、そこそこ賛成している。そして、日本国憲法を強く反対している人より、賛成している人の方が正しいと思っている。
何事も正規分布。ボリュームゾーンは中庸。
「週イチで出来る!アクティブ・ラーニングの始め方」の第6章に同様のことが書いてあります。
さて、私が何を目指しているか?それは教師の全員が『学び合い』を理解し実践してくれる状態ではありません。イノベーター理論のイノベーター2.5%とアーリーアダプター13.5%の合算、つまり16%の人が分かる状態です。ムーアによればキャズムを超えてブレイクします。今、日本には小中高に70万人の教師がいます。だから、11.2万人の教師がそうなればいいなと思います。47都道府県で単純に割れば2400人です。
荒唐無稽のように思われるかもしれません。しかし、10年前の『学び合い』フォーラムには二十人ぐらいしか集まらなかったのです。それが10年間で今の状態になったのですから、荒唐無稽とは思いません。楽観的に妄想します。