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2003-09-17

[]学生さんは金鉱 10:09 学生さんは金鉱 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 学生さんは金鉱 - 西川純のメモ 学生さんは金鉱 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私は全体ゼミでは座っているだけのことが多いようです。終わってから院生さんに「飯いこ~、飯いこ~」という発言が一番元気な発言のことが多いように思います。しかし、全体ゼミで聞いているだけで勉強になることが少なくありません(いや、いつも勉強になります)。その中でも凄い発言には、「う~ん」と唸ってしまいます。そのような唸らせる発言というのは、学生さんからの発言が少なくありません。少なくとも、総発言数との比率でいうなら、圧倒的に学生さんの発言が高率のように思います。現職院生さんも私も教師です。教師は教えることの経験が豊富な一方、凝り固まった部分があります。さらに、我々の場合は、我々の既存のパラダイムに凝り固まっています(特に私)。そのため、そのため個々の発言を吟味すると、戦術的には優れたものですが、戦略的なレベルになっていないことが多いように思います。それに対して、学生さんは囚われがないため、我々のパラダイムを一歩進ませる戦略的なレベルな発言が多いように思います。それも、本人が余り意識せずに、ぽろっと出た発言にそのような宝が多いように思います。仮に唸らせようなんて考え発言したら(そんな学生さんはいませんが)、陳腐なものになるでしょう。学生さんの何気ない疑問、感想、それが宝です。

 同様に、学生さんの研究発表重要意味を持ちます。というのは現職院生さんの場合、力のある中堅教師です。そのため、我々の考え方に不備があったとしても、その本人の力量でなんとかしてしまいます。ところが、学生さんにはそのような力は不足しています。そのため、我々の考え方に不備があれば、それが結果に直ぐに表れます。我々の考え方のコアになる部分は、そのような学生さんの研究における壁を越えることによって明らかになりました。たとえば、ある先生の授業を丹念に観察した結果子どもたちが活発に活動するようになりました。その原因先生の指導方法に求めていました。ところが、その先生は何もしていません。どうしようもなくなりました。しかし、そこで「教師がやったから子どもは変わるのではなく、教師がじゃましなければ子どもたちは変わる」ということに気づきました。また、自己モニター等の方法が有効であると考え、何も知らない先生にそれを実践して貰った姿を観察した研究をした学部学生さんがいます。その結果は、悲惨なものでした。はじめは、何で自己モニターをやったのに子どもたちが変わらないのか不思議でしょうがありません。しかし、実際の授業の姿を見ることによって、「自己モニターという方法が有効なのではなく、自己モニターの背景となる子ども観、授業観が重要」であることが分かりました。そして、それがないと、自己モニターが形骸化することも明らかになりました。もし、この研究を現職院生さんがやったら、途中で自身が授業する等の方法によって帳尻あわせをして、問題を表面化しないと思います。

 我々の研究を育てるのは現職院生さんです。しかし、我々の研究を一つ高い次元に進ませる場合、素人で、それがゆえに囚われのない学部学生さんの力が重要です。それゆえ私は、学部学生さんの発言を敬意を持って常に謹聴しております。

[]本日のウルウル 10:09 本日のウルウル - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 本日のウルウル - 西川純のメモ 本日のウルウル - 西川純のメモ のブックマークコメント

 本日、Iさんが報告に来ました。会議直前で資料を作成している関係で、一生懸命に話しているIさんを尻目に、他の仕事をしていました。しかし、しっかり聞いていました。

 やはり、子どもを丹念に見た労力と、成果は比例しているように思います。夏休みの段階から格段に良くなりました。昨年のMさんは立ち歩きの分析をしています。本日のIさんの報告は、それを越えるものを出しました。一言で言えば、立ち歩きによって子どもたちは課題に関する情報を得ているだけではなく、学び合いの文化を吸収しているということです。言われてみれば、あたりまえです。周りの楽しそうな班、つまらなそうな班の様子を知ることは、自分の班における行動に影響を与えます。

 心に響きました。ウルウルしました。