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2011-04-09

[]熱血 22:21 熱血 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 熱血 - 西川純のメモ 熱血 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 また、熱血教師のドラマが始まる。私が小さい頃からあった、定番の繰り返し。全身全霊をかける教師によって、問題が解決されるというもの。でも、それを見て、道を間違う教師の卵は多いし、間違った教師イメージを保護者に持たせてしまう。だから、ムカムカしてしまいます。

 熱血教師で問題が解決できない典型的な例としては、目立たない子が救われません。だってドラマを1年間流しても「その他大勢」の子どもがいます。そして、その子が多い。目立つ子には手を入れます。そして、それなりのことは出来るかもしれません。でも、目立たない子には手を入れません。でも、その子にも人生があり、悩みがあります。私が大学教師になってから、最後まで手紙を送り続けてくれた教え子は、そのような目立たない子でした。

 そして、教師は子どもを何とかすることが出来ます。でも、保護者は何とか出来ません。ところが鬼畜のような保護者はいます。そして、自分が担任の間はなんとかできますが、自分の担任を外れた後は何も出来ません。自分が見える範囲で問題を解決できたとしても、子どもはそれ以外の世界があるのです。

 本気で見捨てたくないなら、自分が中途半端に手をさしのべるのではなく、救われる関係を作らねば。

[]大事なところは? 22:21 大事なところは? - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 大事なところは? - 西川純のメモ 大事なところは? - 西川純のメモ のブックマークコメント

 テレビでスーパー体育教師が紹介されていました。見ていてビックリです。だって倒立前転もおぼつかない子どもが数時間でバク転が出来るのですから。凄いというしかありません。そして、その教師から筋肉をほぐす運動が紹介されました。家族でやりました。

 が、違うと思います。第一に、その教師のすごさの本体は、倒立前転を成功させるいくつかのポイントを知っているかいないかではありません。この教師の言うことを聞いていれば凄いことが出来る、というオーラなのです。

 水泳がうまくなるポイント、それは顔を水につけられることです。跳び箱を跳べるポイント、跳び箱にぶち当たる恐怖を乗り越えて、途中で止まらずに、踏み切って、前に手をつけるとことに尽きます。それらは泳げる人、跳び箱を跳べる人にとってはどうでもいいことです。でも、そこにポイントがあります。その大きな障害を越えさせることが出来るか、否かが最大ポイントだと思います。

 だから、本日の名人教師が言ったことを普通の教師が言っても、子どもは信じ切れずにへっぴり腰になるはずです。でも、名人教師にあこがれる人には誤解を与えるな~っと思いました。

[]説明すべきこと 19:12 説明すべきこと - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 説明すべきこと - 西川純のメモ 説明すべきこと - 西川純のメモ のブックマークコメント

 色々なところで、「私は西川先生の考えに興味がありますが、心酔しているわけではありません。」というようなことを言われることがあります。そのたびに、消え入りたいほどの気持ちになります。

 第一に、私はいびつでちっぽけな人間です。そんなやつを心酔なんか出来るわけないし、されたとしたら、いつ、その反動がくるか怖くてしょうがありません。だから、「私は『学び合い』の考えに興味がありますが、心酔しているわけではありません。」と言ってもらったら、ちょいと楽です。

 でも、『学び合い』は「一人も見捨てない」という願いと決意なんです。このことに反対する人はいないでしょう。実現できると信じられるかどうかは分かりません。でも、願うべきだし、願い続ける決意を教師は持つべきだと思います。だから、上記を言われる方は「考え方」ではなく「やり方」に興味があり、心酔していないのです。そりゃ、しょうがありません。今の「やり方」は十数年間の積み上げです。その過程を経ていない人がビックリするのは当然です。そして、今の「やり方」はどんどん現在も進化しているのです。「やり方」は、「一人も見捨てない」という願いと決意という本体の影に過ぎません。

 だから時間をかけても、『学び合い』が私という個人とは無関係な、『学び合い』は「一人も見捨てない」という願いと決意であることを説明せねば、と思います。

追伸 しかし、良い面もあります。「心酔」とかいう言葉があるということは、単なるテクニックではないことはしっかり理解されていると思います。ゲーム性の高い教材を授業に使うときに、「心酔」という言葉は使いませんから。

[]こんなサービス 08:42 こんなサービス - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - こんなサービス - 西川純のメモ こんなサービス - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私は色々の人から、「これこれの人を紹介下さい」とお願いされます。が、『学び合い』の広がりは私の能力を超えています。だから、こんな無料サービス(例えば無料でメーリングを運営できるサービス)がないか教えて下さい。

 イメージとしては、勤務地の都道府県、学校種、教科等を入力するのです。それにあった人と連絡を取れるようなサービスです。ま、『学び合い』出会い系サイトみたいなものです。なんか、そんなサービス無いですか?

