■ [大事なこと]やっぱりね
ある先生より以下のメールを頂きました。(個人特定できないようにしています)
『以前より先生の著書に共感を覚え、昨年夏、思い切って新潟の研究会に参加させていただきました。先生のご講演が大変短く感じました。またその内容を今もよく思い起こします。
実は私も子供同士の教えあいが学力向上につながるのではと考え、日々の授業でいろいろ品をかえ実践してみている一人です。そして確かに子どもたちの学力の伸びを感じます。それは教科でもありますが、例年一番それを感じるのが卒業式の準備でです。
ここ3年間5年生を担任し、毎年のように卒業式の準備をしてきましたが、計画案とタイムテーブル、それに昨年の式場の写真を子どもたちに与えると、その資料を基にそれぞれが自分の仕事を見つけ意欲的に活動しさらに仲間同士でいろいろ打ち合わせしながらうるさく走り回る姿を見てニコニコしています。
「この椅子の位置がもう少し右だよ!」
「でもこの方がきれいだよ」
まるで大人です。
さらに私のクラスでは男女がとても仲良しです。今日バスケットボールの授業では試合の合間に男女でパス練習してました・・。これは田舎というだけの理由ではありません。中学校入学後、他の小学校との違いは歴然としています。
さて初めてのメールでいろいろお話して大変恐縮ですが、実は「教えあいと学力向上」につい最近考えていることがありご意見いただければと思いご相談差し上げます。
本校で5年生は6月と2月に2回算数の学力テストがあり、また県下一斉テストの実施学年になっています。3年連続この学年を担任し、比較データが取れ、それについて考察をしています。私の算数の授業はその時間の課題を与え、後は自力解決(教えあい)です。「解らなかったらまず友達に聞け!」の指導をしていますので、めったに私に質問に来る子はいません。また、この学習方法が不思議とクラスの子どもにも好評です。
ここ3年毎年6月のテスト結果で他クラスと差がほとんど無いのですが、県下一斉と2月のテストでは偏差値で5ポイント前後の違いが必ず出ます。
その授業形態は、
1年目クラス分割少人数
2年目は3学期まで少人数指導拒否!その後クラス内を4分割して他クラスとあわせ4クラス編成
3年目は2年目3学期のやり方で通年固定
この方法で一番効果があったのが2年目です。クラスに発達障害を持つ子がいたにも関わらずクラス偏差値は6月より7ポイントアップ。60以上の子が学級の3分の2を占めました。当然障害を持つ子の成績も上がっています。そこで本題なのですが今年、完全分割したにも関わらず他2クラスより県下一斉の平均が5ポイント高くなり2月の学力テストは結果待ちですがやはりいいと思います。他クラスの先生が頑張ってくれたからだろうと思っていたのですが、どうもそれでは説明がうまくつきません。仮説ですが恐らく学級の学ぶ雰囲気が学力向上全般に影響を及ぼすのではないか・・、と考えました。
いかがでしょう?』
これを読んで、笑い出しました。そして、『「勉強しなさい!」を言わない授業』をご参照下さいと返信しました。やっぱり、だと思います。『学び合い』は我々の専売特許ではありません。心ある先生は気づくはずです。我々が出来るのは、その良さを学術データで保証し、勇気づけることです。
でも、我々にだけ出来ることがあります。現状の現場では、我々が現在やっているようなことは、やろうとする先生は少ないはずです。例えば、数ヶ月にわたって子どもに任せる授業や、子どもたちに指導要領・教師用指導書を与えて自己評価するなどのことはやらないでしょう。しかし、我々が実践し、その素晴らしさを伝えることによって、試みる先生方も生まれます。
しかし、現場だけが出来ることがあります。我々が提案したことを、年間を通して積み上げ、育てることです。それは大学では出来ません。
良い補完関係があると思います。