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2014-02-20

[]価値の獲得 09:21 価値の獲得 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 価値の獲得 - 西川純のメモ 価値の獲得 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 今度、新しい番組が始まるそうです。目指せ東京大学医学部です。

 東京大学医学部と言えば受験戦争のトップに位置する学部生です。そこに勝ち残った合格者スポットを当てるのです。それぐらいになると凄いですよ。なにしろ中国歴代王朝の全皇帝の名前と事績をそらんじているのです。番組では、そのような合格者の驚異的な知識量を放送します。家族はもちろんですが、各県の学校の期待を受けての受験です。各学校での壮行会が放送されます。そのような学校では、受験会場の入り口にビデオカメラを設置し、受験生の受験会場に入る様子、出る様子をリアルタイムに見られるようにしているのです。さらに、テレビ局が東京大学と交渉した結果、受験会場の受験生が問題を解いている様子をリアルタイムで写せるようになったそうです。テレビ局によれば、この企画が当たった場合は、枠を拡大し、他大学の医学部にも拡大する方向だそうです。受験生のがんばりをリアルに見られるなんて凄いですね。楽しみです。

 ということは、全くの嘘です。上記を踏まえて、以下をお読みください。

 オリンピックのニュースを見るたびに、自分にとって本当に価値あることは何かを獲得することが大事だと思います。

 我々がオリンピックの結果で気にするのは順位では無いでしょうか?その演技の善し悪しが分かるのはどれほどいるでしょうか?我々の中で、スケートリンクで回転する回転数を見分けられる人がどれほどいるでしょうか?世の中には半回転多いか少ないかで何が変わるのでしょうか?ある競技で何分何秒で走りきったとします。さて、そのタイムが凄いのか、凄くないのかを、順位を知らずに判断できる人がどれほどいるでしょうか?

同胞ががんばる姿を応援するのは良いことです。でも、世の中に頑張っている同胞は数多くいます。では、何故、オリンピックの選手ばかりに注目が行くのでしょうか?そして、オリンピックに行けなかった人の頑張りには目を向けないのでしょうか?

 もし、オリンピックというものが無かったとしたら、そして競技会が無かったとき、コンマ何秒を短くするために、数年間にわたる練習をし続ける人がどれほどいるでしょうか?それが無いとは言いません。でも、赤の他人である圧倒的大多数の素人である日本人がそれに熱狂するのは何故でしょうか?

 その当人が頑張るのはありです。でも、なんでテレビで延々と放送する必要があるのでしょうか?私は、放送するとしたらもっと別なものの方が良いように思います。

 オリンピックは競争の世界です。競争の世界は、負ける人がいるから、勝つ人が生まれるのです。逆に言えば、勝つ人を生み出すために、負ける人を生み出さなければならない。勝つ人ばかりにスポットライトが当たるから、それを忘れてしまう。

 だれかがメダルを取るということは、その百倍、千倍、万倍の人が負けなければならない。それに社会が価値付けするのはおかしい。世の中には競争とは無関係でありながら、そして順位を気にすること無く、感動するものはあると思います。

 最近、私の住む上越市の除雪隊が豪雪に苦しむ山梨県に行き除雪に活躍したというニュースを知りました。心から誇らしく思います。そのニュースには、全国で何番だという情報はありません。豪雪地域で培ったノウハウを同胞のために使ったのです。その活躍によって、相対的につぶされた人はいないのです。

 まとまりなく、いろいろ書きましたが、ようはオリンピックで頑張った人がいたとしても、それは自分の願いを実現して東京大学の医学部に入った他人を見る目で見れば良いのでは無いでしょうか?そりゃ、頑張った。でも、「だから何?」なのです。でも、「だから何?」と言うためには、自分にとって本当に大事なのは何ということを持っていなければなりません。それがないと、社会が決めた序列によって価値を考えてします。もちろん、社会が社会として凝縮力を持つためには、それなりの共通の価値観が必要です。でも、その価値観は誰かが勝てば、誰かが負けるという競争的関係によって価値を持つものであってほしくないな~っと思います。

 最近は、オリンピックのニュースを殆ど見ません。気になるのは、競争的関係の価値観に巻き込まれて一生をかけた人の、その後の人生は安かれと願うのみです。

[]無能 05:16 無能 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 無能 - 西川純のメモ 無能 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 最近は落ち込むことが多い。仕事のイライラを自宅に持ち込まないことを心がけていますが、家内から家で笑わない、と指摘されます。問題の八割は、私の無能に起因すること。冷静に『学び合い』のセオリーで考えればそうなります。研究者として理屈は言える。でも、実践者として自らがそれを全うしているかと言えば、結果の示す通りです。でも、その私でも一定の成果を上げ続けられるのは、『学び合い』のセオリーがあるからこそ。現状を率直に認め、最悪の状況を覚悟し、これから1年のスパンで捲土重来を期す。

 考えてみれば、問題の八割が自分に原因があるとしたら、自分が変われば八割の問題に改善が生まれるということです。そこに希望を見いだしたい。『学び合い』のセオリー通りに行動すること。それが無能な私が出来るただ一つのこと、と念じよう。