■ [大事なこと]質問に応えて
昨日の『学び合い』上越の会では、参加者に「今聞きたいこと」を短く書いて頂き、箱の中に入れます。私はそれをランダムに3枚選び、その場でその3つを含んだ講演をするという落語の三題噺のような講演をしました。
しかし、当然、質問の多くは箱の中にあります。
それに短く応えたいと思います。なお、詳細が書かれている本の名前をつけます。
1)『学び合い』褒める時の注意
今までの褒めると『学び合い』の決定的な違いは、褒める言葉を聞かせたい相手です。今までは、良い行動をした「その子」です。『学び合い』は集団を動かそうとします。だから、ちょっと大きめな声で褒めるのです。それによって、どのような行動が良い行動であるかを全体に聞かせます。
なお、もう一つの注意は、褒めることはせいぜい4週間ぐらいでやめましょう。余り長くやるとウザくなります。言葉にしなくても、その頃になれば無言であっても現れるあなたの表情が雄弁に語ってくれます。
関係書籍 クラス・学校が幸せになる『学び合い』入門、『学び合い』を成功する教師の言葉がけ。
2)若いうちにやっておくべきこと
色々あります。難しいことをやれと私が言っても無理です。簡単に直ぐにできることに集中しましょう。第一は声の出し方でしょう。それに5時間費やす方が、500時間教材研究に時間を費やすより有効です。その他色々あると思いますが、一生涯を連れ添う人を探すことを薦めます。
関係書籍 新任一年目を生き残るサバイバル術教えます、何故か仕事の出来る教師の7つのルール
簡単に言えば2つの点で違います。世にある「学び合い」の99%は学力向上もしくは人間関係づくりの手段です。しかし、『学び合い』は学力向上と人間関係づくりを分けません。『学び合い』は両者を融合したものを目的としています。ただし、その際に子どもの能力を最大限に信じる点が特徴です。
関係書籍 『学び合い』の手引き(ルーツ&考え方編)
4)部活について
部活はクラスと同じです。そして、その運営の方法は『学び合い』と全く同じです。多様な人が集まるとき、そこに起こることはほぼ同じです。
関係書籍 高校教師のためのアクティブ・ラーニング
5)児童・生徒にどのような変化が見られるのですか?
『学び合い』はシンプルな理論と実践から構成されています。学校段階、教科に依存せず、同じようなことが起こります。特に始めてから3ヶ月は見事に同じです。詳細は、以下に書いております。
関連書籍 『学び合い』ステップアップ、週イチで始めるアクティブ・ラーニングの始め方、『学び合い』を成功させる教師の言葉がけ
6)アクティブ・ラーニングを受け入れたがらない子どものアプローチの仕方
たいていの場合は4週間以内に解決出来ます。ようは、その間はのらりくらりと子ども集団の成長を待つしかありません。具体的には、保護者とその子どもとの信頼関係づくりです。ただ例外は高校の選択科目の場合です。この場合は、少々こそくなテクニックを併用する必要があるでしょう。
関連書籍 みんなで取り組む『学び合い』入門(あと1ヶ月以内に出ます)、高校教師のためのアクティブ・ラーニング入門
7)『学び合い』によって子どもが企業で働く能力を育成できるか
この質問者の場合は、既に答えを持っています。そうです。出来ます。ただ、そうするためには教師集団が『学び合い』をしなければなりません。それがカリキュラム・マネジメントです。
関連書籍 『学び合い』で始めるカリキュラム・マネジメント、子どもを軸にしたカリキュラム・マネジメント、今すぐ出来る全校『学び合い』で実現するカリキュラム・マネジメント
8)英語(高校)での取り組み方
基本的に他教科と同じです。具体的な事例を知りたい場合は、すぐ実践できる!アクティブ・ラーニングシリーズの高校英語をお読み下さい。
9)家族との折り合い
『学び合い』の理論と実践は無敵です。ただ、対個人には使えません。具体的には、伴侶や子どもには使えません。だから、時間をかけて誠実につきあうしかありません。その場合、『学び合い』は有効です。だって、教師一人で全部を背負う必要はありませんから。
関係書籍 新任一年目を生き残るサバイバル術教えます、何故か仕事の出来る教師の7つのルール
10)もしもの話し、西川先生が新設校をつくるとしたらどんな学校をつくりますか?
