お問い合わせ  お問い合わせがありましたら、内容を明記し電子メールにてお問い合わせ下さい。メールアドレスは、junとiamjun.comを「@」で繋げて下さい(スパムメール対策です)。もし、送れない場合はhttp://bit.ly/sAj4IIを参照下さい。             

2016-07-01

[]私立 22:08 私立 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 私立 - 西川純のメモ 私立 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私は長らく歴代の学長にアイディアを進言しました。それによって、一つのコースと一つの専攻を立ち上げ、上越教育大学の看板になりました。

 が、国立大学の限界をよく感じます。

 国立大学は人事の縛りがあります。

 もし私が私立大学の教員で、学長に進言することが出来たならば、いろいろなことが出来ます。教員養成系学部・大学の最大の隠し財源は人件費です。そこさえいじくれれば、受験生や進学指導の人にアピールできる手立てがいろいろあります。

 ま、私は国立大学の教員ですので、その範囲で身を守るすべを考えます。

[]無能 21:48 無能 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 無能 - 西川純のメモ 無能 - 西川純のメモ のブックマークコメント

私は意識的に『学び合い』でゼミ運営してから、ゼミ集団を愚かとか、無能とか思ったことは「一度」もありません。多くの場合、ものすごく有能だと思って安心しています。

もちろん、うまくいかないときがあります。でも、冷静に考えれば、その原因はすべて私にあります。

具体的な方法論の問題ではありません。

メンバーが達成しようと思えば、解決します。

原因は、大人の腹を察するメンバーがやる気を失ったとき問題が起こります。その原因は私です。

これは『学び合い』云々の問題ではありません。

管下の人が無能に思えたら、それは自分が無能なのです。

[]一貫性 21:10 一貫性 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 一貫性 - 西川純のメモ 一貫性 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私は基本的に政治的なことは書きません。いらざる軋轢を避けたいからです。が、今回は書きたくなりました。おそらく、多くの方の反感を買うことを覚悟で書きます。

 教師だったら、こう思ったことありませんか?

 子どもが反社会的な行動をしたとき、マスコミの前で学校の教師が謝ります。そんなとき、「このケースの場合は、親の責任だろ。親が謝るのが筋なのに、なんで学校の教師が謝らねばならないのか」と。

 母親が日本で長年不法滞在し、日本で子どもを産み、育った高校生がいます。今回、母親とともにタイに送還することになりました。その高校生は日本で生活していてタイ語も話せず、タイで生活したこともありません。記事だと、そう読み取れます(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160630/k10010578761000.html)。

 さて、この問題の責任は誰にありますか?この記事の範囲内だったら、徹頭徹尾、母親です。そして日本の司法が非難される筋合いはないように思います。

 おそらく母親にも事情があるでしょう。情としてなんとかしたいという気持ちがあります。しかし、この子どもを日本に滞在させる合理的な理由を見いだすことが出来ません。

 考えてください。

 世界中には生死をさまよっている子どもはどれほどいるでしょうか?この子どものレベルではなく、まさに、生死のレベルの子ども。その子どもたちを日本が受け入れたならば、どれほどの子どもが生き延びられるか。はたして、我々は受け入れられるでしょうか?

 また、不法滞在が一定期間ある場合に永住権を与えますか?

 子どもに永住権与えたとします。そうしたら、その子どものために母親にも永住権を与えろということが起こるでしょう。タイに老いた祖父母がいたとします。その祖父母を世話するためにその人たちにも永住権を与えろと言うことが起こるでしょう。

 この子どもが35歳だったら、どうでしょうか?これほど同情が集まるでしょうか?

