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一生

 私が大学院に入ったときからのテーマは、何故、学校で学ぶのか、です。

 理学部出身の私は産業発展のためと思いました。そして、大学院卒業後は発展途上国の理科教師となり、その国の産業発展につなげたいと思いました。その頃、同級生から何のために大学院に進学したかを聞かれれば、「世界平和」と臆面も無く言いました。

 大学院1年の頃は教育学・心理学の古典を読みあさると同時に、発展途上国の歴史や文化のことを学びました。その結果、自分のやれることと、課題との乖離を自覚しました。その結果、途中から、理学部で学んだ実証的なデータに基づく、確かな一歩を進めることにしました。それが工業高等学校の理科と普通科高等学校の理科の比較です。それを修士論文に選びました。

 高校教師になってから、「純ちゃん、なんで理科を勉強するの?」と子ども達から聞かれまくりました。大学院まで出て、多くの文献を読んだ私は答えられなか

った。学部・大学院で学んだことを語っても論破されます。空しかった。私の出来たことは、話術を駆使した「上手い授業」です。

 でも、子どもを救えなかった。

 だから、大学に異動して「どうすればよかったか?」、その答えを追い求めた。

 私の大学教師の前半生は認知心理学に基づく指導法の開発です。結果として正解率を20%弱上げる道が分かりました。その結果として、多くの学会から賞をもらいました。でも、空しかった。だって、私が救えなかった定時制高校の子どもを救えないのは自明ですから。

 もう、いいと思いました。

 そして、『学び合い』研究に移行しました。でも、当初は「みんなが分かる」レベルです。確かに成績が抜群に上がります。ビックリしたのは成績を上げられる集団は人間関係も良好なのです。

 やがて、視野を健常児の学級から、特別支援学級の子どもを含むようになりました。そして、異学年、地域コミュニティーを視野においています。

 私は幸せです。「なんのために学校教育があるのか?」というとてつもない青雲の問いに関して、揺るぎない答えを定年前に得られたことを。それ故に、ゼミ生をはじめとしてあらゆる人に対し、どんな質問にも脊椎反射で応えられます。そして、それの考えの生き方で私は幸せです。

 野人の戯言です。