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2015-04-12

[]アクティブラーニング 06:30 アクティブラーニング - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - アクティブラーニング - 西川純のメモ アクティブラーニング - 西川純のメモ のブックマークコメント

 何度か書いたように、これからの教育のキーワードとなるアクティブラーニングは縛りの非常に緩い言葉です。ようは今よりも学習者が能動的に他の子どもと関わるものは全て含まれます。ですので、今やっている話し合い活動の回数を少し増やす、でも、アクティブラーニングでもOKです。おそらく、その程度しか思いつかない人、それ以上のことが思いつくけど面倒なのでその程度ぐらいでスルーしようとする人が大部分とはもうしませんが、過半数だと思います。日本の社会が平和で健全であるという証拠です。国民の過半数が必死になっているという状態は、戦時下のような異常な状態ですから。

 しかし、その様な中にも2割の人は、その先を考え、その先を実践します。この文章を読む方にはその様な人がかなりの割合を占めています。そこでその方へ、『学び合い』を宣伝します。

 まず、流れに流される人が大部分です。しかし、流れを読み、その流れの方向に一歩先んずることの有利さはおわかりだと思います。さて、アクティブラーニングを学校レベルで実践しようとする場合、『学び合い』は以下の点でアドバンテージがあります。

 第一に、理論があります。

 理論がなければ方針が揺らぎます。また、理論がなければ人依存になります。つまり、誰が言ったということが判断基準になってしまいます。

 理論とは何でしょうか?網羅的なルールや法則を集めたものは理論ではありません。それらを構造化し、ギリギリまで削ったもので、それから多様に適用し、予測できるものです。例えば、古典力学はF=mαに集約されます、相対性理論もE=mC二乗に集約されます。古典電磁気学も4つの方程式に集約されます。化学は端的にまとめれば、物質は粒で考えると表現できると思っています。分子生物学はセントラルドグマがあり、生物学全体を進化論が支えています。『学び合い』は文章にすれば1行に表すことが出来る学校観と子ども観によって構成されています。

 不遜ながら、ここまで単純な理論は教育学の世界になかったと思います。これだけ単純化した結果、小学校、中学校、高等学校、大学という様々な学校段階に適用できて、あらゆる教科のあらゆる単元に適用できます。社員教育に適用している会社もあります。

 もし学校レベルで実践しようとするならば理論が必要です。それがないと職員がてんでにばらばらなことをして全体としての力にはなりません。よく研究主任が学校研究主題を説明するときに様々な言葉を結びつけた密教曼荼羅のような図で説明しますね。あれでは、一人一人がその中の言葉の一つを選んでしまいます。

 第二に、膨大な中長期にわたる学術的実践データによって裏打ちされている。

 実践界にも巨星があり、全集をなすような方々もおられます。しかし、そこで述べられているのは自分自身の限られた経験に基づくものです。

 学術界には実証的なデータに基づく成果があります。しかし、研究者と実践者の現状の関係から、中長期にわたったデータであることはまれです。

 つまり本当に有効かどうかがあやふやなのです。

 さて、これから学校でアクティブラーニングを実践しようと考えている方にとって最も意味あるのは第三番目です。

 それはマニュアルがそろっている。それも一定数で収まる。

 アクティブラーニングを主導しようとする人ならば、当人が実践するならばどんな実践でも大丈夫だと思います。結局、教師の力量は「心」だと思うからです。子どもたちは教師の言動をつぶさに分析し、その人の「心」を分析します。クラスの中には大人の腹を読むことが非常に上手い子が5人はいます。その子どもたちが話し合えば、正確に分析します。そして、その「心」によって、その教師にどれだけ従うかを決めます。子どもたちが学ぶ気になっていれば、どんな教材であっても、どんな指導法であっても学習は成立します。そして逆もまた真です。

 あなたが悩んでいるのは学校職員の中にいる「そうでない教員」だと思います。その方が悪いわけではありません。乱高下する採用計画の結果、この二十年間、職員室の教育力は低下しました。昔だったら先輩教師との膨大な会話の中で「心」を伝えていました。しかし、それが弱くなってしまった。活字離れの激しい現在、その中で本を読んでいるのは若い教師であるのは、教室の教育力の低下のためです。

 しかし、今も昔も若い教師には余裕がない。必要なのは明日の授業に必要なものです。だから世にあふれているのはノウハウ本であり、テクニック本です。私はそれでいいと思います。しかし、いつまでもノウハウやテクニックでは生きていけません。なぜなら子どもは「心」を見ているからです。良い授業をしたいと思ってノウハウやテクニックを学んでいるならば、良い授業をしたいという心を子どもたちは読み取ってくれます。ところが、そこそこ授業が出来ると楽が出来ます。そうなると学びません。そうなるとその気持ちを子どもたちは読み取ります。その結果、同じノウハウ、同じテクニックを使っているのに上手くいかなくなります。昔はそのあたりを先輩教師から口伝で伝えていたのです。

 さて、あなたは学校職員の先生方にテクニックを伝え、心を伝えられますか?おそらく無理です。あなたが伝えなければならない人の数が多すぎます。そして、あなたと相性の悪い人もいます。どうしたらいいでしょうか?

 そこでノウハウ本、テクニック本が必要なのです。それは心に繋がる本でなければなりません。『学び合い』にはそれがあります。

 『学び合い』はもの凄くシンプルな理論から構成されています。従って、方法論ももの凄くシンプルです。それらは学校段階、教科・単元によりません。それ故、実践して起こるであろう失敗は既に出尽くしています。そして、シンプルな理論なので、その失敗を避ける方法、また失敗から復帰する方法もシンプルです。だから一定数の本を読めば十分なのです。

 さらに『学び合い』は合同『学び合い』、すなわち、定常的に一緒に授業を共にすることを実現できます。それによって具体的な場面で、伝えることが出来るのです。

 『学び合い』は県庁所在地でもない地方都市にある小さい大学の一教師が始めたことです。これが全国に広がっている理由は一つです。「簡単で、直ぐに効果がある」からです。

追伸 簡単ですが、意識改革が必要です。だから、いきなり全員に強いず、まずはコアメンバーをつくりましょう。そして合同『学び合い』で始めましょう。週1からでも結構です。ただし、足して二で割る『学び合い』は入りやすいですが、崩れやすい。このあたりのことも詳細に本に書いております。