■ [大事なこと]困ったもんだ
Kさんより連絡がありました(http://manabiai.g.hatena.ne.jp/makine45/20080822)。コメントを見て、脱力します。
「例えば、昨日金メダルを取ったあの人たちを集めて、みんなでやってみろと言っても、取れないんですよ」
「実験の技能など、しっかりと身につけた上でないと、実験はできません」
とありました。
両方のコメントとも、理科の時間の目的は「科学的概念の形成」という理科特有の目的観を基礎としている点です。しかし、それを教育の目的とは考えられない理科嫌いの人のことを予想できないようです。まあ、このあたりは理科教育の研究者の一部は、なかなか分からないかもしれません。
次に、「例えば、昨日金メダルを取ったあの人たちを集めて、みんなでやってみろと言っても、取れないんですよ」というコメントですが、じゃあ「例えば、普通のクラスにいる子ども30人を集めて、一斉指導で金メダルをとってみろと言っても、取れないんですよ」と言いたい。普通のクラスにいる子ども30人を集めて、一斉指導と『学び合い』をやれば勝つに決まっています。だいいち、あのチームを一斉指導で育てていると思っていると言うことが驚きです。まあ、クラブ指導をしたことのない人ですからしょうがありません。
「実験の技能など、しっかりと身につけた上でないと、実験はできません」というコメントも、「じゃあ、今の一斉指導で、しっかりと身につけて実験しているのですか?」と聞きたくなります。
でも、我々には、上記のことをおっしゃる方を説得することは出来ません。おそらく、歴然とした結果を出しても駄目でしょう。だから説得しては駄目です。『学び合い』は子どもに対してばかりではありません。最も知っている人は、知らない人を説得する力はないのです。我々が説得できる人が、説得できるかもしれません。個々人を気にするのではなく、全体を見ることが必要です。
■ [大事なこと]メルマガ
同志の方が、メルマガを企画されました(http://manabiai.g.hatena.ne.jp/sumi-chan/20080819)。早速登録しました。配信を希望される方は、下記URLに行き、メールアドレスを入れて[登録]のボタンを押して下さい。(もちろん無料です。)
■ [大事なこと]発展
昨日、洗脳旅行の方々は、山のような『学び合い』の実践ビデオを見ていました。その際、「先生、この授業は発展の場面なのですか?」と質問を受けました。私ははじめきょとんとなり、直ぐに「あ~、多くの先生はそういう風に見るのだな~」と感じ、説明しました。
多くの先生方は、最初は基礎・基本を教え、それを積み上げて、単元の最後の時間に発展・応用的な課題を与えます。それまでの多くの時間は教師の話と板書を黙って勉強しているのに対して、最後の日は子どもたちが関わり合います。その型があるので、『学び合い』の姿を見ると、そのように解釈されたのだと思います。しかし、『学び合い』において基礎・基本と応用・発展は不分離です。毎日毎日、基礎・基本をやりつつ、応用・発展をしています。だって、基礎・基本をやらなければ、与えられた課題は出来ません。同時に、クラスみんなが課題を達成するためには、他の人の理解・技能を理解しなければなりません。分からない・出来ない子どもと、分かる・出来る子どもは互いに理解し合います。それを追求することこそ、発展・応用です。従って、『学び合い』は最初から最後まで、基礎・基本と発展・応用が渾然一体となっています。
でも、本当は普通の社会における営みは『学び合い』の状態だと思います。そして、一斉指導における一人一人の頭の中は、本当は渾然一体なんだと思います。ただ、一斉指導の教師が話し・演説していることが、子どもの頭の中と遊離しているだけなのだと思います。