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2002-10-28

[]出張仕事 18:05 出張の仕事 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 出張の仕事 - 西川純のメモ 出張の仕事 - 西川純のメモ のブックマークコメント

今週の2、3日は愛知教育大学で教科教育学会があります。夏休み出張と違って、短期間の出張ですので気が楽です。

 今回の出張では、教科教育学会での発表が中心です(もちろん)。我々の研究室で扱っている研究は、多種多様な教科に関連しています。従って、教科教育学会という発表の場は、貴重な場です。しかし、私的な仕事が一つあります。今から3年前、息子が家内のお腹にいるとき、名古屋出張しました。その当時は、出張で行く先々のガイドブックから「安産」に関連する神社仏閣を探し出し、お参りしました。名古屋ではS神社にお参りしました。幸い、神様、仏様、お先祖様、そして産婦人科の先生助産婦さんのおかげで、超安産でした(それでも家内にとっては大変ですが)。それ以来、お礼参りをしなければ・・と、気になっていました。今回は丁度いい機会です。

[]引率 18:05 引率 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 引率 - 西川純のメモ 引率 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 本日は学部2年生をつれて授業参観です。学習臨床コースの学習過程分野は、子どもを見ることを基本としています。そのため、コースに配属された2年生の段階で、子どもを見る基礎を学ぶことを目的とした授業を必修で設けています。過程分野の先生方は、子どもを見るという一点では一致していますが、その見方は多種多様です。そのため、各先生方が分担し、学校に引率し子どもを見る実習を行います。

 私の場合は、現在、実践研究をやっているIさんにお願いし、授業を見させてもらうことになりました。Iさんの実践授業が11月上旬に終わる関係で、本日、参観させていただくととなりました。後期の科目なので10月からです。そのため、Iさんの授業が、実際に授業を見る最初の授業です。

 多くの授業分析の場合、教師の発話に注目します。例えば、「指示的発話」が何パーセント、てな具合です。また、教師の発話と、それに対する学習者の回答に着目します。いずれも、教師対学習者という図式で学習を理解しています。この図式は学習者(もちろん本学の学生さんも含まれます)の中に刷り込まれています。ところがIさんの授業は、我々の研究室の基本である、学習者の相互作用を重視した授業展開です。具体的にはIさんが発言するのは、授業の最初の5分間程度です。その後は、子どもたちがごちゃごちゃになります。

 初回の授業参観にしては難しすぎるかな?という不安もあります。でも、初回の学生さんが、その授業の中で何を見取るか楽しみにしています。子ども相互の会話に着目する学生さんがいるのではと期待しています。また、ごちゃごちゃしている子どもの中で、殆ど意味がないような独り言に思えるIさんの言葉意味を気づく学生さんがいるのではと期待しています。いや、それより、私なんぞが気づかない、もっと重要な点に気づくのではと期待しています。無理かな~、と思う反面、いや絶対にいる、それも少なからず、と思います。どうなるかな~、わくわく。

[]私の特長 18:05 私の特長 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 私の特長 - 西川純のメモ 私の特長 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 なぜ私がちょっとしたことに落ち込みやすいかを自己分析しました。といって難しいことではなく、かなり昔から自覚していたことです。

 小さいときから、私は対人関係を作ることが壊滅的に下手な人間です。いじめられた経験はありません。しかし、記憶に残る「友達」と思える人は、おそらく高校まで無かったと思います。小中学校の私にとって、一番恐ろしい言葉は、教師の「好きなもの同志でやって」という言葉です。高校以降には友達も出来ましたが、一人二人のレベルです。もちろん、それなりの会話や遊びは出来ますが、一人二人以外の場合、極端に疲れてしまいます。曲がりなりにも複数の人たちと何とか出来るようになったのは、大学院に入った頃のように思います。しかし、現在でも多人数とコミュニケーションを取るのは不得意です。だから、講演会、また、夏休み明けの最初の授業は、本当に疲れます。

