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せこさ

 「江戸っ子は宵越しの銭は持たぬ」という言葉があります。江戸っ子の金離れの良さを表す言葉です。しかし、江戸落語を知れば、それは嘘だと分かります。江戸っ子は、せこいし、吝嗇です。当たり前です。物価の高い都市で生きているのですから。でも、それが分かるのが嫌なので、極端から極端に演じているのです。私は5代以上の江戸っ子です。だから、せこいし、吝嗇です。

 私の学部時代の指導教官は石坂先生です。もの凄く厳しい先生です。怒鳴られたことはありません。でも、理屈で淡々と語られ、追い詰められるタイプの方です。一方、金離れのもの凄くいい人でした。先生と食べに行ったり、飲みに行ったりすると、どんどん払ってくれるのです。ご先祖は富山県の知事をされている方で、日本で一番金持ちが住んでいる地に家がある方です。

 私が学生時代、あまりに金離れが良いので、ゼミ生が申し訳なくて金を払おうとしました。そうしたら、先生からは「私も先生に驕られた。君たちが先生になったら驕りなさい。」と恩送りを教えていただきました。若い我々は、免罪符をいただいてたかりました。

 だから、ゼミ生に対しては「ケチ」な私も金離れが良いです。コロナ前だったら、最低で30万円、多いときには50万円のご芳志を出します。本学は、ゼミ生を指導しても給料はびた一文増えません。以前、定員充足に貢献した教員に対するインセンティブがありましたが、私は減りました。

 ということで、学部の指導教官との約束を守っています。

 学部2年生のゼミ選びの時期です。

 私のコースの教員は魅力ある方々ばかりです。だから、心の中で、0人だったら楽だなという気持ちがあります。でも、私のメッセージを受け取れるイノベーター・アーリーアダプターに伝えられないならば、残念だなと思います。

 5人の学生が私を選択しました。私の生涯最後の学部ゼミ生です。

 尊敬する多くの同僚ではなく、私を選んだことを光栄に思います。明らかに、イノベーターとアーリーアダプターの人たちです。でも、これからのご芳志の金額増加を思うのです。我ながら、江戸っ子のせこさを感じます。