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2004-03-24

[]ホッとしました 16:33 ホッとしました - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ホッとしました - 西川純のメモ ホッとしました - 西川純のメモ のブックマークコメント

昨年から気になったことがありました。昨年の10月に行ったコース説明会のあと、一人の学生さんが面談を希望しました。内容は学習臨床コースの学習過程臨床分野はどんなことをするかということです。見ず知らずの大学教官の研究室を訪ねることは勇気のいることです。自身の進路決定の時、その勇気を出して面談を求めたということだけでも高く評価できます。話してみましたが、好青年でした。 このことは「罪作り」(03.11.28)に書きました。

 例年であれば、学習過程臨床分野の人気は高くありません。国語、社会等の教科に比べてなじみがないことも一つの理由です。また、教科コースでないと中学校免許が取れないという誤解が学生さんの中であるのも一つです。そのため、学習過程臨床分野を希望すれば、確実に所属できるのが通例です。しかし、私は不満でした。学習過程臨床分野は大学院においては、全学で最も人気のあるコースの一つです。特に、現職者にとっては最も人気のあるコースです。また、学部学生の教員採用実績においても、ダントツのトップです。この実績を正しく伝えたいと願いました。そこで、今年度は私が説明役をかって出ました。ゼミ生に説明資料を見直してもらい、講演会と同様に、練った原稿で説明会を乗り切りました。幸い、学習過程臨床分野の良さが伝わったようで、人気が急上昇しました。このことは嬉しい反面、困りました。

 倍率が上がれば、学部1年の時の成績の順番に基づき希望コースが決まります。従って、成績が芳しくなければ、希望コースに配属されません。面談に来た学生さんに、「成績はどう?」と聞きました。本人曰く、「良 いわけではない。でも、頑張ります」とのことでした。その声を聞くと、申し訳なくなりました。あんまり力を入れず説明したら、例年通りの低人気になったかも知れません。そうであれば、その学生さんの希望は叶えられたかも知れません。しかし、力を入れて説明しなかったら、その学生さんが学習過程臨床分野を希望しなかったとも言えます。その後もずっと気になったので、ゼミ生を通じて1年生の動勢をモニターしていました。それによれば、成績優秀者が学習過程臨床分野を希望したため、諦めて別コースに希望変更した学生さんが続出したそうです(ある学生さんは「過程」を諦めて「家庭科」に変えたそうです)。面談に来た学生さんも進路変更をしたんだろうな・・・と考えました。

 昨日、教授会の資料を見ると、コース配属決定の資料がありました。そこに面談に来た学生さんの名前を見つけることが出来ました。ホッとしました。彼を含めて11人(学習過程臨床分野の上限)の学生さんは、熾烈な戦い(成績の戦いばかりではなく、情報操作、脅し、泣き落としも含まれるかも知れません)を通して学習過程臨床分野に所属することになりました。我々教官(あと1週間ほどで教員)は、彼らの選択が正しかったと、卒業時に思ってもらえるよう結果を出さねばなりません。