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2003-12-05

[]学び合いが不向きのタイプ分け 18:29 学び合いが不向きのタイプ分け - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 学び合いが不向きのタイプ分け - 西川純のメモ 学び合いが不向きのタイプ分け - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私は「学び合う」という行動はホモサピエンスの本性に根ざすものであり、それ故、殆ど全ての人が出来るし、やっていると思っています。それ故、出来るのに、やれない状態を改善したいと願っています。ところが、少数ながら「出来ない」人がいます。今日、ふと、その事を考えました。

 「学び合う」に限らず、他者と相互行為をするためには、二つの条件が必要と思われます。第一は、他者と関わりたいという願いを持つことです。第二は、他者の言動から、他者の気持ちをくみ取る能力です。いずれもホモサピエンスの本性に根ざすものであるので、たいていの人はそれを備えています。関わりたいと願い、それゆえ関わり合います。その結果を正しく評価出来るならば、試行錯誤の結果、それなりの他者との関わり方を学ぶことが出来ます。一方、他者と関わりたいという願いがなく、他者の気持ちをくみ取れないという人もいます。代表的な人として自閉症の人がそれに当たると思います。その他に、「他者と関わりたいと願うが、他者の気持ちをくみ取れない」という人と、「他者と関わりたいと願わず、他者の気持ちをくみ取れる」という人もいます。前者の場合は、集団から排斥され、後者の場合は集団から距離をおきます。ちなみに、私は程度は低いとは思いますが後者です。記憶の中で、「いじめられた」経験はありません。また、排斥された経験もありません。しかし、高校になるまで「友達」という関係を結べませんでした。私は、たえず人の気持ちを推し量ってしまい、気疲れし、それがイヤになって距離をおきます。この傾向は今でも続いていて、人間関係が煩わしくなると、それを解決する努力をするより、関係を絶つという方法を取ります。

 私のような「他者と関わりたいと願わず、他者の気持ちをくみ取れる」という子に関しては、教師は集団活動を強制せず、一人で活動する自由を認め、それを教室の文化としていれば、なんとか対応出来るはずです。また、「他者と関わりたいと願わず、他者の気持ちをくみ取れない」という子の場合は、教師の守備範囲ではなく、医者守備範囲のように思います。程度の弱い「他者と関わりたいと願わず、他者の気持ちをくみ取れない」という人は、「他者と関わりたいと願わず、他者の気持ちをくみ取れる」る子と同じ対応をすればいいでしょう。

 「他者と関わりたいと願う」、「他者の気持ちをくみ取る」という能力は人間の本性です。それゆえ、教えなくても獲得出来ますが、逆に言えば、それが教えることは出来ないものです。もちろん、その障害の程度が低いならば時間をかけてある程度改善することも可能でしょう。少なくとも、本質的には変わらなくとも、それと分からぬ程度に「演じる」ことを出来るようになります。でも、「他者と関わりたいと願うが、他者の気持ちをくみ取れない」という子を、どのように対応すればいいのか分かりません。 

 「他者と関わりたいと願わない」なら、とりあえず集団の他のメンバーといざこざが生じません。そのため、集団の他のメンバーと協力しながら時間をかけて改善することが出来ます。ところが「他者と関わりたいと願うが、他者の気持ちをくみ取れない」子の場合、絶えず、集団の他のメンバーと軋轢を生じます。したがって、集団の他のメンバーからの長期の協力を期待出来ないんです。もし、「学び合うこと」自体を目標と設定出来る集団なら、それはそれで解決出来ます。でも、「課題達成」を目的として、その手段としてメンバーが「学び合うこと」を選択している集団に、「学び合うこと」自体を目標を設定出来ません。今のところの私の限界です。

追伸 現在、色々なところで怒鳴り合いの議論をしなければなりません。大抵の場合、私の主張は通ります。しかし私は、本当は議論がいやなので、その議論の相手と違った集団に移りたいと願います。ところが、私の知っている、それなりの地位の人の対応は違います。その人は、「人が集まれば意見が違うのは当たり前だ。だから、いつまでたっても議論はしつつけなければならないよ。それに、君が思ったとおりになっているんだからいいじゃない。」と言われます。理屈としては分かるのですが、「そうまでして、一緒にいたいとは思わない」というのが私の気持ちです。それ故、私は偉くなれないな~と思います(なりたいと思いませんが)。