■ [大事なこと]より多くの人に知ってもらう意味 
多くの人が悩んでいるとき、普通は最善と思われる一つ方法を考え実行します。でも、私はそうしません。一人一人の悩みは多様です。そして一人の人の悩みだって、時々刻々変わります。それに対して最善の一つの方法なんてあり得ません。だから、集団の人数と多様性を高め、互いに支え合うことが「得」であることを語ります。これは、『学び合い』で教師が子どもにやっていることと同じです。
これを教師に置き換えましょう。日本中の『学び合い』の同志は悩んでいます。それを何とかしたいと思っています。だから、毎日、様々な方からの相談メールに誠意を持って返信しています。そして、何度でもやりとりをします。一度たりとも不誠実に返信したことはありません。また、多くの人の悩みの最大公約数に応えるために、3種類の手引き書を書き、ネットに無料でアップしています。そして、西川ゼミの皆さんの協力によって、私のHPにありとあらゆる情報をアップしています。今後も、その努力を続けるつもりです。しかし、どんなにやっても、本質的な解決にはならないことを知っています。理由は、個々の同志の悩みは多様で、時々刻々変わるからです。そんなことを100Km、1000Km離れた私が対応できるわけはないのです。結局、直にあって話せる仲間が必要なのです。それも、一人だけではなく、複数、出来るだけ多く必要なのです。
残念ながら、現状の学校の協働性は低くなっています。それは、管理職の問題とか、保護者の変化とか、雑務の増加というレベルのものではなく、年齢構成の崩壊によるものだと思っています。従って、管理職が良くなっても、地域が変わっても、学校の雑務（例えば部活指導）が減っても、本質的な解決には至らないと思っています。年齢構成の崩壊によって、自然発生的に生起する協働性を補完する何かが必要だと思っています。私は、それが『学び合い』だと思っています。特に、異学年、合同クラスの『学び合い』だと思います。それらによって、教師同士が語り合うべき話題と必然性が生まれると思っています。そして、おまけに日常の仕事量が激減します。
『学び合い』を広げる、それは布教のようだと嫌われます。広げることには興味がない方もおられるかもしれません。私は二つ問いたい？
私は現状の学校の問題解決に一番必要なのは、教師集団の協働だと信じています。逆に言えば、それが欠けているから様々な問題が起っていると思っています。もし、教師集団の協働性が高いならば、バリバリの一斉指導の学校でもかなり素晴らしい学校となり、子どもは幸せになれると思います（ただし、見捨てられる子どもは少なくないですが）。この現状分析は誤りでしょうか？
現状の学校のマンパワー・予算の現状は悪化することはあっても良くなることは殆ど無いでしょう。そのような状況の中で、より安定して教師の協働性を高める道として『学び合い』が最善だと私は信じています。これは誤りでしょうか？それよりよい道があるならば学びたいと思います。
そして、今の同僚が別な異動したら、その同僚はどうなるのでしょうか？いや、自分の教え子の担任が替わったら、別な学校に行ったらどうなるのでしょうか？
私のエゴの根源は、家内と息子の幸せです。それが一番大事です。しかし、それだけに終始するのではなく、自分の研究室のメンバーの幸せ、教職大学院のメンバーの幸せ、上越教育大学のメンバーの幸せ、上越市の教育の幸せ、新潟県の教育の幸せ、日本の教育の幸せを考え、相互に結びつけた行動をしています。それらは相矛盾することなく、相互に補完し、相乗効果を生み出しています。私が家内と息子、また、西川ゼミのメンバーの幸せに終始している以上に、私の家内と息子の幸せ、また、西川ゼミのメンバーの幸せに繋がると確信しています。ちなみに、これは『学び合い』の最初に同志が子どもたちに語っていることだと思います。私は、語っていることを本気で信じています。同志も信じて欲しいと願います。
伝えても「今」は分からない人がいます。いや、分からない人のほうが常識人です。でも、分からる人もいます。今、多くの子ども・保護者・教師が苦しんでいます。そして、自分も。『学び合い』でなくても結構です。何とかしましょう。