 日本人残留孤児は日本に住んだこともなく、日本語もしゃべれませんでした。しかし、その人たちが日本で生活できるのは、日本国籍を持っていると判断されたからだと思います。かわいそうだからではありません。

 ということなどをつらつらとシミュレーションすると、先に述べたように、この子どもを日本に滞在させる合理的な理由を見いだすことが出来ません。そのようなものがないならば、司法は送還を決めるのは当然です。もちろん、上記のようなことにも矛盾しない合理的な理屈があるならば私は情においても日本滞在に賛成です(母親に対しては?ですが)。

 冷たい人間に思われるかもしれません。

 しかし、私は情において問題を感じたとき、その問題が二度と起こらないような理屈を考えます。例えば、それを私の所属する組織のルールにするように提案します。それによってその子が救われるようにします。しかし、そのようなルールが考えられないとき、あきらめます。その場その場で揺らぐことがあれば、それによってその子が救われても、生じるデメリットの方が大きいと信じます。それによって未来の多くの子どもの不幸せを生み出すことを恐れます。

 自分が高校教師だったとき、テレビドラマ的な熱血教師によって何を生み出したかを忘れません。情は大事ですが、情だけは危険です。

 ここまで書いてわかりました。

 本来、政治的なことを書かないことを決めているのに、書きたいと思ったのは、この子どもの母親への怒り、この子を救える合理的な理屈を考えられない自分への怒り。

[]上越教育大学 21:10 上越教育大学 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 上越教育大学 - 西川純のメモ 上越教育大学 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 超長文です。しかし、高校生、大学生のお子さん・お孫さんがいる方、また、高校教師は読むに値すると思います。

 上越教育大学の宣伝です。

 まず、教職という職業について。

 7月15日に出る本に詳しく書きましたが、今後の日本に大当たりの就職はありません。「大外れ」と「はずれ」が大部分で、「まあまあ」が続き、「ちょっといい」が少々です。その中で教職は数限られた「ちょっといい」です。

 少子高齢化、人工知能・ロボットの関係で大当たりは一部天才のみが享受できます。今までの「大当たり」はスポット抜けます。だから、そこを目指せば、「大外れ」、「はずれ」になる可能性があります。

 では、何故、教職か?

 今後の社会では専業主婦は一部の「大当たり」だけが実現します。少子高齢化の日本では給料は相対的に下がります。そして、年金や福祉を削られたとき、親世代を含めた家族を養うには共稼ぎしかありません。なお、独身も「大当たり」だけが実現できます。今、どれほど貧困女性がいるかはご存じですよね。

共稼ぎで困るのは子育てです。それを保育園などの外注に全てを頼ろうとすれば、共稼ぎで稼いで金が無くなってしまいます。だから、ジジババの協力が必要です。その協力を得るためには、地元で就職しなければなりません。

 さて、大都市以外の方に伺います。その地域で安定している職業で、「相対的」に給料が高く、比較的多くが就業している職業は何でしょうか?公務員です。それも教員です。でしょ?地方において収入上位者は教職です。

 ということで、我が子がごく一部の「大当たり」を目指せると思わない方は教職が望ましい選択肢の一つだと思います。

では、どの大学がいいか?

 私は上越教育大学を薦めます。身びいきであることは分かっていますが、客観的な事実を申します。

 まずは国立大学で学費が安い。特に、県庁所在地にない大学(新幹線の駅はあります)なので物価は相対的に安い。都会と違ってオシャレに金をかけようとも思いません。学生宿舎が完備しています。1万円で光熱費を含めておつりが来ます。

 国立大学には教員養成系学部・大学があります。そのスタッフ数は70人~80人です。上越教育大学のスタッフは160人です。学部学生当たりの教員はほぼ1対1で、日本でもトップ級の比率です。

 なぜ、そのようなことがおこるのかといえば、上越教育大学は学部ではなく大学院を中心とした全国でも希な大学院大学だからです。

 その結果として、予算の積算が異なります。大学院一人当たりの積算単価と学部生一人の積算単価は桁違いです。現在、国立大学はどこも予算的には危機的な状態です。そして、今まで教員に配分していた研究費をかき集めて人件費に回しています。そのため、電話代で消えてしまう程度の研究費に圧縮されている大学も少なくありません。私は本学で一番指導学生数が多いので研究費多いですが、私の研究費だけ教育学部の全教員の研究費に比肩するだけの予算をもらっています。これは私の研究費が多いと言うより、他大学の研究費が壊滅的に減額されているという状況です。

