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2004-03-14

[]副学長というお仕事 16:41 副学長というお仕事 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 副学長というお仕事 - 西川純のメモ 副学長というお仕事 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 副学長という仕事の内容は、一般の人には分かりづらいものです。いや、大学人でも本当のところを知っている人は少ないと思います。私の場合は、複数の副学長の先生から、その仕事の愚痴を聞きました。その中のある方の場合、長期間、かつ、詳細に聞きました。それ故、副学長は絶対に、好んでやる仕事ではないと知っています。

 まず、収入の面です。副学長というと給料がとてもいいように誤解されています。しかし、実際は、教授の給料と給与体系はそれほど変わりません。むしろ下がる可能性があります。というのは、管理職となれば大学院担当から外れます。その結果、大学院担当の手当がもらえなくなります。さらに、管理職となれば、集中講義のような副業が出来なくなります。

 支出の面です。各種団体から大学が招待される機会があります。その際は、学長、副学長が出席することになります。そうなれば、ご祝儀を出さざるを得ません。一般人ならば1万円で収まる場合も、「学長」となれば、それ以上が相場となります。もちろん、その種の支出は公費では補填されません。

 権限の面です。副学長に権力があるように思われます。しかし、管理職としての権力は全て学長に集中しています。副学長は、あくまでも学長の権力を代行しているに過ぎません。自分の考えで判断するのではなく、学長の判断を代行するに過ぎません。それでいて、その判断に対する軋轢を受けなければなれません。例えば、相手が「なんで、そんな決定をするんだ!」と言われたとき、自分も「その通りだ」と思ったとしても、それを表に出してはいけないんです。

 大学人のいいところは、時間的に自由である点です。「ひま」がなければ学問なんて出来ません。大学人は、その自由を求めて、より割のいい仕事を捨てて、その仕事に就く場合は少なくありません。しかし、大学の管理職には時間的な自由はありません。あとから、あとから会議があり、あとから、あとから出張が続きます。

 よく校長にはなっても、教頭にはなるな、と言われます。しかし、副学長はそれ以上です。好んでやる仕事ではありません。少なくとも、私は願い下げです(もちろん、私にはご縁がないと思います)。それをやる人は3種類の人です。第一は、学長になる一つのステップだと考えている人。第二は、副学長がお得な仕事だと誤解している無知な人。第三は、副学長の仕事だとよく知っていて学長になるステップとして以外ではやるべき仕事ではないと知っており、かつ、学長になるつもりが無い人。冷静に考えれば第三の人が、最も非理性的です。でも、そうせざるを得ない状況に陥る人は副学長を務める人の中で少なくありません。色々な事情があるとは思いますが、私のようなエゴイストではないことは確かです。

追伸 上記のことが「よ~く」分かっているので、この数ヶ月は「ず~っと」ブルーです。