 そのような成長の過程をしているため、「基本的に大多数の人には私は好かれない」という前提で現象を理解する傾向が顕著です。そのため、たった一人の批判であっても、それが大多数の意見の代表であると自然に解釈してしまいます。理屈では、馬鹿らしいとは思うのですが、「三つ子の魂百までも」で深層心理の中に組み込まれたもので、直しようがありません。

 そんな私が「学び合い」を研究しているんですから、不思議といえば不思議です。私の本の中では、学び合い人間の基本的な本能であり能力であると主張します。でも、同時に、ごく希に不得意な学習者がいることを「おまけ」で書きます。なぜ「おまけ」で書くのかと言えば、その希な学習者の一人が私だからです。でも、この私の「特徴」は「特長」だと思っています。酒造りの杜氏(とうじ)や、ワインソムリエは飲み助では勤まらないそうです。飲めることは飲めるが、好きではない、程度が丁度良いそうです。飲み助は、酒を飲むと味わう前にぐびぐび飲んでしまいます。ところが好きでない人は、色々な味や臭いが気になります。それ故、違いが分かるそうです。だとしたら、学び合いが不得意で、好まない、私の方が学び合い研究するに適している面もあるのでは、と考えています。

追伸 ということで、私は「取り扱い注意」人物ですので、周りのみなさん、よろしくお願いします。泳げない子どもを海にたたき込み、泳がせるという方法があります。しかし、その方法の場合、私は確実に溺れ死んでしまいます。具体的には、たたき込んだ人とコミュニケーションを断ちきり、殻に閉じこもってしまいます。それでも、たたき込まれ続けると、今度は、反撃に入ります。以前のメモに書いたように、研究者は本質的に攻撃的な人間です。反撃モードに入ると、ふと我に返ると、「俺は執拗で、狡猾で悪知恵が働くな~」と我ながら恐ろしくなります。

[]ご指導 18:05 ご指導 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ご指導 - 西川純のメモ ご指導 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 西川研のOさんからメールをいただきました。Oさんは現在は現任校に戻り、実践研究をしています。その経験を元にしたメールをいただきました。内容は、私が学び合いを広げるために、学び合いを信じる教師を増やそう、というメモに対してのものです。とても勉強になりました。ありがとう

  西川先生メモには、『そのためには一人の人が、もう一人に伝える、その人が・・という連鎖によって可能です。でも、なかなか大変ですよね。特に分かりたくない人を説得するには。そういう人を説得する方法は、「他のみんながやっている」という方法です。』

 これでは、大人は動きません。他人なんてどうでもいいと考えている教員にはまったく効果がないのです。

 学校で学びあいを行なう教員が一人いて、この人が伝える役目ということが書いてありました。それはそうですが、実際はすこし違います。伝える役目は子供自身です。3年では、クラスみんながよい点をとったことが児童自身がうれしかったため、これをきっかけにクラスが変わり、教師も変わってきました。分かりたくない人を説得する方法は、児童の変化が教師に可視化され、さらにテストの点がいいぞということを明らかにすることです。すると誰でも、えー。やってみようかな。という気になります。児童の変化を武器にするとたいていの教員は反論できません。われわれでも理論では反論できても、実際の児童はこうなんだよ。といわれると反論できなくなります。事実理論より説得力があります。変化の事実を示すことがどの教員にも納得させる大切な方法でしょう。

[]嬉しかった 18:05 嬉しかった - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 嬉しかった - 西川純のメモ 嬉しかった - 西川純のメモ のブックマークコメント

 現在、実践研究でIさんが学校に入っています。本日は学部学生を引率して参観に行きました。見ていて嬉しくなりました。我々の理想とする授業が成立していました。教師が最初に短期時間だけ目的を語ります。その後は、自然子どもたちが動き始めます。わいわい、がやがやしながら、たち歩いて情報収集をしています。Iさんは子どもを褒めたり、独り言を言いながら机間を歩いています。そして何よりもじーっと子どもを見ています。

 時間が迫ると、子どもたちが今日の時間のまとめを書き始めます。課題を教卓に出して終わり。その間、一言も「さあやりましょう」とか「そろそろまとめに入って」という言葉はありません。子ともたちが自主的に判断しています。

 私は、最後にIさんと握手して退出しました。