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2005-04-21

[]大学における研究指導の協力関係 08:18 大学における研究指導の協力関係 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 大学における研究指導の協力関係 - 西川純のメモ 大学における研究指導の協力関係 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 大学でも「協力体制」ということが求められます。その結果として、講義や研究指導を多くの人が分担担当するということがなされます。私は一貫して、それに反対しています(顔見せ興行的な講義は別にして)。指導要領やそれに基づく教科書というものがある小中高ならいざ知らず、大学の講義や研究指導はキャラの濃いものです。そんなキャラの濃い人たちがよってたかって講義や研究指導をやったら授業したり、研究指導を受ける学生さんが混乱します。それを避けるために、キャラを抑えたら大学の講義や研究指導ではなくなります。それではどうしたらいいか?それに関しては私のボスのT先生との18年間の関係がモデルになります。

 T先生とは毎日毎日いろいろな話をします。昼食も一緒です。でも、研究指導の細々としたものは全く別です。例えば、私はT研究室の学生さんの研究指導は基本的にしません。逆に、T先生は西川研究室の学生さんの研究指導を基本的にしません。おそらく学内の他の先生には意外だと思いますが、そういう関係です。でも、一方、T先生と私が昼食を食べるときには両方の学生さんが一緒に同席しますし、馬鹿話をいっぱいし合います。飲み会もいっしょ。学会ツアーもいっしょ。しかし、先に行ったように研究指導は別々なんです。でも、両方の研究室は似通った方向性を持ちました。何故なら、同じ控え室に学生さんがいるからだと思います。西川研究室の学生さんは私の考えに影響された研究を進めます。それをT研究室の学生さんと話し合うことによって間接的に伝えます。T研究室の学生さんはT先生の考えに影響された研究を進めます。それを西川研究室の学生さんと話し合うことによって間接的に伝えます。もし、T先生にせよ私にせよ、相手の学生さんに指導したら、その学生さんはそれを取捨選択することが困難です。ところが、学生さん同士ならば取捨選択することが可能です。その結果として、両研究室の学生さんは共通した方向性を確立し、それが私やT先生に影響を与えます。

 大学における教師の研究指導における協力関係は分担ではなく、互いに認め合うことだと思います。そして、学習者を相互に交流し得る環境を保証することだと思います。