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2011-02-11

[]全員達成 18:32 全員達成 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 全員達成 - 西川純のメモ 全員達成 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 先ほどゼミ生から聞きました。地元の『学び合い』学校における全校『学び合い』で、昨日、ついに全員達成が出来ました。八割以上達成は『学び合い』では比較的楽です。しかし、9割となると、能力的にかなりしんどい子もいるのですから、8割よりずんと難しくなる。そして、99%と100%では天と地ほどの差があります。

 全校『学び合い』が終了した直後は、集計が終わっていなかったそうです。その集計が終わり次第、全員達成が出来たことが全校放送で流れました。放送している先生が、マイクの先で万歳をしています。

 何よりも嬉しいのは、教師も子どもも全員が、全員の達成を本当に待ち望んでいたことです。よかった。よかった。

[]小小連携 10:30 小小連携 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 小小連携 - 西川純のメモ 小小連携 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 来年度から3年間ぐらいかけて、私がやりたいことは、学校をベースとする地域コミュニティの再生です。

 日本の国土の大部分は「へき地」です。私の地元の上越はもちろんですが、日本全国には小規模校が山ほどあります。それが学校数の大多数を県もあります。へき地では小学校が地域コミュニティのコアになっています。だから、統合に対しては絶対反対です。でも、それが地域コミュニティにとっても、子どもにとっても良いこととは私には思えないのです。

 統合に反対しても、地域の人口が先細りである状況は打開できません。コミュニティがコミュニティとして成立するには、一定の人口が必要です。今必要なのは、統合に反対するという「守り」ではなく、攻めの一手です。でも、攻めるにも人口が必要です。

 小規模校の学校では、子どもたちの人間関係が単純で固定的です。何も語らずても済む関係は心地よいのですが、結果として語る経験が少ない。結果として、中学校に進学したとたん不適応になる子どもは少なくありません。また、学年内の子どもの中で序列が形成され、それが固定化してしまいます。結果として、序列の下位の子にとって、その地域に残りたいと思う気持ちは薄れるでしょう。これでは過疎を助長してしまいます。

 『学び合い』は自由度が非常に高くとれます。本年度やったのは、小規模校での全校『学び合い』です。一つの部屋に全校の子どもが集まり、学ぶのです。ただし、各学年の課題は各学年の課題です。これによって「わたり」、「ABカリキュラム」という小規模校特有の変則的な学習形態が解消されます。また、教師同士が特別な時間を設けなくとも、膨大に話せる話題と時間を得ることが出来ます。本年度は上記に関して、学術的データ、実践的データを固めました。何よりも、実践する先生方がその効果を実感しています。

 来年度やりたいことは、小規模校の子ども同士が交流するのです。ただし、ありがちな年に一度のドッチボール大会のようなイベントではなく、定常的に教科学習をともにするという経験を積み上げるのです。既に複数の学校でパイロット的に実践しましたが、実に簡単に実現できます。だって、多様な人間と折り合いをつけることは自分にとって有利だと分かっている子どもたちが交流するのですから。

 上記を補完するために、スカイプやユーストリームを併用しようと思っています。最初は二つの学校の連携から初めて、最終的には市町村レベルの連携に育てたいと思います。おそらくバス路線等の公共交通機関が連携のユニットを定めると予想しています。

 上記によって中学校に進学するまでに、一緒に勉強した経験をもつ子ども集団をへき地においても全員が数百レベルの仲間を持てるようにします。これがあれば中1ギャップをかなり解消することが出来ます。これが可能なのは『学び合い』だけだと思います。

 さて、それと平行して、地域コミュニティを各学校で意図的に形成します。ドラッカーが述べているように非営利団体の経営に関しては、マンパワーの確保が鍵です。そして、小小連携を通して、交流の少なかった部落同志の保護者集団を形成するのです。最初は学校支援がそのような集団のミッションになるでしょう。しかし、それに止まらず、地域活性をミッションとして、学校の教師・子どもがそれを支援するという体制を整えるのです。既にPTAに対しては布石を置き始めています。

 現在は学校統合を反対していますが、学校統合を要望するようなコミュニティを形成したいと思います。ただし、統合に当たっては条件闘争をするのです。例えば、巡回頻度の高いミニバスを中学校区に巡回することを求めるのです。廃校はある程度ダウンサイジングして利用勝手のよいスペース(常駐の管理人はおらず、巡回の管理人、もしくはアウトソーシング)にするのです。予算はかかるでしょうが、数多くの小規模校を維持するお金に比べれば桁一つ少ないはずです。

 上記によってへき地においても、その地域を大事にしたいと活動するコミュニティが再生できます。そして、半径10km県内に、子ども時代を支え合った経験のある人が何百人といたとしたら、その地域に残りたいと願う若者が生まれるはずです。そして、都会では考えられないほど育児は楽になり、子だくさんの家庭が増えたらいいですね。現状の少子化の原因は、子育てが大変だから子どもを作らないというのが大きな原因だと思います。そして、その背景は、核家族と共稼ぎが重なったためだと思います。もし、地域コミュニティーが発達し、親兄弟、また、その他の人に子どもを託せるとしたら、状況は変わるでしょう。さらに、老人問題だって、老人にお金をかけねばと思っている限り、際限のない予算が必要です。むしろ老人が生産者と位置づけなければならないと思います。昔の大家族はそういう関係が成り立っていました。

 仕事がないから都会に行く人が生まれます。地元に働ける場所をと、企業を誘致する地域もあるでしょう。でも、限界があります。でも、そればかりではないと思います。現在、必ずしもどこに住んでも出来る仕事は少なくありません。都会で技術を得て、SoHoで生計を立てる人は少なくありません。ポイントは、そのような技術を持っている人が、その地域で住みたいと思うか否かだと思います。また、その地域で住みたいと思うから、そのような技術を学びに都会に進学する子どもが生まれるか否かだと思います。

 どんな政治力のある政治家であったとしても、インフラ整備に出来ることは高速道路を十数キロ延ばす程度ではないでしょうか?そのような予算を必要としない資源がどんなへき地もあります。それは親であり親類であり、ともに時間を共有した仲間だと思います。それさえあれば、数十万のお金をかけて飲み屋で散財するより楽しく、一本の酒と持ち寄りのつまみで実現できます。都会で十万高い給料をもらっても、十万以上の家賃と、数万円の延長保育を払うならば意味ないと思います。

 今は夢です。でも、それを数年以内に多くの人に上記をリアルに想像できるモデルを提供したいと思います。『学び合い』だったら、一介の大学教師でも出来ることは大きいと思っています。