『学び合い』の理論の帰結から導かれます。きっと、常識的な方はビックリすると思います。
関連書籍 『学び合い』の手引き(アクティブな授業づくり改革編)
11)保護者の理解
ずばり、みんなで取り組む『学び合い』入門(あと1ヶ月以内に出ます)に書きました。
12)教科の枠を超えた横断的な問に対して
ずばり、子どもを軸にしたカリキュラム・マネジメントをお読み下さい。教科から出発するのではなく、教科を学ぶ子どもの姿から出発し、多様な教科の先生方と話し合うしかありません。
13)人生
私の中で幸せとは何かハッキリしています。それは「家族仲良く健康で」です。ただ、この言葉の意味の深みを理解するには、一度、もの凄く基本的な幸せの要素を突き詰める必要があります。
関連書籍 アクティブ・ラーニングによるキャリア教育入門
14)課題作成の方法
これからやろうと思う人が最初に悩むところです。実は簡単です。
関連書籍 課題づくり入門、学力向上テクニック入門、週イチで始めるアクティブ・ラーニングの始め方
15)アクティブ・ラーニングと観点別評価
ずばり、アクティブ・ラーニングの評価が分かる!に書きました。アクティブ・ラーニングの評価は主体的・対話的で深い学びでなければなりません。ただし注意すべきは主体的・対話的の主語は子どもなのです。ところが、多くの人は未だに教師が主語になっています。
16)結婚
ゼミ生にしつこく語ることです。ゼミ生にとっては耳タコです。
関係書籍 新任一年目を生き残るサバイバル術教えます、何故か仕事の出来る教師の7つのルール
17)人とのつながり(人間関係)
人とどうやって繋がれば良いでしょうか?『学び合い』を実践している方なら簡単です。みなさんが子ども達に語っていることを自分がやれば良いのです。折り合いをつければ良いのです。ずばり、みんなで取り組む『学び合い』入門(あと1ヶ月以内に出ます)に書きました。
18)アクティブ・ラーニング
アクティブ・ラーニングには5%のエリートのためのアクティブ・ラーニングと95%の人達のアクティブ・ラーニングがあります。これらは分けなければ混乱します。
関連書籍 アクティブ・ラーニング入門、サバイバル・アクティブ・ラーニング入門、学歴の経済学、2020年激変する大学入試
19)先生が出された著作の中でまず最初に手にとって読むべき作品は?
全て、と言いたいところですが、これから実践しようとする方は、『学び合い』ステップアップ、週イチで始めるアクティブ・ラーニングの始め方、『学び合い』を成功させる教師の言葉がけの3冊はお読み下さい。
それらの意味を理解するには明治図書の対話本が有効です。
そして、子ども達に自信を持って語るためには今後の社会を理解しなければならない。そのためには学歴の経済学とサバイバル・アクティブ・ラーニング入門をお読み下さい。
20)どのような場面での活用が効果的ですか?
伴侶と子ども、そして上司とのつきあい以外は全てです。
21)『学び合い』の未来
社会を変えることでしょう。私なりの妄想を以下に書きました。
関連書籍 『学び合い』の手引き(アクティブな授業づくり改革編)
22)『学び合い』が成立する学習課題
全てです。
関連書籍 課題づくり入門、学力向上テクニック入門、週イチで始めるアクティブ・ラーニングの始め方
23)恋愛
16と同じです。ゼミ生にしつこく語ることです。ゼミ生にとっては耳タコです。
関係書籍 新任一年目を生き残るサバイバル術教えます、何故か仕事の出来る教師の7つのルール
24)『学び合い』で成立しずらい、または、出来ない教科、科目、領域、分野は存在しますか?
ありません。現在、全ての教科、科目、領域、分野で実践されています。
25)知識は身につくの?テストは?
ご安心あれ。でも、これを理解するには、知識とはテストとは学力とは何かを、『冷静』に見切る必要があります。
関連書籍 学力向上テクニック入門
26)『学び合い』
以上を読みながら理解を深めて下さい。色々な本を読むことによって理解が深まります。理論はきわめてシンプルなのですが、応用範囲がめちゃくちゃ広い。
■ [お誘い]『学び合い』神奈川の会
5月14日に厚木で『学び合い』の会が開かれます。お誘いします。http://kokucheese.com/event/index/464291/
■ [大事なこと]広がってない
ある『学び合い』実践者が勤務校の管理職から「『学び合い』がいいんだったら広がっているはずだ。良いものは広がるから。でも、広がっていないだろう」と言われた話しを聞きました。
さて、どうでしょうか?
皆さんは『学び合い』は広がっていると思いますか?それとも広がっていないと思いますか?
話しをちょっと変えましょう。
今までの日本の教育で広がったものってありますか?
ありません。
文部科学省の推し進めた生活単元が広がりましたか?
言語活動は国語での話し合い活動を増やす程度に落ち着き、総合学習は昔から合った地域素材の活用に落ち着いたじゃないですか。結局、今の教育は学制発布の当初から変わりがありません。授業検討会で語られる言葉は、コメニウス、ヘルバルトが使った言葉を別な言葉で言い換えただけではないでしょうか?
民間の研修団体は多くあり、様々な成果を上げています。なによりも職員室の教育力が低下する中で見捨てられてしまった若い教師を救いました。しかし、そこで語られ、伝えられるのは、現状の教育に直ぐに使える様々なテクニックです。今の教育を根本的に変えるような、一貫した理論とそれに基づく実践方法ではありません。
学制発布当初の教育と今の教育の違いは、せいぜい印刷やコピーの道具が発達し、最近は電子機器を使うようになりました。でも、それを使ってやっていることは昔と何ら変わりはありません。
『学び合い』は今までの教育の考え方を根本的に変えようとしています。おそらく、日本の教育史の中でこれに比肩するものはなかったと思います。少なくとも、日本中に実践者が広がり、会が開かれているものの中ではなかったと思います。(すみません、怒られそうですが、あえて言います)
こう考えると、もの凄く広がっています。
そして、その広がっている理由は、第一に「本を読んで、本の通りやれば、本で示されるようなことが起こり、本で書かれている成果を上げられる人が多い」(全員とはもうしません。本の通りやれる人ばかりではないです)から。第二に、その実践の元にある願いが、単に分からせる、楽しませるではなく、子どもの一生涯の幸せを願っているからです。