お問い合わせ  お問い合わせがありましたら、内容を明記し電子メールにてお問い合わせ下さい。メールアドレスは、junとiamjun.comを「@」で繋げて下さい(スパムメール対策です)。もし、送れない場合はhttp://bit.ly/sAj4IIを参照下さい。             

2004-06-25

[]意外な笑い 13:00 意外な笑い - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 意外な笑い - 西川純のメモ 意外な笑い - 西川純のメモ のブックマークコメント

 笑われることと、笑わすことは全然違います。

 昨日は百数十人の院生さんの前で語りました。百人以上を前でマイク無しで語るとなると、授業と言うより、運動です。でも、気持ちよく語りました。30人以上の話となれば、講演会と同じです。練りに練った演目です。どこで、種をまき、どこで刈り取るかも計算し尽くした話です。従って、「ここで笑うな」も予想済です。また、笑いをどの程度まで伸ばすかも織り込み済みです。従って、自分が ぜんぜん意図していない部分で笑われると、「ドッキ」とします。でも、それが発見となります。

 最近の授業でも1カ所ありました。30人の院生さんを前に、2年前に修了されたMさんの研究を紹介しながら、我々の研究室の考える情報教育を語りました。その中で、現場に行って2週間たった時に、憔悴して帰ってきたMさんのことを話しました。我々の考える授業が成立するためには、2~4週間かかります。何故なら、我々は直ぐに現れるが直ぐに消えるテクニックではなく、教師の考え方を重視します。教師の考え方が子どもに現れるには2~4週間かかりますが、逆に、一度現れると、ず~~っと継続するという特徴があります。Mさんは2週間経っても、子どもに変化が現れないので、落ち込んで、従来の授業の考え方に戻ろうとしました。その時の話です。

 私が語ったことは、「あなたの方が小学校教育に関してはプロだから、あなたが駄目だというならば、それは正しいのだと思います。でも、我々の考えの正しさを歴代の現場先生である院生さん達が証明し続けています。私を信じられなくても、歴代の先輩を信じて欲しい。」と言って送り出しました。そして、その2週間後(つまり実践を始めて4週間)たったとき私に会った時は、Mさんが実践での自信を持って帰ってきました。そのような話に関してです。

 私が意図しなかった時に笑われたのは、私が「あなたの方が小学校教育に関してはプロだから・・・」という部分で、院生さん達が笑った時です。内心「え!?」とおもってどきまぎしました。私にとっては、当たり前すぎるほど、当たり前です。だって、私は小学校で教えた経験が全くありません。一方、Mさんは10年以上の経験があります。だから、私より、圧倒的に小学校教育に関してプロであることは確かです。

 だから、そこで院生さん達が笑ったのが、何故か暫く分かりませんでした。しかし、暫くたってなんとなく分かったような気がします。それは、大学教育を教えていると、学校現場に関しても分かっているのではないか、と単純に誤解しているのではないか、と思いました。馬鹿げた話です。でも、大学教師の中にも、馬鹿げたことを本気で信じている人がいます。例えば、小学校で10年教えた先生に対して、小学校先生と同じ立場で「教えられる」と思っている人がいることに驚きます。我々、大学教師が出来るのは、研究を通して考えることを、現場先生に提案できることだと思います。そして、その提案を判断するのは現場先生です。だから、本気で目の前にいる現場10年選手より小学校で教えられると思っている大学教師がいると、心の底からバカだと思います。もちろん、私が経験した高校であっても、私は10年は教えられなかったんですから、小学校と同じです。それに、私にとって「あなたがプロだ」というスタンスはとても大事です。だって、西川研究室の基本は自己判断・自己責任ですから。私が偉そうなことをいえば、結果に関して全て一人で背負わなければなりません。でも、「あなたがプロだ」というスタンスでいる限り、現職院生さんはプロとしての見識で自身の実践研究を計画・実践するはずですから。

[]学年 13:00 学年 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 学年 - 西川純のメモ 学年 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 非常に不思議なことがあります。それは、本学の研究室で、M1M2が別々な部屋にいるという研究室が多いと言うことです。だって想像してください。学校の職員室が幾つかの部屋に分かれていて、それぞれが、新採教員の部屋、経験5年以下の教員の部屋、経験10年程度の教員の部屋、経験20年の教員の部屋、教頭・主任の部屋に分かれていたら・・・、とてつもなく馬鹿げたことです。

 西川研究室ならば、そのバカさかげんがよく分かると思います。そして、もし、別々な部屋に入れられたら、どんなに困るかも良くお分かりです。なのに、そのように運営している研究室は、大学では少数だと思われます。ちなみに、今年途中に、学部学生大学院生を同じ部屋に入れることがゼミ生の中で着々と計画されています。このことは私自身も以前からやろうと思っていましたし、ゼミ生の中からも検討して欲しいとの希望がありました。しかし、従来の戸北・西川研究室の所帯はあまりにも大きく(下手なコースより多い所帯です)ので、学部生・大学院生を一緒に入れるような部屋を確保出来ませんでした。

 私は異質なメンバーが多く集まれば、より安定し、質の高い達成がなされると信じています。本学赴任後18年目の大実験です。でも、確信があります。それが動き始めれば、過去のどの学年よりも質の高い集団が形成されるはずです。