■ [ゼミ]自慢(その2)
金曜日の夕方、自宅に帰る直前に院生さんの部屋に行きました。9日にある会の簡単な打ち合わせをして帰ろうと思ったとき、院生さんのHさんから「今から個人ゼミお願いします」と言われました。愛しい家内や、可愛い息子の顔がちらつく中、大事な院生さん(Hさん!この部分、読んでいる?)からの申し出だけに「ハイ」と答えました。
Hさんは極めて真面目な方で、全体ゼミの時も、背筋をピンとして座られ、熱心にメモを取られる方です。また、研究も計画的で地道に積み上げている方です。そのため、今まで飛び込みで個人ゼミの申し込みは殆どありませんでした。それだけに、「どうしたんだろう?」という気もしました。
私の研究室に来られて、開口一番、「この前言われたように、教師が何をやっているかという視点でビデオを見直しました。その結果わかりました。」と言われ、その後は立て板に水のように報告がありました。実に感動的でした。前にも書きましたが、一流の教育研究の成果は、言われてみれば至極当然なことなんです。そして、その知見で現象を見直すと、実に多様な場面で生かせるものです。思わず、感激でウルウルしてきました。しかし、見るとHさんの目頭も赤くなっています(気のせいかもしれませんが)。こりゃ、私が泣いたら大変だと思いました。だって、教官の研究室で、泣いている教官と、泣いている女性院生が二人でいる場面を想像してください、とっても変な図です。落ち着け、落ち着け、と自分に言い聞かせました。そのあたりで、何故、Hさんが飛び込みで個人ゼミを申し込んだのか、やっと気がつきました。悩みに悩んだHさん、やっと自信のもてる段階に達して、私のところに自慢しに来たんだなと。
「便りのないのは、良い便り」と言います。しかし、「便りのあるのは、とっても良い便り」なのだと思います。