■ [ゼミ]無理はさせない
M研のある学生さんが5人前のラーメンにトライして、早々に白旗を揚げたことを知りました。からかうことが大好きな私としては、直ぐに「そんなのは情けない」とからかいました。その学生さんは真顔で再度トライすることを宣言しました。が、そのとたんに私の頭の中には警告ランプが点滅します。自分の指導教員の先生の教授から「5人前食べろ」と言われたと本気になって無理に食べたら大変だという警告ランプです。まだ入学後2ヶ月程度です。私というオッサンの真面目と不真面目の境目が分からず、無理に5人前食べたら体に悪い。ということで、直ぐに「今のは冗談だからね」と言いました。
その瞬間に自覚しました。私という人間は、極めて小心で、失敗が大嫌いです。何かを計画するときは、ありとあらゆる悪知恵を総動員して、ありとあらゆる小技・大技を駆使して事をなします。
学生さんの研究テーマもそうです。学生さんから、これこれをやってみたいと言われれば、直ちに「あなたの好きなようにしたらいいよ」とOKします。おそらく、何も考えず、適当に言っているように思えるかもしれません。だって、私にそのことを言った瞬間に、OKを出すのですから。でも、私もプロです。聞いた瞬間に最低限のリスク管理をします。それが失敗したからといって、大事にはならず、せいぜい私が嫌な思いをするぐらいに納められるレベルか、否かを判断します。そして、その課題の最低限のところは、よほどのことがない限り、本人がやる気になれば実現可能であることを判断します。仮に失敗しても、そこそこの形にすることは私の能力で簡単にできることを判断します。そして、おそらくは私の想像を超えることを成すであろうということを判断します。そして、過去23年間の全ての卒業研究指導、修士論文指導で失敗したことはありません。だって、学会誌レベルの論文だったら3ヶ月ぐらいあれば、 さっさと書き上げるだけの実力がありますから、最悪の場合の尻ぬぐいはいくらでも出来ます。そして、百数十の学会誌論文の業績があるのですから、論文のタイトルを聞いただけで、大抵の論文の流れと計画は立てられますから。
ということで、私が学生さんに「あなたの好きなようにしたらいいよ」言ったときは、「失敗しても大事にはならない。」、「最低限はほぼ確実に実現できる。」、「私の能力でいくらでも尻ぬぐいは出来る。」、「私の想像を超える成果を上げることが大いに期待できる」と私は確信しています。ただし、「私の想像を超える成果を上げることが大いに期待できる」が欠けた、「失敗しても大事にはならない。」、「最低限はほぼ確実に実現できる。」、「私の能力でいくらでも尻ぬぐいは出来る。」のみの場合は、心の底から呆れた声で「つまらない」と切って捨てます。
私はミニ西川を養成したくて教師になっているわけではありません。私を越える方を養成し、そのお力で私が成長したいと願っているからです。それは現職院生さん、学卒院生さん、学部生に違いはありません。