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2003-01-23

[]ニッパチ理論 17:17 ニッパチ理論 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ニッパチ理論 - 西川純のメモ ニッパチ理論 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 ニッパチ理論というのがあります。大抵の集団において2割のメンバーが、その成果の8割を占めるというものです。最近、面白いことを教えてもらいました。航空会社の利用者全体の約2割が頻繁なリピーターで、売上の約8割を形成しているそうです。そのため航空会社は、この2割の顧客をマーケティングの中心に据え、売上の8割部分を競合会社にとられないようにしているそうです。

 また、ロシア革命の際にもニッパチ理論が利用されました。そのニッパチ理論とは、ある集団の中で自分自身の考えを持っているのは2割程度で、その2割の人たちの意見が残りの8割の人たちの行動を決める、というものです。従って、その2割の人の半数以上、即ち1割強の人によって全体を支配できるというものです。過半数の人たちの同調者を得ようとする方法とは違い、革命理論っぽいですね。事実、このことは経験的にも正しいように思います。会議において発言の多い人は概ね2割程度です。例えば30人ぐらいの職員集団の場合6人ぐらいとなります。その発言の多い人たちの過半数である4人が意を通じ、順繰りに賛成意見を述べたならば、会議の方向をかなりの部分主導することが可能だと思います。

 大学には学長選挙があります。多くの教官にとって「学長」は雲の上の人です。どんな人かも分かりません。また、対立候補にしたって、同レベルの雲の上の人です。第一、対立候補が誰になりそうなのかという図式すら分からない教官が大部分でしょう。対立候補が誰になりそうなのかが分かり、学長対立候補のそれぞれが、どんな考えを持った人なのかを、選挙前に知っているのごく限られた人です。そうすると多くの教官は、知った人を通して選挙の図式を知ることになります。当然、選挙のそれぞれの側は、全く逆の図式で選挙を見ています。多くの一般の教官は、どちらの図式で見るかという判断を候補者を通してではなく、教えてもらう人を通して判断します。つまり、候補者ではなく、候補者を語る人の人となりを通して候補者を判断することとなります。ニッパチ理論によれば1人の教官に対して、その教官を信じて行動する教官は4人程度となります(平均すれば概ね妥当のように思います)。4人の教官を説得できる人は、5票の行方を握っています。したがって、そのような教官を5人説得できることは25票の得ることとなります。もし、ある大学選挙権のあるのは170人程度の教官だったとします。そうなると、過半数は90票弱となります。学長候補者になるような方は説得力がある方ですから、基礎票が20~30票はあります。となれば、12~14人程度の説得できる教官を納得させれば、その大学学長になれることとなります。従って、勝敗を決めるポイントは二つあります。第一は、説得力がある人が誰かと認定できること。第二は、そのような人を納得できるようなビジョンを持っていることです。しかし、第二が勝敗の分かれ目になるためには、第一は必須です。誰が説得力のある人かが認定できずやみくもに説得したとしても無駄です。しかし、説得力のある人を認定できたとしても、その人たちを説得できるビジョンがなければ無駄です。いずれにせよ、大学学長候補者となる人たちは、私とは別種のすごい人です。

追伸 上記は架空のシミュレーションであり、昨日の上越教育大学学長選挙と直接関係はありません。(よくあるでしょ。ドラマの最後に)