大学に入りファイマン物理やバークレーフィジカルコースやスレータープランクの理論物理を学びました。意外だったのは英語本の方が分かりやすい。そして分かったのは、私が小中高で学んだ理科、少なくとも物理に関して、全く無駄だったことです。少なくとも、理系的な人にとっては、大学の物理を最初から学ぶ方が圧倒的にいい。
高校までに学んだ力学は、F=mαを3次元に拡張し、微分、積分すれば全て導かれます。多くの人には勧められません。しかし、理科人にとっては圧倒的に効率的です。何よりも美しさを感じられます。これは今の高校までの理科では伝えられない。『学び合い』に関して教科の本質云々を言う方がおられます。少なくとも、物理に関しては噴飯物だと思います。
大学では生物物理学を教えてもらいました。そこで教えてもらったのは、現象を近似によって本質的に単純化すれば、普遍的な法則が適用可能であることです。その近似は現象の多くを記述できることを学びました。
今でも覚えています。私は酵母のエイジングに対しての紫外線感受性の研究を卒業研究でしました。データはたまりましたが、それを意味するものが見えません。指導教官の先生から、それを謎解きしてもらったときビックリしました。そして、控え室に戻ってから嗚咽しました。美しいからです。
そこで私の思考方法は定まりました。基本的に単純な原理原則で考える。複雑な現象も近似によって単純化する。ただし、その近似の妥当性に関して、自分にとって置き換え、サルなどのヒト以外の生物に置き換えて妥当性を判断する。
最近、ゼミ生からゼミ生や他の人からの質問で難しい質問があるか?という質問を受けました。ちょっと考えてから「ない」と応えました。ゼミ生は意外な顔をしました。でも、当たり前なのです。色々な人からの質問を受けますが、その人たちは多様な質問をしているように思っておられる。しかし、私には同じ質問を受けているようなのです。例えばです。四則演算が出来る人に対して、単純な計算を質問しているようなものです。
F=mαという原理原則と解析学という思考方法を知れば、古典力学の問題は全て解けるのと同じです。教育の場合は、現象の近似方法も必要ですが、これは経験が必要です。だから、ゼミ生にはエピソードで伝えます。