■ [嬉しい]育っている

若い教え子が、学校現場にある知恵を学べば「子どもが動いてくれる」と語っていました。その通りです。現場の英知は素晴らしい。でも、「育っている」とは思えないと語っています。私が高校教師であったときに乗り越えられなかった壁を若い教え子は乗り越えている。
教師の仕事は子どもを大人にすること、つまり、自分がいない状態でも生きる力を獲得することです。私の管理下から離れた教え子が、その視点に立てることを喜び、教師冥利に尽きます。
追伸 教え子が現場で生きられるか否かを決めるのは、私の力でも無い、当人の力でも無い。一番大事なのは環境です。その環境をつくるのはオジサンの仕事です。
■ [大事なこと]推理小説

学内政治で勝つためには、法令や答申をよく読まねばならない。それらの附則の小さい変更が現状を大きく変え得ること人に先んじ理解し、布石を置くことが大事です。なんか推理小説を読みながら、犯人のミスを探すように細かい読みが必要です。
でも、最近の読み方はちょっと違います。大きな流れを読もうとしています。以前だったら、文章の殆どは読み飛ばして、数字の変更など、解釈の余地の無い部分に目が行きます。ところが今はおおざっぱな流れを読みこもうと思っています。昔だったら美辞麗句と読み流せばいいところが、読み流すと大変なことになりそうです。
今年の3月27日に発表された「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の在り方について(審議まとめ)」を読みながら、「きっと教員養成系大学・学部も変わるんだろうな~。昔の高等師範学校、師範学校みたいになるんだろうな~。そして、スーパーグローバルハイスクールやスーパーサイエンスハイスクールの教師を養成する大学は大学のままで生き残り、それ以外の高校や義務教育の教員養成のための大学・学部は職業教育機関に移行するんじゃないかな~」と想像して読んでいます。
これがハッキリ分かるのは、免許法に関わる答申が出るまで待たねばなりません。私の予想が当たっていたら、教員養成系大学・学部は全面的にガラガラポンになります。昔だったら、「あるわけないよ」ですが、今は「あるかもしれない」と思っています。私の退職までは無いだろう、という予想と、それは甘い、というささやきの中で揺れています。
■ [大事なこと]アクティブ・ラーニングとは何か?

アクティブ・ラーニングとは何か、それは学校教育においては「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。」という文部科学省の定義以上のものではなく、以下のものではありません。つまり、「総称」なのです。ものすごく自由度が高い。
ここで多くの人が誤解していることがあります。
アクティブ・ラーニングとは何かを決める権限は、学校にも、教育委員会にも、教育研究者にも無いのです。じゃあ誰が決めるのか?それはスーパーグローバル大学の入試担当者です。Educational Testing Service(ETS)やInternational Baccalaureateです。そして、それらにその権限を与えているのは経済・産業界です。そうしないと日本は今後生き残れないほどぎりぎりのところにあります。学校、教育委員会、教育研究者にはレッドカードが渡されました。今までにもイエローカードを何度も渡したのですが、それに気づかなかったからです。
別な言い方をしましょう。もし、あなたのお子さんが高校受験の数学で悩んだとき、ポリアの「帰納と類比」を読ませますか?それとも中学校学習指導要領解説数学編を読ませますか?遠山啓の「数学入門」を読ませますか?いいや、そんなことをしません。受験で結果を出している受験参考書を読ませるはずです。そして、教師だったら、それを参考にして受験指導をするでしょう。
今はそれを分かっている人が少ない。だから、学校、教育委員会、教育研究者が自由にアクティブ・ラーニングとは何かを論じています。でも、やがて分かるでしょう。そして慌てふためくでしょう。何故なら、今まで使えた方法がいきなり使えなくなったことに気づきます。文部科学省はゲームのルールを変えたのです。
■ [妄想]附属学校

上越教育大学の教職大学院は28年度より定員が60人となります。そして、それに連動している教職デザインコースは20人で、学部3年と4年が卒業研究で教職大学院の教員の個人指導を受けます。従って学生・院生の総数は(60+20)×2で160人が総勢となります。
その学生が各教員の研究室に所属します。そして5、6人程度のチームを作ります。それが附属学校に入ります。小学校で各学年2クラス、中学校で各学年3クラスぐらいが適当でしょう(現在の上越教育大学附属小中学校と同じです)。
その学校の教諭は教職大学院で学んだOBです。つまり、教職大学院のシステムが分かっている教師です。そして学校長が教職大学院の専攻長になります。そして、県との調整を担当するのが、交流人事の副校長(この方も教職大学院OB)です。その学校と教職大学院スタッフが学校運営、クラス作り、教科指導を計画し、先に挙げたチームがサポートするのです。附属学校の教諭は基本的に特任准教授を併任し、学部科目を担当し、教職大学院の講義・演習の補助を担当するのです。
そして、小中学校の新たな実践、そして新たな教員養成教育を発信するのです。大学と附属は同じ釜の飯を食べた仲間なのですから話が早い。今の教職大学院のスタッフだったら、最高の附属学校が出来ます。
私のゼミ生を見ていると、この人たちと一緒に学校を創ったら最高の学校が出来るだろうと毎年夢想します。それを組織化するのです。