■ [大事なこと]比較
上越教育大学の教職大学院の同僚は私にとって誇りです。ゼミ決めの際、私の所に面談に来ましたが、最終的に私以外のゼミになった人が言いました。「この大学院は、いい物件がありすぎ」と。あははははは。さもありなんです。
その優れた同僚と比べて、私の特徴は何かを考えます。
第一に、私は教師向きでない人です。そもそも、人と話すのは嫌いです。だから、友達が出来ません。高校で一方的に私に興味を持ってくれた人が私の友達です。人と何を話していいのか分からない人です。だから、私の一斉指導、そして、『学び合い』における指導も、私がダメ教師だから生まれたものです。だから、一つ一つのテクニックは言語化し、そのテクニックの意味を意識化しています。私の教え子(現職)は授業名人です。その姿をみても、私は勝てないと思います。レベルの問題ではなく次元の問題です。だから、凡人が出来るテクニックを極めています。
第二は、無意味に暑苦しいことです。今でも、自分の至らなさのために、奈落に突き落とした子どもの顔を忘れることが出来ません。夢の中で、その子たちを抱っこして「よしよし」している私がいます。その子たちが私に懐いているだけに、もうしわけなくてボロボロと泣きながら起きます。という、私がうざいと思う人がいる一方、それがいいと思う人がいます。
しょせん、私は私。変えられません。その私が出来ることをします。
こんなうざったい研究室を新入院学生の中で11人の「バカ」が選択しました。学部3年6人、4年5人、修士1年11人、修士2年6人の28人のバカ達を守らなければ。
■ [大事なこと] 私立高等学校等授業料軽減助成金事業
みなさん、東京都の私立高等学校等授業料軽減助成金事業をご存じですか?平成29年度から東京都は、私立学校の授業料を軽減、実質無償化にする私立高等学校等授業料軽減助成金事業をはじめした。
小池知事は教育機会の確保のためと言っていますが、それだけでしょうか?それもありますが、他もあると思います。この事業によって、東京都は低所得家庭の子どもの学習機会確保のために公立学校を維持しなくてもよくなったのです。
授業料が安くなれば子ども達は私立に流れます。そうすれば定員割れの公立学校が続出します。事実、そうなっています。そうなれば整理統合することになります。さて、定員割れをしている学校を維持するお金と、人数の少なくなった、その学校の生徒分の学費を助成するのと、どちらが安上がりでしょうか?
更に言えば、今後の生徒数の現状から考えて急激に学校の数を減らさなければなりません。ところが公務員である公立高校の教員を解雇することは出来ません。しかし、私立学校の経営が立ち行かなくなれば解雇はあり得ます。東京都庁の頭のいい人が、ソフトランディングさせる方法をシミュレーションしていないと考える方が不自然です。
さて、上記は東京都だけに成り立つことだと思いますか?
保護者は授業料が変わらなければ、上記に反対しませんよ。むしろ、多様な選択肢を与える上記に賛成すると思います。
「2030年教師の仕事はこう変わる!」(https://amzn.to/2r2S2tw)では公立学校の凋落、終身雇用制が段階的に実質的な消滅になることを書きました。おそらく、せせら笑った人は少なくなかったと思います。でも、東京都以外の道府県が予算的に考えたシミュレーションをしていないと考える方が不自然です。
なお、このことは小中学校も同じです。大都市圏は当然です。私立の小中学校(宗教教育を行わない学校)の授業料が実質無料になれば、それに隣接する公立学校を維持しなければならない必然性はなくなります。更に言えば、義務教育段階の授業料助成事業が始まれば、それを見越して私立の小中学校が中規模都市にも新たに設置されるでしょう。そうなれば、隣接する公立小中学校を維持しなくてもよくなります。
追伸 大学、特に教員養成系大学・学部も対岸の火事ではありません。もし、国立大学と私立大学の学費の差が縮まり、昔のように教員として正式採用され勤務し続けているならば奨学金の返還が免除されるようになったとしたらどうなるでしょう?これから教員に正式採用される人数は激減します。その人数に対して奨学金を出すお金と、免許法から多数の教員を雇わなければならない大学・学部を維持するお金と、どちらが安いか自明です。
「2030年教師の仕事はこう変わる!」で書いたことは、これから起こることではなく、既に始まっていことなのです。それが始まっていると気づいた頃には手遅れです。
■ [お誘い]大学院
平成31年度から上越教育大学大学院は大幅な改組を文部科学省に「申請中」です。その申請中のことをお知らせします。というのは、来年度入学(つまり今年度の受験)を考えている人にとって、この時期に決めなければならない人もおられると思います(現職派遣の方など)。申請中であることを含んでお読み下さい。そして、確定してからアナウンスされる受験案内等を熟読して確認して下さい。以下に書いていることと異なる場合がある可能性があるからです。
今までの教職大学院の定員60人なのが170人になります。それに伴って修士課程の定員が240人から130人に削減されます。
では、教職大学院の現メンバーにとって大きな変化があるのでしょうか?
