■ [大事なこと]多様な人との繋がり
『学び合い』研究の初期に、情報の三階層というモデルを採用しました。つまり、専門家であるブレインと素人のエンドユーザーは直接繋がることは出来ず、両者を繋ぐゲートキーパーが必要だというモデルです。しかし、現在はそのモデルにはたっていません。理由は子どもたちの会話を分析すると、ブレイン・ゲートキーパー・エンドユーザーがどんどん変わっていくからです。しかし、三階層モデルの中に、面白い知見があります。それはゲートキーパーとエンドユーザーは比較的小集団の中でクローズしています。ところが、その小集団のブレイン同士は繋がっているのです。
人間が個人的繋がりを持てる人数は150人当たりが限界となります(ダンバー数)。しかし、より大きな集団はあります。例えば全国の『学び合い』のネットワークは距離も人数も遙かに限界を超えています。ではどうしたらいいのでしょうか?
これに対して単純で画期的な解答を与えてくれたのは、ワッツとストロガッツです。彼らは、基本的に狭い集団「群」の中に、離れた集団を繋ぐリンクをごく少数でも入れただけで、劇的に変わることを明らかにしました。例えば、東京はJRや私鉄や地下鉄で密接に繋がり合った町で構成されています。札幌もそうです。しかし、東京と札幌を鉄道、特に在来線でしか繋げられないとしたならば、両者の交流はかなり困難です。ところが、札幌と東京を飛行機で結んだとたんに、両者の関係は激変します。札幌と千葉、札幌と埼玉、札幌と神奈川、小樽と東京、小樽と千葉・・・・という多くの航空路を開設しなくても、たった一つの札幌と東京の路線だけで関連する地域の関係は激変します。ワッツとストロガッツはそれを科学的に明確に示したのです。
『学び合い』の仲間には、意図的に色々な地域の人と繋がっている人がいます。それはネットワーク上もあるでしょう。そして、実際に遠方の『学び合い』の会で直に会う方もいます。それらが今後の『学び合い』を支えるものです。
『学び合い』では教師は子どもたちに「多様な人と折り合いをつける」ことの価値を述べています。そのことを自信を持って語るためにも、是非、多様な人と繋がって下さい。それが自分のクラス、自分の学校の実践の質を保証するものです。