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2012-10-20

[]どこを見ているか 19:03 どこを見ているか - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - どこを見ているか - 西川純のメモ どこを見ているか - 西川純のメモ のブックマークコメント

 今回の九州旅行ではいろいろな学校を見ました。そして1校時の間に数十人の先生の授業を見てまわります。その学校の研究主任や管理職はびっくりします。研究者が授業を見る場合は1時間かけてじっくりと見るのが普通です。しかし、私の場合は各教室あたり十数秒程度です。その速度で次々と見回ります。そして1時間の中で校内の全教室を4周以上回ります。

 『学び合い』が広がる前の学校の場合は、「直ぐに『学び合い』を取り入れるだろう人」、「ちょっと時間がかかる人」、「最後まで取り入れることに難色を示すだろう人」の3種類に分けます。最後に管理職に見せると、それがかなり的確なのでビックリされます。でも、種明かしをすれば簡単です。

 私の見ているのは、二つです。

 第一は、子どもの自由にさせている時間を設けているか否かです。自由にさせている時間というのは、子ども達が話し合いをさせている時間や、子どもが自由に教師に発言している時間です。もしも4周以上回っても、それが皆無か否かを見ます。

第二は、そのような時間が合ったときの子どもの表情です。子どもがニコニコして活動しているか、それとも硬い表情をしているかです。

 『学び合い』を受け入れることに最後まで難色を示す人はおおよそ2タイプです。第一は、始終硬い表情を崩さない先生です。そして、子ども達も自由な時間を与えられても、その先生が自由に発言することを求めていないことを知っているので硬い表情をしています。

 第二のタイプは、徹頭徹尾、エンターテーメント性の高い授業です。子ども達は自由な発言をしているようで、完全に教師によってコントロールされています。子ども達はジェットコースターに乗せられているような状態です。楽しいし、笑いが絶えません。(高校教師の時の私の姿です)

 一見、両者は対極の先生のようです。実は、子どもを信じていないという点では全く同じです。『学び合い』の子ども観である「子ども達は有能である」ということを乗り越えることが難儀なのです。

私以外の研究者が見ているのは教材なのに対して、私は子どもを見ているのです。子どもはその先生を数ヶ月、時には数年間、ずっと観察しているのです。だから、子ども達を見ればその先生をかなり正確に見て取れるのです。

 種明かしをすれば簡単でしょ。

追伸 言うまでも無く、3つのタイプの先生に優劣はありません。あくまでもタイプの違いです。例えば、最後まで抵抗している人なのですが、一度、子どもを信じられるようになると、最高の『学び合い』をする人をいっぱい知っています。