■ [大事なこと]いまから
ふと、ゼミ生に毎年、言うことを書きたくなりました。
私の大学院2年の時です。6月頃に同級生に、「教員採用試験の申し込みはいつやるの?」と聞きました。全員、あっけにとられ、そして「もう終わったよ」と言われました。
説明が必要です。大学に入って、大事な情報は同級生から教えてもらえるということを学びました。つまり、「おい、西川、○○があるぞ」と教えてもらってから、大学の掲示板に行きそれを読むのです。大学の掲示板には無関係、無意味な掲示が多いですから、とても良い戦略です。
ところが教員採用試験は、同級生の間でナーバスな話題です。同級生同士がライバルになる可能性のあるジャンルです。ということで、話題に出さなかったのです。
ということで、私は研究生になることを決めました。
大ぽかで1年を棒に振りました。
でも、結果として1年分、フリーになりました。あまりに「閑」だったので、論文を書きました。その結果、2つの学会誌に論文が掲載され、1つの紀要、そして権威ある英文雑誌に掲載されました。閑だったからです。おそらく、平均的な准教授の業績を超えるものです。
そして、次の受験勉強をして、ギリギリで合格しました。(東京都にはA採用、B採用、C採用というものがありましたが、私はBです)そこで、凄い経験をしました。給料をもらうということはどれほど大変かを学びました。暴走族に物理を教えるということを新規採用者が求められたのです。
その後、大学に異動したしました。そうなったのは、「閑」で書いた論文がポイントです。そして『学び合い』を研究しています。それは暴走族に物理を教えたという原体験があるからだと思います。
ゼミ生に語ります。
人生において、色々な挫折があるだろう。でも、挫折というものは、結局、多くの人が思い描いている平均からの逸脱だ。私もぽかのために1年間、遅れた。そして、最底辺校の教師として平均的な教師の職能形成が出来なかった。でも、それ故に、今、君たちの教師として飯を食わしてもらっている。
過ぎたことは過去に戻って変えることは出来ない。でも、過ぎたことを、「おかげで今がある」と思える未来は今から出来ること。今から出来ることをすればいい。過ぎたことを後悔する気持ちが強いならば、強いほど、今から出来ることにエネルギーを費やしなさい。と語ります。
とゼミ生に語れるのも、ポカをしたおかげです。