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奈落

 リウマチの発作があるときは、そのまえに「くるぞ、くるぞ」という感覚があるそうです。私も似た感覚があります。35年前に比べると、かなり頻度が下がっていますが、高校教師時代の教え子が夢に出てくる予想がつきます。みんなニコニコして私に懐いています。でも、私は土下座して泣きながら謝ります。きっと、今日はそんな日です。いつもは寝る直前に来る感覚ですが、今日は早い、だから書きたくなりました。

 義務教育の先生方、すみません。きっとご不快に思うかも知れません。私の知らない義務教育の大変さがあることは了解しています。でも、私の教師人生の辛さを書くことをお許し下さい。

 教師になった私は学力的には最底辺の定時制高校に勤めました。そこでいっぱい経験しました。信じられない、犬畜生のような親の子どもを知りました。でも、それでも可愛い子供達です。私なりに最善を尽くしました。面白い授業、分かりやすい授業を目指し、暴走族、OB/OGに対して物理授業を成立させるように出来ました。青春ドラマの教師を目指し、時間を費やしました。でも、無理なのです。子ども達全員を救うためには私の時間は少なすぎる。なによりも、私の心が弱すぎる。毎日、1升以上の酒を飲み続けて、とどまった。

 すみません。小学校の先生方は、クラスの数人がどんな奈落に陥るかを知らない。

 中学校の先生方は、私が務めた学校に進学しないレベルのきつい子を知っています。しかし、その子達がどのように奈落に陥るかを知らない。懐いた子どもが奈落に落ちる苦しさを知らない。

 色々な問題のある子どもがいます。でも、その子達の最後の記憶は卒業式なのです。

 私は「一人も見捨てない」を求めています。これはレトリックではなく、本心です。最後の最後の数人の姿を知ってしまったからです。

 でも、凄いなと思います。私のような経験をしなくても、「一人も見捨てない」を求めている義務教育の先生方、高校の先生方がいます。なんで、それを目指せるのだろう、と思います。私はトラウマが鎖のように縛ります。ところが、その方々は自らの意思で求めています。

 辛いけど、可愛い教え子と夢で会えます。