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2010-08-04

[]事の発端 10:26 事の発端 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 事の発端 - 西川純のメモ 事の発端 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 明日、新潟で『学び合い』フォーラムが開かれます。全国各地で開かれる『学び合い』の会の最初は、このフォーラムです。その最初は2005年8月20日でした。この会がどのように生まれたかを備忘のためメモります。

 私が『学び合い』を現場に知ってもらうためにやったことは本です。1999年の「何故理科は難しいと言われるのか?」を皮切りに、毎年1冊のペースで本を出版しました。そして、毎年、数多くのところに講演に行きました。が、広がっているという実感は殆どありません。かなりかわった授業方法(?)を新潟の学者が提唱している、程度の認知が多少広がっている程度です。そして、私の講演依頼の殆どは理科教育学の研究者としての私に対してでした。つまり認知研究をやっていた当時の私です。

 数年間やっているのにも関わらず遅々として進まない現状にイライラしていたときです。2004年に私のボスの戸北先生が副学長に就任しました。それを祝う会をOBOG中心に企画し、6月17日に開きました。そのために新潟の片桐さんが上越教育大学に来ました。彼に、上記に書いたようなことを愚痴り、どうしたらいいか相談しました。そこで指摘されたのは、西川ゼミは学術研究を基礎として『学び合い』を生み出したが、それを今のような学術ベースで現場に広げようとしても限界がある、ということです。そして、現場の研修会のような形で『学び合い』を広げるべきであると言われました。「現場の研修会」と言われても正直、ピンとしませんでした。でも、片桐さんの言うことだから、正しいだろうな~っと思いました。そして、開催場所としては、全県レベル・全国レベルでの広がりを狙うならば新潟市で開催することを提案されました。西川ゼミのOBOGは下越・中越地区に多いので、それは可能ではないかと思いました。そこで、片桐さんに声がけと企画をお願いし、快諾をいただけました。

 2004年の秋に本格的に始動しました。最初の会は手探りです。そして、最初の発端から約1年後の2005年8月20日に新潟市で第1回のフォーラムが開かれました。参加者は五十人です。が、大会関係者の西川ゼミ関係者が半数を占めていたので、本当の意味での参加者は二十数人です。(その中には、後のフォーラムでパネリストになっていただいた、千木良校長(当時)、おそらく5人ぐらいしかいないフォーラム皆勤賞の埼玉のすみちゃん(当時は先生ではありませんでした)がいました)。それにしても、外部の参加者が二十数人というのは正直拍子抜けでした。このような会が『学び合い』を広げるのに本当に役に立つのか?と思ったこともあります。しかし、役に立つか、立たないかではなく、やるべきことは確かです。そして、何よりも繋がると直感を持ちました。

 次の年の2006年の参加者は百人となり、明らかに大会事務局より外部参加者が多くなりホッとしました。私としては2007年のフォーラムに大きな変化を感じました。2007年の当初に全国地方紙に群馬県の八幡小学校の実践が載りました。その関係で、2007年には広い範囲内の人が集まりました。その会では、怖い顔で私に質問を食い下がった「十人十色」さんがいました(彼は『学び合い』宮城の会の発起人です)。トイレに行ったら、見覚えのある歩き方の後ろ姿、学部で教えたO4がいました(彼は富山で会を開いています)。

 そして明日、第6回のフォーラムが開かれます。最初の会から丸5年、たった5年です。本や学会で広げようとした5年間とは全く違う広がりを見せています。現在、日本中には『学び合い』で学校作りをしている学校は数十あり、『学び合い』を実践している人は数千います。こんな状態になるなど、5年前は想定していませんでした(願いましたが)。では、今から5年後の2015年のフォーラムはどうなっているでしょうか?その姿の方向性が明日みられると期待しています。

 全国の皆さん、ご参集ください。

追伸 私はかなりの確信を持って5年後を想像できます。第一に、『学び合い』の生の実践を見たという教師が過半数を超えると思います。かなりの反発を引き起こすとは思いますが、全国の同志が穏やかにそれを乗り越えてくれると思います。そして、公的機関もそれに対応するようになるでしょう。さらに、『学び合い』は教育の範囲をとうに超えているでしょう。そうなったら、私自身は『学び合い』から次のことに意識が向いているかもしれません。何度も書きましたが、私が本当にやりたいこと、それは内容です。5年後においても、私には10年間は現役の研究者でいられます。十年あれば、それを乗り越えることは出来ると思います。