ありません。看板を「教育臨床コース」が「教科教育・学級経営実践コース」に変わります。そして、「教育経営コース」が指導的ミドルリーダー養成と管理職養成に分かれ、前者が「教科教育・学級経営実践コース」に吸収され、後者が新たに出来る新コースに吸収されます。それに伴って管理職養成がメインであるスタッフが他コースに異動します。つまり、教科教育と学級経営を専門とするスタッフ、つまり、圧倒的大多数のスタッフにとっては看板の変更のみです。
教職大学院には定員60人の「教科教育・学級経営実践コース」以外に、定員110人(170人-60人)のコースが複数新設されます。それらのコースは今までの教職大学院と違ったコンセプトとカリキュラムを構築します。同じ科目名であっても、コンセプトは違うのですから、自ずと異なります。では、我々の特徴は何でしょうか?二つあります。
我々は既に十年以上の教育で積み上げたノウハウを用いて、対外的に高い評価を得ている学校における実習を中心とした教育を継続します。つまり、変わらないというのが第一の特徴です。
第二はスタッフです。16人のスタッフの全員が学術研究の業績を得ています。そして、そのうち4人は博士の学位を得ており、二人は博士課程で学位を取得中です。そして、同時に16人のスタッフのうち14人が実務家教員です。非実務家教員の一人が「私」です。私は実務家教員になれるほどの教職経験はありませんが、高校教師の経験があります。つまり、16人中15人が学術研究の業績があり、実務経験があります。なお、学校現場での経験がないスタッフも、学校での講演に引っ張りだこの人です。皆さんの学んだ大学のスタッフを思い出せば、この特徴がいかに「希」であることが自明だと思います。
学生さんにとっては、以前と変わらないスタッフに、以前と変わらない教育を受けるのですが、一つ、大きな違いがあります。それは免許を持たない学生さんも教職大学院で学ぶことが出来るようになります。今までは免許を持たない学生さんが進学を希望されても、断らなければならなかったのですが、それが変わります。
免許無しの学生さんは、入学試験の時に「免許取得プログラム」というプログラムを申請します。入学後、最初は免許取得のための科目履修を集中的にやります。教員養成系学部の学生さんが4年かけて履修する科目の多くを1年半ぐらいで履修するのですからハードです。しかし、非常に効率よく免許を取ることが出来ます。2年目の後半、及び3年目は2年間で修了する人の1年目の後半、及び2年目とほぼ同じです。
では、免許を既に持っており、他校種・他教科の免許を取得希望の方は2年で修了できます。これは今までと同じです。ですが、アドバイスですが、それであっても学卒者は免許取得プログラムを申請することを強く薦めます。というのは科目等履修生として免許を取得するより遙かに有利に働きます。免許取得プログラムを申請しても、希望する免許を取得することが出来て、修了可能な単位を取得できれば2年で修了できます。つまり、メリットがある一方、デメリットがないのです。
中学校教師を希望する学生さんの中には、中学校の希望する教科の免許だけしか持っていない人は少なくありません。都道府県によっては小中学校の両方の免許を持っていないと採用に不利に働く県はあります。また、中学校免許を複数持つことが有利に働く県もあります。ところが、その県以外の大学に進学した人は知りません。入学後に我々は指導できますが、科目等履修生だと科目履修の手続きは入学前に行わなければならないので、手遅れになるのです。だから、免許プログラムを申請する必要があるのです。
以上のことに関して、質問があれば私に電子メールをして下さい。ここでは書けない「デリケート」な情報もお教えします。