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2009-03-31

[]どちらが簡単 07:15 どちらが簡単 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - どちらが簡単 - 西川純のメモ どちらが簡単 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 『学び合い』を成立させることは苦労します。だって、テクニックではなく心を定めることが必要だから。でも、今多くの先生がやっていることで授業を成立させることの方が大変です。

 だって、今の授業の場合、以下の能力が必要なんです。

1)塾や予備校で既に学んだ子、絶対に凄い大学に進学するだろうなと思う子がいる一方、特別支援の必要だと思われる子(それも様々なタイプの子ども達)がいるクラスで、その多く(全員とは言いませんよ)の子どもに分かり・勉強となる説明・板書をする。

2)明石家さんま、所ジョージ、萩本欽一、ビートたけしという億を稼ぐ芸人だって、その語りを嫌う人がいます(私は明石家さんまと、萩本欽一の語りが嫌いです)。昭和の名人といわれた古今亭志ん生、桂文楽の語りを嫌う人がいます(私は両方とも嫌いです)。落語家はどれほどの時間と労力をかけて話術を高めるのでしょうか?教師はそのような多様な人を相手に、コントや笑い話ではなく国語や理科のテキストを使って、1週間25時間以上、1年間以上、クラスの大多数を引きつけた授業をする。

 結論から言います。こんな能力を持った人はいません。国語教育で神様のように言われるOH先生に教えてもらった人に、「我々はババーと呼んでいました」と聞きました。あのOH先生ですらそうなのですから、凡夫の我々には無理です。

 『学び合い』と現状とを比べると、『学び合い』は子ども達の「地」がよく見えます。だから現状の問題を見取り、解決できます。ところが、現状では分かろうが分かるまいが、面白かろうがつまらなかろうが、黙って前を見てノートに写します。つまり、体裁の良い授業をするならば現状の方が良い。でも、全ての子どもに本当に分かり、居心地の良い授業をするならば、『学び合い』の方が簡単です。というより、今まででは、全ての子どもが本当に分かり、居心地の良い授業を成立させるのはとてつもなく大変なんです。それが体裁の良い子どもの姿を見ていると、それが出来たと思っている人が生まれます。あはははは

 ただ、『学び合い』には困難があります。そりゃ、政治を必要とするからです。みんながやっていることを横並びにすれば政治は必要ありません。でも、現状では政治が必要です。それが大変です。でも、もし全ての子どもに本当に分かり、居心地の良い授業を目指すならば、苦労するに足る、苦労です。

 だから、狸オヤジや狐おばさんになった同志が頑張らねばなりません。政治の経験がない、政治の不得意な人のために道を開かねばなりません。でも、その結果として自らに還元されます。苦労するに足る、苦労です。