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2012-06-20

[]説得する 16:50 説得する - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 説得する - 西川純のメモ 説得する - 西川純のメモ のブックマークコメント

科学概念が変容するにはどのような条件が必要かを示すモデルにポズナーのモデルがあります。それによれば概念変容するためには、以下の4つ条件が成り立つことが必要です。

・先行概念への不満が生じなければならない。

・理解可能な新しい考えが、利用可能なものでなければならない。

・新しい考え方は、もっともらしくなければならない。

・新しい考え方は、先行概念より生産的でなくてはならない。

 良いものなのだから、分かるはず、ということはありません。まず、良いものだと分かりたくない人もいます。そのような人に何を語っても無駄です。でも、その人も、周りが分かれば分かってくれるものです。

 でも、良いものだと分かっていても、つまり新しい考え方は、もっともらしく、かつ先行概念より生産的であることを分かったとしても、代わるには不十分なのです。一つは現状に不満を持つことです。でも、現状に不満のない人の方が多い。少なくとも、自らを変えるほど不満を持つ人は少なくないと思います。

 もう一つ、利用可能であると理解してもらえなければ分かりません。私も携帯が便利だとは知っていたのですが、ピコピコと親指で操作する学生さんを見て、自分には無理だと思ったから、なんやかやと理由を付けて買いませんでした。

 今度の本(http://goo.gl/uHosM)は、この二つのために書きました。『学び合い』をするとどんなことが可能なのかを知れば、現状に不満を持ってくれます。そして、テクニック的なことを詳しく書けば、自分にも出来そうと思ってくれます。

 周りの人を説得するのに「も」お使い下さい。

[]生き方 16:50 生き方 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 生き方 - 西川純のメモ 生き方 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 以前、Kさんのブログに『学び合い』をやめる人は『学び合い』を理解したことがない人だ、と看破しました。私もそう思います。

 『学び合い』は考え方であり、生き方です。でも、いきなりそんなことを言われても分かるわけありません。まるで「剣の道は・・・・」と言われたようなものです。ですから、徐々にノウハウを公開しました。最初は奥義書、その後、手引き書、手引き書短縮版、従来指導型『学び合い』の手引きに続きます。そして、新刊書です。

 しかし、それはあくまでも授業のノウハウを書いています。でも、それは入り口です。

 『学び合い』の本体は「一人も見捨てない」という願いであり、それを実現する「多様な人とおりあいをつけて自らの課題を解決すること」、「子どもは有能である」という考え方です。そこには、「短い課題を与えて、さあどうぞ」や「可視化」のようなことは含まれていません。それらのノウハウは、上記を実現するためのテクニックに過ぎません。

 しかし、「短い課題を与えて、さあどうぞ」や「可視化」が『学び合い』だと思えば、授業方法の一つであり、相対化するでしょう。

 『学び合い』ばかりではなく、とか、最善の方法は無い、という言葉を聞くと、困ったな~っと思います。それらは「短い課題を与えて、さあどうぞ」や「可視化」が『学び合い』だと思うからこそ出る言葉です。

 「一人も見捨てない」ばかりではなく、と言う教師がいるのでしょうか?いるかも知れません、しかし、私はその人を教師とは思えません。多くの教師もそう思うと思います。「一人も見捨てない」ということに関して、現状の「短い課題を与えて、さあどうぞ」や「可視化」より「まし」な授業方法があれば、私はいつでもそれに乗ります。そして、それが『学び合い』だと思います。だって、「現状の短い課題を与えて、さあどうぞ」や「可視化」だって、過去の方法を捨てて生まれたノウハウです。そして、現在、「短い課題を与えて、さあどうぞ」や「可視化」も捨てられつつあるのです。『学び合い』の授業方法は常に更新されています。それは「一人も見捨てない」ということの影に過ぎません。

 だから、『学び合い』をやめる人は『学び合い』をまだ理解したことがない人だと思うのです。もしくは、「一人も見捨てない」と言うことは理想論だと思う人かも知れません。しかし、そんな気持ちで子どもの前に立ち、見捨てている子どもを見ないふりをして、数十年の教師人生を過ごすなんて私には耐えられません。

 より多くの人が授業方法から生き方にシフトして欲しいと願います。つまり、子ども達に言っていることを、自らに課して欲しいと願います。しかし、そのためにはそれがやりたすい環境を生まねばなりません。そのために、色々なことをしています。し続けています。

追伸 『学び合い』は考え方であるということを分かり始めたのは『学び合い』をハッキリと意識的に研究してから5年後の学部生の研究結果からです。5年もかかりました。