 思いつきです。

[]クラスより学年 07:35 クラスより学年 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - クラスより学年 - 西川純のメモ クラスより学年 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昨日のメモに質問がありました。大事な質問ですのでメモります。私は「自分のクラスを良くするより、学年を良くすることのほうが簡単です。そして、学校を良くする方がもっと簡単で、地区・県を良くする方がもっともっと簡単で、日本を良くすることの方がもっともっと簡単です。だって、より多くの人と一緒にやれるのですから。」と書きました。おそらく一般常識に反するでしょう。狭い範囲に集中する方が効率的なように思えます。しかし、違います。

 わかりやすい例をしましょう。「自分の学校で『学び合い』をやった場合、それに強く反発を受ける」と言う方は多い。でも、学校が反発する訳ではありません。職員が反発するのです。では、全職員が反発するのでしょうか?そんなことはありません。だいたいの場合、自分がやれと強いられない限り大多数の6割はどうでもいいのです。反発するのは2割に過ぎません。でも、その2割の反発で頭がいっぱいになってしまいます。でも、忘れているのは、興味関心を持ってくれる2割がいることです。

 反発する2割を説得しようとしても無理です。話せば話すほど話はこじれるでしょう。6割の人に無理強いすれば、警戒します。ま、町で宗教の勧誘を受けたようなものです。しつこく勧誘すれば、「どうでもいい」が「嫌」になってしまいます。アンテナの高い人はいます。しっかりと結果を出せば、2割の人がついてきてくれます。そして2割の人が仲間になってくれれば、学校で潰せなくなります。最悪でも「ご勝手に」となります。そして、2割の人がしっかりと結果を出せば、残りの6割の人がついてきてくれます。そうなれば8割の人がついてきてくれます。そうなれば2割の人も変わってくれます。

 これってクラスを変える構造を全く同じです。たいていの先生はクラスの気になる子で頭がいっぱいになります。でも、その子をいじくってもしょうがない。だって、いままでもいじくってもどうしょうもなかったら「気になる子」なのですから。でも、ちゃんと話せば分かってくれる子は必ずいます。その子たちと一緒にクラスを変えればいいのです。

 つまり、広く説得するのではなく、分かってもらえる人に説明するのです。20人いたら、100のエネルギーを全員に5かけるのではなく、3人(2割の4人から自分を引いた数)に33をかけるのです。その後に、分かってくれた3人と一緒にやればいいのです。

 では、何故、広い方が楽なのでしょうか?それは、分かってくれる人がいる可能性が高くなるからです。現象の揺らぎは個数の平方根に比例します。おおよその目安としては25だとゆらぎは25の平方根の5です。つまりプラスマイナス20%の揺らぎがあります。つまり、25人の中で分かってくれる人が2割の5人いるはずなのですが、その人が4人かもしれないし、6人かもしれないということです。さらに10だとすれば揺らぎは33%になります。つまり10人の中で分かってくれる人が2割の2人いるはずなのですが、それが1人かもしれない(つまりあなただけ)かもしれないし、3人かもしれないのです。一方、100人の揺らぎは100の平方根の10程度です。つまり、プラスマイナス10%です。つまり分かってくれる2割の20人が18人かもしれないし22人かもしれないということです。つまり、当たり外れが少なくなるのです。

これもクラスに置き換えれば分かりやすいでしょう。みなさんクラスの人数が少ない場合と多い場合とどちらが早く『学び合い』を成立させられますか?

 以上が、私のメモの意図です。視野を広げれば、より多くの仲間に出会うことが出来ます。そして、その中には得難い得意技を持つ人がいて、それまでは出来なかったことが実現できるようになるのです。

 ただし、じゃあ広い視野の活動「だけ」をすればいいかというと、それは×です。それをすれば、基盤である自分の職場で浮いた存在になり、拒否感を持たれるでしょう(http://j.mp/haeBsO)。最善の方法は、「多様」な方法を「柔軟」に行い「続ける」ことだと思います。

追伸 その反発する2割が管理職だった場合は難儀です。その場合は、上記をやりつつ、政治をするのです。たいていは結果を出せばOKですから。