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香り

 西川ゼミに所属する人には3タイプいます。

 第一は、本を読み、そして「投資」するひとです。具体的には事前にゼミ訪問をする人です。この人たちは、苦労しても多くを得たいという人です。

 第二は、香りに惹かれる人です。なんとなく「いいな」と思う人です。これは二つに分かれます。一つは「一人も見捨てず」というものに惹かれる人、もう一つは、我がゼミが自由度が高く、それゆえ集団がカリカリしない点です。

 でもね、やがて『学び合い』のセオリーを学びます。

 そして、就職後にそれをどう生かすかを考えます。

 教師は人を変えることは出来ません。その人の本性に提案します。それでいいのです。私は日本中の方々に提案するのです。

研究

 学術論文には書き方があります。それを分かっている人は論文を量産できます。一方、それを分かっていない人は、色々なことを知っているのに論文を書けません。そのノウハウは「実証的教育研究の技法」(https://amzn.to/2JJiPbd )にまとめました。これがあるから、私のゼミ生が学術論文を書けるのです。もちろん、本には書けないノウハウもあります。これは口伝です。

 ゼミ生に査読付き学会誌の業績を上げさせることは容易いことです。でも、今はそうしたいと思いません。特に研究者として育てるつもりのない学生の場合はです。その学生の教師としての指針になるものを与えたい。

 学生と研究の話をすると、最初は長々と語ります。でも、つまらないのです。一生懸命に背伸びして難しげな言葉を語ります。そのときは、以下の様に語ります。

 「おそらく、俺に聞いてもらえるから、分かってもらえるだろうと手を抜いている。君自身が分かっていないことを長々と話している。西川先生だったら、それを理解して、教えてもらえるだろうという気持ちが見え見えだよ。研究のための研究はやめなさい。」と言います。そして「君の後輩から『先輩、どんなことを研究しているのですか?』と聞かれたら何と言う?」と言います。そうすると、とても良い説明します。

 後輩を想定すると、ゴチャゴチャしてものの中から、本質を選びます。それが良いのです。その根幹が良ければ、学術の作法に合わせるのは容易いことです。今年も楽しみです。

 私は「こうあるべきだ」というものを持っています。しかし、そうでなければならない、とは思っていません。私が思っている「こうあるべきだ」は多くの人にとっては「?」であり、その理屈も分かります。これが分かっているから、私の所属するコース長を13年務めているのです。政治が出来なければ、こんなに長くならない。コースの皆さんはもちろん、管理職も落としどころを見つけやすいから、私を認めてくれる。

 我が研究室で本を書きました(https://amzn.to/3p5EZEZ)。

 その本は、子どもにとって関わりが大事だと言うことを強調しました。オンラインでも実現可能であることを書きました。「やろう!」という人たちの支持を受けました。有り難うございます。しかし、もう一つのメッセージがあります。

 全校を休校にした第1波に比べて、もっと大きな波が来ています。しかし、休校の話は出ていません。理由は第1波で休校にするとどうなるかを知ってしまったのです。だから、出来ないのです。私は、この判断は正しいと思います。小中高で出来る最大の対策は休校ではなくインフルエンザの対策だと思います。

 しかしです。基礎疾患のある子ども、家族に基礎疾患のある子どもはかなりの割合です。その子ども、家庭にもう一つの選択肢を与えるべきだと思います。具体的にはオンラインでの学びの保証です。これは学修の問題ではなく命の問題です。残念ながら文部科学大臣の発言、それを支える文部科学省にはそれを感じられません。多くの子どもは基礎対策をした上での学修でいいです。が、全子どもの2割程度は命の問題です。

 ということを文部科学省は、考えたことがあるのでしょうか?
追申 現場の校長が「命」と言うたびに、すみませんが、底の浅さを思います。

思考方法

 大学に入りファイマン物理やバークレーフィジカルコースやスレータープランクの理論物理を学びました。意外だったのは英語本の方が分かりやすい。そして分かったのは、私が小中高で学んだ理科、少なくとも物理に関して、全く無駄だったことです。少なくとも、理系的な人にとっては、大学の物理を最初から学ぶ方が圧倒的にいい。

 高校までに学んだ力学は、F=mαを3次元に拡張し、微分、積分すれば全て導かれます。多くの人には勧められません。しかし、理科人にとっては圧倒的に効率的です。何よりも美しさを感じられます。これは今の高校までの理科では伝えられない。『学び合い』に関して教科の本質云々を言う方がおられます。少なくとも、物理に関しては噴飯物だと思います。

