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世間

 私の大学院の指導教官は小林学先生でした。

 都立高校の地学教師で、東京都の指導主事、文部省の教科調査官、筑波大学教授という経歴です。その先生に、卒業時に「出世するにはどうしたらいいですか?」と若い私は聞きました。小林先生はビックリして、にっこりして、「私は出世したのかな?」とおっしゃったので、「当たり前です」と言いました。

小林先生:西川君が就職したら研修がある。研修会場の入り口で受付をする。終わったらどうする?

私:研修会場に行きます。

小林先生:いや、違う。受付の先生に「何か出来ることはありませんか?」と聞くんだよ。

私:え?

小林先生:おそらく、「ありがとうございます。でも、どうぞ会場に行って下さい」と言うと思うよ。でも、君が何度もそれを言い続ければ、仕事を用意してくれる。単純な仕事だけどね。その仕事が終われば、会場に行く。おそらく、終わった後に、飲み会に誘われるよ。そんなことを繰り返せば、かなり大きな飲み会に誘われる。そこには、もの凄い偉い人もいる会だよ。そんな会に参加していれば、校長が行っていることの裏が何かが分かる。

 大学教師になってから、校長連の話し合いが耳に流れます。そこで分かるのは、教頭試験直前になって色々している人は多いけど、若手で地区の仕事を受けてくれる人が必要であることが分かります。だから、そんなことを出来る人の名前がインプットされます。結局、その人が出世コースにのるんですね。

 もちろん、小林先生は出世したいと動いたような浅い人ではありません。誠実な人なんです。その誠実さが本心だから、ずっと行動に揺るぎがなく、評価が定まったと思います。

 その教えがあるから、私は若い頃から誠実である事を自分に課しました。ようは、私を頼る人に対して、ちゃんと対応することです。最近は無いですが、以前は毎日3時間以上は「お悩みメール」に対応してきました。どんどん私と関わる人の数は増えました。同時に、私が誠実に対応しているのに、不誠実に対応する人がかなりいることを知りました。確率的には80%以上です。かなり多くの人は、直接的に合わない人に対して不誠実なんだなと理解しました。しかし、それでも、自分自身は誠実に対応することが私にとってプラスになることは疑いません。

 あるときから、上越を離れて仕事をする場合には高額の料金を求めるようになってから、いやな関係は皆無になりました。それから不快になったことがありません。お金を出せないのは、その程度の誠意だと思いました。

 これから私はどんどん世間を狭くします。『学び合い』の発信はしますが、意味不明な発信をし続けるでしょう。私は研究者なので、以前の私を否定することによって次が見えるからです。が、私を否定しないかもしれません。家族とオンラインゼミ生との狭い世界で完結するかもしれません。ま、それでいいと思います。退職後の家に定期的に行きます。その度に幸せなのです。