■ [大事なこと]ボス
クラスの中には、『学び合い』を最初は受け入れられない子どもがいます。その子がクラスのボスだったら大変だと考えている先生もおられます。でも、それほど大変ではありません。たしかに1対1だったら、その子は強いかもしれません。それは腕力であったり、成績であったり、その他の理由で勝っているかもしれません。そのため、ある子が「やろう」と声掛けしても拒否するでしょう。いや、声掛けすること自体をためらうかもしれません。でも、そんな子どもも1対2、1対3、いや1対クラスでは必ず負けます。その子がのさばっているのは、クラスという集団ができていないためです。
もし、一人のボスではなく、何人かのボス集団が形成されているかもしれません。しかし、よく見ればその集団の凝縮力は弱いものです。その集団に所属したいと願っているというより、それ以外の集団に所属できないというのが理由の場合があります。その場合は、受け入れられるクラス集団を作れば、そのようなボス集団を解体することができます。仮にボス集団3人が固まっていたとしても、クラス数十人の意見には逆らえません。いずれにせよ、クラス作りです。
『学び合い』の「みんな」は、クラスの7、8人にとっては直ぐに魅力的であると分かります。そして、クラスの大多数の子どもも、しばらくすると魅力的であると分かります。ただ、我々教師が職員会議で全体に語ることに躊躇するのと同じように、一人一人の子どもが「みんな」をみんなに語ることは躊躇します。だから、教師が語らねばなりません。反発する子どももいるかも知れませんが、一方、それを待ち望んでいる子どもは多いのです。そして、反発する子どもも、やがて、その意味を悟ります。いや、「それを理解することこそが学校教育の意味だ」と考えるのが『学び合い』です。