 上越教育大学には全国から多数の現職教員を受け入れている大学院を中心としている大学です。だから、学内には現職教員が多い。私の研究室の場合、現職5人、学卒院生17人、学部生(3年、4年)10人の構成です。その集団の中でゼミ運営をしています。結果として、職員室を再現しているのです。役回りとしては現職がニコニコしているベテラン、学卒院生が頭を使う中堅、そして学部生は新人教員です。これによって、在学中から年齢の離れた人と一緒に仕事をするための術を学べます。

 なお、博士課程をもっている教員養成系大学はごく僅かですが、本学はその一つです。私の教え子から5人の大学教員を育てました。(なお、これも予算が多い理由の一つです)

 最後に、教員採用率は開学以来、常にトップグループを維持しています。ドカドカと教員を採用している都市部に近い大学でないのにです。これは非常に興味深いものです。というのは、教員養成系学部・大学の中で偏差値は下位の方なのです。教員採用試験の筆記試験は大学入試レベルの問題です。そのため、偏差値の高い子ほど高得点を取れます。なのに偏差値下位の本学が就職率が高いのは何故でしょうか?理由は、教師になりたいという希望を持ち続けるからです。

 県庁所在地にある総合大学の場合、刺激が大きい。他学部の学生とも交流があります。その中でもっと華やかな仕事に目が向いてしまいます。だから、教員採用試験の受験率が下がります。また、面接・実技の練習に力が生きません。本学は多数の退職校長のチームによって組織的な就職指導をします。そして、学生同士が互いに勉強するのです。研究室の現職教員が模擬面を企画することもあります。

 さて、これほどの大学なのに、何故、偏差値が低いのか?

 何故でしょうか?

 理由は一つです。

 それは、全国でただ一つ、同一都道府県に国立の教員養成系学部・大学院が二つある新潟県にあるからです。

 たいていの教員志望の人は「な~んも考えず」ごく当然のように地元の国立大学の教員養成系学部に進学します。もともと、教員志望の子は地元指向性が高いからです。ところが新潟県は2つなのです。

 圧倒的大多数の受験生、保護者、進路指導は、受験雑誌の偏差値表で志望校を選びます。結果として、偏差値の高い子は新潟大学を受験します。上越教育大学の良さを知っている子も、同級生に対するプライドから新潟大学を選びます。

 ということで、あまり考えていない新潟県の受験生、保護者、進路指導の先生のおかげで偏差値が低いのです。(だいぶ怒られそう。すみません)

 ということで、お得なのです。

 ちなみに上記の理由で、一般の教員養成系学部・大学の場合、地元出身者が大部分を占めます。しかし、上越教育大学の中で新潟県出身者の占める割合は3割だけなのです。ということで他県出身者も肩身は狭くなりません。

 土地神話を信じて大損した人は数多くあります。同じ土地であっても、大もうけした人がいます。戦後の焼け野原の中で日本はダメだと思い東京の土地を投げ売りした人の一方、日本は復興することを予想し買い集めた人がいます。みんなと同じ情報にもとづき、みんなと同じ行動することはたいていの場合は正しい。ただし、激変の時代には、悪い戦略です。

 なお、過去の宣伝もリンクを張ります。

http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20140225/1393280430

 上越教育大学教職大学院の宣伝をしようと思いましたが、さすがに疲れました。過去のリンクを張ることにします。

 http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20140225/1393280432

 ちなみに、教職大学院修了生に対する特典は様々あります。たとえば今年から、新潟市は教職大学院修了生に対する一次試験の一部免除の制度を決めました。新潟県は県内の教職大学院(現在、本学だけ)修了生に対する、一次試験全部の免除制度を決めました。

 昨年、西川ゼミの学卒院生3人が修士1年の時に教員採用試験に合格しました。しかし、全員が中退し就職せず、名簿登載期間の延長によって在学しています。単に採用されても、数年で職を辞する若手は数多くいます。就職し続ける力量を持って就職する方が、結局、得であることを理解しているのだと思います。それだけの大学院です。

 お子さん、お孫さん、生徒、学生に読んでもらって下さい。

 あ、上越教育大学の大事な「売り」を忘れました。



 私が勤めている。