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2007-12-15

[]やれること 17:37 やれること - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - やれること - 西川純のメモ やれること - 西川純のメモ のブックマークコメント

 13日に他大学の学生さんが『学び合い』を参観しました。その中に教員採用試験に合格し、来年度から教壇に立つ学生さんがいました。その学生さん「『学び合い』を新採の私がやるのは抵抗が多いと思います。どうしたらいいのでしょうか?もう、『学び合い』を見たら一斉指導は出来ません・・・」と言っていました。当然の質問です。私は、あはははは、と笑った後に、以下を語りました。

 『そりゃ今日の、最初に課題を短く語り、あとは子どもたちに自由にするという『学び合い』をいきなりやったらビックリされるだろうね。でも、方法はいくらでもあるよ。

 最初に教科書の一部分を読み上げるんだよ。出来れば、みんなで一緒に声を合わせればいい。そうすれば、君がクラスを掌握していることが見えやすくなるよ。殆ど無意味だけど、世のしがらみはしょうがない。その後、本日の課題を言うんだ。ただし、40分もしくは45分相当の課題ではなく、10分程度の課題でいいんだ。例えば、「広口瓶にろうそくを入れてふたをしました。しばらくしたら、ろうそくは消えました。何故、消えたか?どうぞ」と課題で10分程度話させる。その後、「じゃあ、それを証明するにはどのような実験をしたらいいか?どうぞ」という課題で10分程度話させる。そういう風に、1時間の授業を2、3に分けてやれば、一見、ごくごく普通の授業に見えるよ。でも、一斉指導とは決定的に違う面がある。例えば、その10分間の活動においてたち歩き・私語はウエルカムなんだよ。たいていの一斉指導の場合、話す相手は固定しているし、その人数は少ないよね。それとは全然違う。また、話し方に変な限定を付けはしない。それと、たいていの一斉指導の場合、話し合わせた後に、「じゃあ、1班、・・次に2班・・」といように次々に当てて、その回答を黒板に書き写して教師がまとめてから、次の課題に進むよね。ありゃ馬鹿馬鹿しい。時間のロスだよ。『学び合い』が成立していれば、子どもたちは情報を交換しているので、教師がそれを誘導したり、まとめる必要はないよ。第一、子どもたちがどんな話をしても一定の結論にまとめたいならば、子どもたちの発言を求めること自体無意味だよ。まあ、結論が決まっている校長が主催する職員会議で、「みなさんの自由は発言を求めます」と言っているようなもんだよね。あははは。そんなんだったら、「燃えるときに必要なものが無くなったからだよ。じゃあ、それを証明するにはどのような実験をしたらいいか?どうぞ」と言った方がフェアーだよ。そして、最後のまとめだけど、これまた時間の無駄だけど、世のしがらみはしょうがない。2、3分程度、やったふりをすればいいんだよ。まあ、こんなことをすれば、ごくごくスタンダードな授業に見えるはずだよ。それで、成績を上げて、人間関係を向上してたら、だれからも文句の言われる筋合いはないよね。あははははは』

 ただし、上記はテクニックに過ぎません。私が学生さんに伝えたかったことの第一は、『学び合い』において大事なのは、どのように授業をするかではなく、教師の心の有り様だと言うことです。

第二は、出来ない理由を挙げている人は、いつまでも何にも出来ないということです。出来る人は、出来ることを見いだし、それをやります。出来ることをやっているうちに、周りの状況が変わり、出来なかったことが出来るようになるものです。