遊びまくった学部時代を反省し、大学院に入ったときに、それまで私の欲望を封印しました。唯一許したのは酒です。その結果として、１日１３時間研究しました。その結果として在学中に教員養成系学部の若手助教授レベルの業績を上げました。高校教師になっても、その生活パターンを維持しました。そして、大学教師になっても毎日１３時間というのは維持しました。その結果、論文の業績を上げ、数々の学会から賞をいただきました。
３０歳にそれまでの毎日1升以上の飲酒のツケで、急性アルコール性肝障害になり1ヶ月入院しました。自分の人生が有限であることを初めて意識し、パートナーが必要だと理解しました。そして、私を拾ってくれた奇特な女性と出会いました。その後は、拾ってくれたパートナーに感謝し、生まれてくれた子どもに感謝しつつ生活しました。正直、初期の段階は、「この時間に研究すればもっと業績が上がる」と思っていましたが、そのたびに何が幸せかを自問しました。やがて家族を大事にすることが、自分の幸せになることを実感しました。
とあいうものの、許された時間の全てを本・論文・お悩み対応についやしていました。尊敬する先輩が退職するとき、「退職したらどうするの？」と質問すると、「やりたいことがいっぱいある」とのこと。その時点では理解不能です。その時点では、「70ぐらいまでは元気で働けるから、学生さんと関われるようになれたらいいな」と思っていました。
ところが2020年の4月に通称チェリマホというドラマに出会いました。ほんと偶然です。BLです。つまり、兄ちゃんが兄ちゃんに恋する物語です。私自身も偏見がありましたが、見てみると純愛ドラマなのです。なにしろ、ドラマではキスすらもないのです。延々と、お互いに対する恋心と誠意にあふれているのです。いい人が幸せになるコンテンツが大好きな私はのめり込みました。30分ぐらいの1話を、だいたい7回ぐらいリピートするのです。そして、7回とも感激して泣くのです。
それで私の封印は決壊しました。音楽も映画も、最近は韓国ドラマの胸キュンが大好きです。キム秘書は何故、とか、社内お見合い、とか、女神降臨、とか・・・。クラシック音楽も封印を解きました。
幸いに、計画的な投資によってかなり安心です。
老後の家もパーフェクトな立地です。
昔からゼミ生には退職後は引きこもりになると宣言していました。しかし、私と関わり合うことに価値がある人とは今後も付き合う計画です。
本日のゼミで、学部の授業で免許科目を取得している院生が、後ろの方から「西川先生の授業を聞いたから○○コースに進学したい」と言っていたそうです。私は「うちのコースの教師のレベルの高さは分かっているよね。俺じゃ無くても大丈夫」と言いました。私の心の中では、「有料でも学びたいなら、その道は確保した。そうじゃないなら、私以外の学びで満足できるよ」と思いました。だから、倫理的な葛藤は皆無です。
