『学び合い』はかなり完成された方法論です。だから、新規採用者であっても、本の通りにやっていけば9割ぐらいの子どもの成績が上がり、関係性が良くなることはたやすいことです。少なくとも従来型よりは全方位で「まし」です。
その方法論は、教科、単元に依存しない、つまり内容に依存しない、クラスづくりによる教科指導です。だからコンパクトで単純です。そして、理論がシンプルに一貫しています。だから、西川ゼミに入った若い学生も数ヶ月で実践できるようになります。
日本で最も小さい国立大学の一教師が始めたことが日本中に広がった理由は、本の通りにやれば本の通りの結果を得られる人が多いからです。
だから西川ゼミでの私の対話では、『学び合い』の実践方法に関する質問は最大限半年ぐらいです。まあ、2、3ヶ月でしょう。それ以降は、人生とか、幸せとか、今後の社会に関する質問が大部分になります。私はそれを『学び合い』のセオリーで一貫して語ります(これはYouTubeで公開しています。YouTubeで「西川純研究室」でググるとヒットします)。
しかし本の通りにやったのに上手くいかない子どもというのはいます。それに対して、私の多様な本を読み直せば、そこには、そのレベルの例外的な対応も書かれています。それで上手くいかないと従来型の授業テクニックで何とかしようとするのです。気持ちは分かります。器用な先生の場合、『学び合い』もどきの授業になります。『学び合い』のテクニックは従来型の授業でも使えるテクニックです。しかし、『学び合い』の考え方はスマホのアプリのように組み込むことは出来ません。だから、『学び合い』もどきになってしまうのです。
もどきになるか、否かは、「何のために『学び合い』を実践しているか?」によって決まります。「成績を上げたい」、「人間関係を向上したい」レベルだと、直ぐにふらつきます。何故なら、成績を上げたり、人間関係を向上できそうなもっともらしい従来型テクニックは世にあふれていますから。
しかし、「子ども達の一生涯の幸せを保障したい」のレベルになると、『学び合い』以外に道はありません。こうなると従来型のテクニックに頼っても駄目であることは自明です。では、どうするか?目先のクラスに一喜一憂するのではなく、どっしりと構えて、一生涯の幸せの次元で考え直します。そうすれば子ども集団を信じて、語り直すしかないことに至ります。それで解決できるかと問われれば、絶対ではありません。しかし、解決できるとしたら、それしかないし、解決できる可能性はかなり高いことも確かです。
若いゼミ生は、西川研究室という文化の中に浸ります。問題が起こっても、私を含めた全員のサポートの中にいます。だから、安全なのです。じゃあ現場に行ったらどうするか、人と繋がることです。自分が悩んでいることは、自分が最初に悩むことではなく、最後に悩むことではありません。道を示してくれる人はいます。私もその一人です。
追伸 私レベルの『学び合い』を実践できれば、楽で楽しくて圧倒的な成果を上げられます。ようは幸せになれます。もっと増えて欲しいな~