お問い合わせ  お問い合わせがありましたら、内容を明記し電子メールにてお問い合わせ下さい。メールアドレスは、junとiamjun.comを「@」で繋げて下さい(スパムメール対策です)。もし、送れない場合はhttp://bit.ly/sAj4IIを参照下さい。             

2004-12-04

[]言っていること、やっていること 12:35 言っていること、やっていること - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 言っていること、やっていること - 西川純のメモ 言っていること、やっていること - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私は教育実習に行く学生さんに、「言いたいことと、伝わることは違います。言いたいことを全部詰め込むのが教育実習生の冒しがちな誤りです。5つのことを語り、一つも伝えられないより、1つのことを確実に伝えることが教師だよ。」と諭します。

 私は研究授業における担当者の語りが気になります。多くの教師は、自分が思ったとおりに子どもが動いたことを誇ります。例えば、「予想される子どもの反応」などは最たるものです。でも、我々は、自分が思いもつかないレベルまで達することを喜び、誇ります。つまり、自分自身のなしたことを誇るのではなく、学習者を誇ることによって、管理者としての自身を誇るべきだと思います。

 一昨日の講演会に参加したOBから以下のようなメールを頂きました。

『先生の講演は、おもしろかった。ちゃんと、聞かせるところ、笑わせるところ、飽きずに、寝ることなく聞けました。しかし、もう少しこうしたら、もっとよくなると思った点を述べたいと思います。

1.もう少し、ゆっくりしゃべられる所を意識されては、どうでしょうか。先生がステージに立たれたとき、「あっ、緊張されている」と直感しました。いつもの西川先生よりも固い表情でした。話には勢いを感じました。研究に自信を持って話されている姿から、研究への自信と、価値を感じました。しかし、話に力が入る分、話すスピードが速くなり、せっかくいいことを話をされているのに、心にしみこみません。「おしいな。もう少し、ここはゆっくり、小さな声で話されると、心にすとんと落ちるのにな」と思いました。

2.データー、グラフがあるとなー今回の講演では、データーやグラフが少なかったようです。先生の話を聞いて、「この次のシートはあのデーターが示されるな」と思ったら、「OOという成果があがった」の一言。ちょっと物足りない、データーで語ってない気がした。現場の先生だからこそ、データー、数値に弱く、示されると「納得!」という場面があります。でも先生のことだから、何か意図があってだと思います。以上、一教諭が生意気なことを申し上げてすみません。でも先生からは、もっとよくなっていただきたという親心からです。お許しください。』

 このメールを頂いて、まさにその通りだと思いました。原因は与えられた時間に比べて、話す内容が多すぎるためです。話すべきことを絞るべきであることは講演の前から自覚していました。しかし、私の中にある、OBを自慢したいという願望に負けてしまった結果です。でも、どうしても自慢したかった。だって、私を何度もウルウルさしてくれた研究なんですから。そして、ちょうど二人のOBの研究が、講演会のテーマにドンピシャリなんです。

 ということで、昨日の講演は、私の講演としては中の下なのだと思います。反省~。でも、でも、もう一度、同じ講演会を頼まれたら、きっと同じ誤りを犯すだろうな~。それにしても、言っていることと、やっていることが違う点は、愚かな教師の典型です。 

[]昨日 12:35 昨日 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 昨日 - 西川純のメモ 昨日 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昨日は新潟市の中学校で講演会をしました。その中学校は新潟市の中心校で名の通った学校です。先生方も熱心な方々ばかりです。無知なため、その意味はよく分かりませんでした。院生のMさんから面白いことを聞きました。曰く、「学校の同僚に先生のことを話しても、なかなかピンと分かってもらえない。でも、その学校で講演会をする、と説明すると、凄く感心してくれる」とのことでした。また、講演会の後に、今度講演会にいく学校の先生から「○○中学校の研究発表会に講師としておみえになっておられる先生が,一公立学校の校内研修会でおいでいただくことに大変恐縮しております。」というメールを頂きました。

 講演会の前には、私が上越に赴任した最初に論文指導をした院生さん(もちろん、私より年上)で、現在校長の方と一緒にご飯を食べました。じつに面白く、ためになる話を聞かせて頂きました。その後、講演会に行き、語りました。気持ちよく語ることが出来ました。題目としては「フロンティアの先のフロンティア」という題で、本当の学力向上フロンティアを実現するためには学び合いが必要であり、異学年学習が必要だと言うことを語りました。講演会では、 下越・中越のOBであるMさんとKさんの研究をしゃべりながら「自慢」しました。その会場の最前列にKさんが座っていました。Kさんから教えて貰ったことを、偉そうに語ってきました。ただ、痛恨事が一つあります。私は講演会ではマイクを使わず地声で語ることを自らに課したルールです。地声で十分に語れるという自信があるからです。ところが、会場の担当の先生からピンマイクを渡されました。曰く「聞きにくいので、マイクをつけて下さい」とのことでした。内心、ガックとしました。年のせいかもしれません。

 その後、学校としての打ち上げ会の前に、校長先生と二人だけで飲みに行きました。大校長なのですが、実に気さくで明るい先生でした。楽しく、ためになる話をいっぱい出来ました。講演することで「箔」がつくんですから、校長先生と二人だけで飲むことでもっと「箔」がつくのでしょうねMさん!

 1時間半程度飲んでから、学校の打ち上げ会に合流しました。とても暖かい会でした。本日の会に向けて、教職員、事務職員、用務職員、給食職員が一丸になって頑張っていることがよく分かります。また、研究会の総括を各担当者が話していましたが、短くも当を得た話ばかりで、だらだらとした話は一つもありません。これだけでも優秀な先生方が集まった学校であり、それが成立する集団の裏打ちがあることが察せられます。とても楽しく飲めました。もう一つ良かったのは、若手の先生方です。さっと酒を勧めると、ゴチャゴチャ言わずに、すっとのみ、更に、勧めると、さっと飲んでくれます。こういう若い人は、大学の学生さんでも希です。

 残念ながら上越に帰る最終バスの時間があるので中座しました。恐縮ながら、教頭先生に鞄持ちをさせて、バス停までお見送りを頂きました。途中、有意義に話すことが出来ました。2時間かけて上越に帰り、風呂に入って、家族と一緒に寝ました。