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老い

 人生において、自分の老いを感じる節目があります。

 最初の節目は30歳ぐらいです。大学に異動して数年、久しぶりにジョギングしようと思いました。グランドで数周したら膝が痛くなりました。お医者さんに診察してもらったら、足の筋肉が弱ったため、体重が軟骨にダイレクトにいくからだとのこと。高校教師だった頃、ジョギングは習慣でした。また、毎日何往復も1Fと4Fの階段で往復していました。ところが、大学に異動してから自室で仕事が完結し、エレベータが完備しています。たった数年で衰えたのでしょう。

 二番目は、変な話ですが、下の毛の中に白髪を見つけたときです。あ~っと思いました。

 三番目は四十数歳の時です。四十歳で我が子を授かりました。離乳食をふうふう冷ましていると、離乳食がぼやけているのです。近づけばよく見えるという前提が崩れ、近づけばぼやける自分を自覚しました。老眼です。ちなみに、老眼の平均発症年齢は42歳ですので、まあ平均です。

 第四番目があります。それはゼミ生が私を「おじいちゃん」と言うときがあります。言われたとき、「え?」と思いました。私の「おじいちゃん」の定義をあえて言えば、第一に仕事から引退していること、第二に誰かの補助が生活に必要な人です。だから、私は私の指導教員に対して「おじいちゃん」と思ったことは一度たりともありません。私にとっては、石坂先生、小林先生です。あえて表現するならば「おじさんの年長者」という感覚です。

 が、ゼミ生の「おじいちゃん」とからかいでなく、言われるとしたら、それはそうなんでしょう。ま、早く退場せよという勧告と受け止めています。言ったゼミ生には自覚はなくとも、そう言わせている事実を素直に受け止めます。ま、あと1年半ですが。