 大学では生物物理学を教えてもらいました。そこで教えてもらったのは、現象を近似によって本質的に単純化すれば、普遍的な法則が適用可能であることです。その近似は現象の多くを記述できることを学びました。

 今でも覚えています。私は酵母のエイジングに対しての紫外線感受性の研究を卒業研究でしました。データはたまりましたが、それを意味するものが見えません。指導教官の先生から、それを謎解きしてもらったときビックリしました。そして、控え室に戻ってから嗚咽しました。美しいからです。

 そこで私の思考方法は定まりました。基本的に単純な原理原則で考える。複雑な現象も近似によって単純化する。ただし、その近似の妥当性に関して、自分にとって置き換え、サルなどのヒト以外の生物に置き換えて妥当性を判断する。

 最近、ゼミ生からゼミ生や他の人からの質問で難しい質問があるか?という質問を受けました。ちょっと考えてから「ない」と応えました。ゼミ生は意外な顔をしました。でも、当たり前なのです。色々な人からの質問を受けますが、その人たちは多様な質問をしているように思っておられる。しかし、私には同じ質問を受けているようなのです。例えばです。四則演算が出来る人に対して、単純な計算を質問しているようなものです。

 F=mαという原理原則と解析学という思考方法を知れば、古典力学の問題は全て解けるのと同じです。教育の場合は、現象の近似方法も必要ですが、これは経験が必要です。だから、ゼミ生にはエピソードで伝えます。

何でも出来る人

 以下で書くことに関して、お叱りを受けるかもしれません。特に生き方の多様性を認めるべきというご時世ですから。私も賛成です。しかし、多くの人がフィットする生き方はあると思います。そうであるべきと強いませんが、ディフォルトは何かを知るべきだと思います。その上で、自分のプログラムを理解し、人生設計して欲しいと願います。

 私は30歳になるまで、「何故、人は結婚するのか?」が分かりませんでした。理由は一人でも生きられたからです。結婚するか否かは、「自由と安心」のトレードオフだと思います。不安は無いのですから自由を優先するのは当然です。

 30歳の時、肝障害で入院しました。私の血液検査を見たお医者さんは劇症肝炎を疑いました。結果、二人部屋に即入院です。そして、相部屋になった人は、後から後から死亡しているのです。自分がそのような状態であることを自覚しました。ところがなかなか死にません。そこで改めて問診をして、私が毎日1升以上の酒を飲み続けていることを理解し、飲み過ぎの肝障害であることを理解したのです。お医者様曰く、「あなたの歳で酒の肝障害になる人は初めてだ」とのことです。結局、1ヶ月入院しました。

 入院して、自分は無力であることを自覚しました。そして、生涯で始めて孤独を感じました。紆余曲折の後に、私を拾ってくれる女性に出会いました。家内です。おかげさまで幸せです。今では30歳で肝障害で入院したことを感謝しています。

 もし、私が毎日1升飲むような人でなければ肝障害にならないでしょう。問題なく、三十台を充実し、40台を充実して過ごすでしょう。さて、50歳代、60歳代、そして退職後はどうでしょうか?ハッキリ言います。独身での老後はかなりきつい。公務員として勤め上げても生活保護よりは「まし」程度なのです。なによりも、日々、関わってくれる人が少なくなる。

 ゼミ生には以下の様に語ります。

 「9時頃、地元のスーパーに行けば、ネクタイしたスーツの人が買い物をしている。カゴを見てみな。インスタントラーメン、3割引の惣菜、そして缶ビール。きっと惣菜を食べながらビールを飲んで、締めはインスタントラーメン。「おまえ」より能力があり、魅力的な人がそういう生活をしている、と言うでしょう。

 私は在学中に出会ったパートナーを大事にしなさいと言います。何故なら、就職後の出会いは学生時代に比べて難しいから。出会えないならば、見合いを勧めます。ま、見合いでなくても紹介でいいのです。私はそうでした。

 これからの時代、チェリまほのような関係もありだと思います。それに関しての法制度が整備されて欲しい。そして、次世代を育てられるシステムが欲しい。

 長々と書きましたが、何を書きたいか。

 自分でなんとか出来る30台、40台の教え子が不安なのです。幸せになって欲しい。